表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
でたらめ日記  作者: ヤマダ
PR
13/30

図書館

 今日は、借りていた本を返すために図書館へ行った。

 やけに気温が高いせいか、冷房を求める人で平日でもそこそこの賑わいだ。

 本を返却し、次の獲物を求めて書架の間を回遊する。

 しばらく歩き回っていると、司書さんが床に屈みこんで何かしている。

 コンタクトレンズでも落としたのかと様子を見ていると、ピンセットを使って床に零れ落ちた文字を慎重に拾い集めているのだ。傍らに置かれた本のページには、虫食いのごとくちらほらと言葉が抜けてしまっていた。

 「すみません、もうすぐ終わりますんで」

 私に向かって司書さんが申し訳なさそうに言うので、いえいえお構いなくと別の書架へ移動する。


 この図書館もずいぶん古いからな。

 本は読まれることなく本棚に入れっぱなしにすると、稀に言葉が剥がれ落ちることがある。そんな時は落ちた文字を付け直すか、新たにハンコや手で書き込むしかないのだ。

 高校で図書委員に入っていたころ、誰も読まないような古い本を引っ張り出しては文字を書き入れる作業をしたのが懐かしい。

 特に、空白部分に間違えた文字を書き込んでしまったときなどは本が更に怒ってしまい、ばらばらと他の文字まで落とすので非常に疲れる仕事だった。

 それでも、雪の結晶のように脆く儚い文字を、崩さないようにピンセットでつまみ上げるのは少しロマンチックに思えて好きだった。


 出来るだけ、文字が抜け落ちないような新しい本を選んで帰宅する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ