第8話 再び来店
よろしくお願いいたします。
食事どきが終わって、お客様がいなくなったので、私とシサはお昼休憩をとることにした。
味噌スープはまだ何人か分はあったけど、和製ポトフがあと一人分しかなかったので、私とシサは他のものを作って食べることにした。
簡単にできるチャーハンを作ることにした。
ネギ、人参、たまごを準備して、ライスを二人分用意する。
ライスに卵を混ぜておき、フライパンに油を入れて温める。
温まったフライパンで人参を炒めたあと、卵を混ぜたライスを入れてさっと炒めてネギを入れる。
味付けは塩と醤油だった。
「チャーハンできたわ。シサ、味噌スープも温めて食べましょう」
「はい! ありがとうございます」
私とシサはカウンターに座って、チャーハンと味噌スープを食べ始めた。
「美味しい……これはパエリアとは違うんですね」
美味しいとは言ってくれるが、私が調理をし出してもう三日目になるので、新しい料理を作ったとしてもシサに大きな驚きはなくなっていた。
「ええ、そうよ。パエリアは生の米のまま炊き込むけど、チャーハンはできたライスを炒めて作るの」
「そうなんですね、なんかライスがパラってしています」
「うまくいってよかったわ」
食事が済んだら、シサにはシフォンケーキを出そう。
「食べ終わったら、シフォンケーキを出すわね」
「わー! 楽しみにしてました! ありがとうございます」
デザートはテンションが上がるようだ。
「そういえば、さっきのコロン様って方、明日も来るって言ってましたね」
「そうね。明日は店休日にしようと思っていたことを伝え忘れてしまったわ」
まだオープンから二日だったけど、以前から準備はしていたものの、慣れないカフェ経営で私達はちょっと疲れていた。
楽しく自由にやっていきたいので、明日を店休日にしてゆっくり休むことにしたのだ。
「明日はゆっくりしましょうね」
「はい、久しぶりに遅くまで寝ていたいですね」
私も明日はシサと一緒に遅くまで寝てみようと思う。
侯爵令嬢としても、前世でもそんなことはほとんどなかったので、とても楽しみだ。
見ると、シサは食べ終わっていたので、シフォンケーキを用意することにした。
紅茶はシサが淹れてくれた。
「はい、どうぞ」
ホイップクリームを添えたシフォンケーキをシサに渡した。
「ありがとうございます! これ、ちょっと大きいですね。エルティアお嬢様、半分食べませんか?」
やっぱり、ちょっと大きかったかしら。
シフォンケーキの型は大きめサイズの21cmだった。
あのサイズのケーキは八等分くらいがちょうど良い大きさだと思うが、大きめに切っていたので四等分だった。
コロン様はぺろっと食べられていたが。
「じゃあ、シサが残したら後でもらうわね」
「せっかくなのに、すみません」
「気にしないで」
元々シサはパウンドケーキが苦手だったので、そう言うのも無理ないと思うし。
シサもコロン様と同じようにフォークで大きめに切って口に運ぶ。
ぱくっ
もぐもぐ
シサの表情が驚きに変わった。
「わー! エルティアお嬢様の言う通りでした! 全然パサパサしてなくてふわふわでしっとりしてて。……すみません、さっき半分残すって言いましたけど、これなら全部食べれちゃいます!!」
「よかったわ」
パウンドケーキとの違いに気づいてもらえた。
「私、コロン様が主食にするって言ってたの、わかりますね。ふわふわしてるからいくらでも食べれちゃいそうだし、しっとりしているのに弾力があってクセになりそうです。美味しいな〜」
しみじみとシサは言った。
「そうね、私も好きだからわかるわ」
祖父母のカフェでもシフォンケーキは大人気だった。私のシフォンケーキのレシピは祖母の直伝だ。
「まだ、ランチは間に合うだろうか?」
店の入り口の方から男性が声をかけてきた。
シサはシフォンケーキを食べていたので、ここは私が対応していく。
入り口へ向かい、男性を見ると、デイカー様とさっき帰ったはずのコロン様の二人がいた。
「デイカー様、コロン様、いらっしゃいませ。はい、一人分ならありますが……」
「それでいい、コロンは食事じゃない」
「コロンはさっき済ませたら」
「そうですよね、どうぞ」
シサがカウンターでシフォンケーキを食べていたので、今回はテーブルに案内した。
「今日の日替わりランチは和製ポトフと味噌スープ、それにライスです」
デイカー様にメニューを伝える。
「楽しみだ。お願いする」
「はい。少々お待ちくださいね。ところで、コロン様は……?」
「エル殿、すまないが、コロンに持ち帰り用のシフォンケーキとやらをまた作っていただけないだろうか?」
「先程、買っていかれましたが……」
「コロン、もう食べてしまったのら」
「えっ!!」
帰られてから、そんなに経ってないと思うけど……。
あの大きなニ切れをすでに全部食べてしまった……。
私はとても驚いた。
「そうでしたか……。シフォンケーキはすぐにはできなくて……」
「そんなに時間かかるのら?」
「そうですね、作り出しから焼き上がりまでに一時間半くらいかかって、そこから冷ますので……」
「それでもいいら。できるまで待たせてもらうら」
「わかりました。お作りしますね」
コロン様がそう言ったので、私はまたシフォンケーキを作ることになった。
「エル殿、無理を言って申し訳ない」
デイカー様が眉を下げてまた謝られた。
「いえいえ、材料もありますし、もう日替わりランチも終了なので大丈夫ですよ。デイカー様の日替わりランチをお出ししたら作りますね」
私はキッチンに戻り、早速取り掛かることにした。
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