Christmas Eve
イブの朝のお話です。
昨夜、息子達に一方的につるし上げをくった豊は、その後、奈緒の閉じこもった希の部屋の前で声をかけ平謝りしていたが、もちろん酔っていた奈緒が応えることは無く、冷たい眼差しで通り過ぎ各自の部屋に入る息子達。
仕方なく客間で寝ると、一応、悠に告げ部屋に引き上げようとすると、客間は篤志が使っていると悠に言われ、いくらセントラルヒーティングが効いているとはいえ、真冬にリビングで寝ては風邪をひくと息子達の心情に訴える。
最初は反省を促すためにも部屋にいれないつもりだったが、新堂家の居候だという認識のある一馬が自分のベッドを譲ると言うので仕方なく、悠は希の次に小さい翼に父親にベッドを貸してやるようにと告げる。
「奈緒さんが希の部屋とっちゃったから、今夜は希と一緒に寝ようと思ってたのに・・・」
ぶつぶつと不満を口にしながらも、母に閉め出されている父親をかわいそうに思うところはあるのか、素直に自分の部屋を明け渡そうとする翼に何を勘違いしたのか、父は余計なことを言う。
「じゃあ翼、久しぶりに父さんと寝よう?」
「誰がこの年で父さんとなんか寝るかよ!」
間髪入れず悪態をついた翼は、一馬の腕を掴むと引っぱり走り出す。
ばたばたと翼に腕を引かれた一馬が自室に消えるのを見送った悠は、顔色を変えることなく、形ばかりの就寝の挨拶をすると希を連れて自室に入った。
犬も食わないもののために嵐のようにやって来た両親を迷惑に思いながら、それを全く無視して普段通りに子供達は朝を迎えた。
朝食をとり、いつも通りに支度を整えた悠は、渋る父親を引きずり仕事に向かい、残った子供達は朝食後のひとときを思い思いに過ごしていた。
「おはよう、皆。」
何事も無かったかのようにリビングに現れた奈緒は、遅れて食事をとっている翼の隣に座ると、朝食をとり始める。
「昨日の夜はごめんなさいね。
あなたの部屋をとってしまって・・・」
希に向かってすまなそうに謝る奈緒に、希は首を振る。
「大丈夫だよ。父さんよりは迷惑かけてないから。
父さんは俺の部屋を取ったんだよ。しかも、一緒に寝ようだって、俺の記憶にある限り父さんと一緒に寝たことなんてないし、今更だよ。」
まだ、昨夜の父の言動を根に持っているらしい翼はぶつぶつ言う。男ばかりで生活している期間が長い子供達は、完全なるフェミニストとなっている。そこに重大な影響を与えているのは家長の悠で、悠が家を出ることになった原因は父親、母が怒っているならば何事も全面的に父が悪いと思っている。
「そうね。あなたにも迷惑をかけたわね。
そうだ、お詫びに買い物に行きましょう?もちろん皆で。
プレゼントはもう買ってあるけど、もういくつか増えても良いでしょう。」
思いがけない奈緒の提案に、渉は無邪気にはしゃぎ、慎も目を輝かせる。玲はため息をつくが内心は、昨夜、かわいい弟が自分のところではなく、一馬のベッドに潜り込む原因を作った父親への報復を考えている。
割れ関せずと、新聞を読んでいる一馬に奈緒は、もちろん一馬と潤も家族なのだから一緒にと弾んだ声で告げる奈緒に、潤は素直に従い準備をすると言って足取り軽くリビングを後にする。
それぞれが準備をする中、年長の一馬と玲だけはため息とともに、今日は大変な一日になりそうだと思った。
まだ続きます。




