第5話 オープン2日目
よろしくお願いいたします。
今日もカフェの開店準備をしていく。
昨日の和風スパゲティと味噌スープはとても好評で、用意していた五食は完売していた。
和風スパゲティも美味しいと言われていたけれど、味噌スープの方が人気で、みんなデイカー様と同じように疲れた身体に染みるいい味だと言って食べていた。
それを見ていたシサも食べたそうにしていたので、賄いで後から作って二人で食べた。
「エルティアお嬢様!! この味噌スープ、茶色い見た目に反してデイカー様の言うように疲れた身体に沁みてとても美味しいです!! 私も気に入りましたよ!」
シサの口にも合ったようで、デイカー様と同じような感想を伝えてきた。
味噌スープがこんなに好評になるなんて思ってもいなかったけど、これは定番として毎日提供していこうと思う。
今日の日替わりランチは和製ポトフと味噌スープにしよう。もちろん白いご飯もつけていく。
ポトフは洋風の味で作るけど、私のは醤油味の和製ポトフ。
つまり“おでん“を提供しようと思う。
はんぺんのような練製品はないから、今から作っていく。
まず、茹でたエビと茹でたじゃがいもに塩を加えてすりつぶす。
それを混ぜ合わせて団子にして、油でさっと揚げる。
できたエビ団子を和製ポトフに入れて煮込むってわけ。
その他には大根、人参、きのこ、鶏肉を一緒に入れていく。
それから、好評の味噌スープを作る。今日は海藻とキャベツを入れた味噌スープにしていこう。
「昨日は五食全て完売してたから、今日はちょっと増やして八食にしてみたわ。もし、残ったら私達で食べればいいから」
「まだ食べてみたわけじゃないですけど、昨日の感じだときっと今日も全て完売だと思いますよ」
「そうだと嬉しいけど」
今日もそんなに時間のかかるメニューではないから、今日はデザートも作ろうかと思う。
実は作りたいものがあった。それは祖父母のカフェで出していたシフォンケーキだ。
シフォンケーキの型は特殊で、この世界にはないものだったので、金型屋を探して作ってもらった。
「そんな型は初めてだね。しっかり教えてくれたから作ることはできるよ」
図まで書いて、イメージを伝えたことが良かったようで、そう言って作ってもらえ、ちゃんとシフォンケーキの型になっていた。
今日はこの型でシフォンケーキも作っていく。
材料は小麦粉、卵、砂糖、牛乳、油で作る。このシフォンケーキはベーキングパウダーを使わないのが特徴。
だから、しっかり卵白を泡立てて、メレンゲを作るのがポイントだ。
残念ながら、手動の泡立て器はあるけど、電動はない。
シャカシャカと自分で泡立てていく。
「エルティアお嬢様、掃除終わりましたよ。あれ? 何を作っているんですか? 大変そうですね」
私が必死に泡立てているのを見て、開店準備の終わったシサが声をかけてきた。
「シフォンケーキを作っているのよ」
「シフォンケーキ? それって以前話していたケーキですよね?」
「ええ、そうよ。普通のスポンジケーキとは違って、ふわふわでしっとりしているって言ってたシフォンケーキ」
「そうでしたね! 私はそれがすごく気になってました。私はどうもパウンドケーキがパサパサして苦手で……」
シサには前世を思い出してカフェの準備をしていた頃に、ちょくちょく前世の料理の話やシフォンケーキのことを話していた。
本当はカフェをやる前に、色々作って見せたかったけど、カフェの準備とゲーム通りの行動をしていくことで一杯になってしまって、できなかった。
「そうだったわね。だからあんまりパウンドケーキを食べないのよね」
「はい。ほとんど食べませんね」
パウンドケーキが苦手なシサには、ぜひ食べてもらいたいと思っていたシフォンケーキだ。
「じゃあ、楽しみにしてて」
シサの分は先に取って残しておこう。
話しながらもどんどん作り進めていたので、もう焼き上がるのを待つだけだった。
「わー! どんなものかすごく楽しみですね!」
シフォンケーキと一緒に飲み物があった方がいいので、紅茶も用意していた。
「そういえば、メニュー表を作っておいたほうがいいかしら?」
「そうですね、あると全て伝えなくてもいいので」
あとで2階の住居スペースに置いてある紙とペンを持ってきて、メニュー表を書こう。
シサと話しているうちにシフォンケーキが焼けたので、取り出して逆さにして料理用の酒のボトルに刺して冷ます。
「えぇー!! 何やっているんですか?これ?」
料理用の酒のボトルに刺しているのを見てシサが叫んだ。
「こうやっておかないと萎んじゃうのよ」
「そうなんですね。面白いですね」
シフォンケーキを冷ましている間に私は2階に紙とペンを取りに行く。
「ちょっとメニュー表を作るから紙とペンを取ってくるわ」
「あっ、エルティアお嬢様はまだ他にやることありますよね? 私、取ってきますよ」
「ありがとう。じゃあそうさせてもらうわね」
シサが取りに行ってくれた。
その間に私は牛乳でホイップクリームでも作ろう。
この世界にはホイップする前の生クリームはなかったので牛乳から作る。
牛乳とバターと砂糖を使う。
「案外上手くできたわ」
電動の泡立て器でないと難しいけど、手動でも一応生クリームのようになった。
置き場所を伝え忘れていたので、時間がかかっているようでまだ戻ってこない。
「お待たせしました、持ってきましたよ」
随分経って、シサが紙とペンを持ってきてくれた。
「場所を言い忘れていてごめんなさい。ありがとう」
「いえいえ。わー! それも美味しそうですね。なんですか?」
できたホイップクリームを見てシサが言った。
「これはシフォンケーキに添えるホイップクリームよ。これがあるともっとシフォンケーキが美味しくなるの」
「そうなんですね、ますます楽しみです!」
私はシサが持ってきてくれたペンと紙で
“日替わりランチ“
“デザートセット:シフォンケーキと紅茶“
と書き、テーブルの数だけ書いてメニューを作った。
「これを各テーブルに置いておきましょう」
そして、日替わりランチの内容は書かずにオーダーを伺う時に伝えることにするとシサに伝えた。
デザートセットは定番にするのでシフォンケーキと紅茶と書いた。
「わかりました。今日は和製ポトフと味噌スープとライスでしたね」
白いご飯のことは、ライスと呼ぶことにした。
シフォンケーキを確認すると冷めていたので、逆さまにしていたケーキを戻した。
これで今日も店が開店できる。
私は、シサにドアにかかっている看板をopenにしてもらった。
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