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第34話 粘る大豆で大盛り上がり

よろしくお願いいたします。

「“粘る大豆“のことをすぐに誰か気がついてくれると思ったのですが、誰も何も言ってきませんね」


「そうね、シサが前に言ってたように、コロンが気づいて何か言ってくれるんじゃないかって私も思っていたけど、それもないわね」


 “粘る大豆“の貼り紙をシサにピンでつけてもらってから数日が経ったが、誰からも詳細を聞かれたり、注文されることはなかった。


 貼り紙があるので、あれから毎日粘る大豆の納豆を作っているけど、売れ残ってしまっていたので、私が毎日食べて消費していた。


「今月いっぱい貼り紙をしても、誰からも注文されなかったら、もう貼り紙を外してしまおうと思っているわ」


「そうですね、注文もないですし、私も食べないので、エルティアお嬢様ばかり食べないといけないですしね」


 特別好きではない納豆を毎日食べるのは、なかなか辛かった。


「そろそろopenにしてくるわ」


 たまには私も看板をopenにする。


「ありがとうございます」


 店の入り口を出て外に出た。


 店の周りには以前蒔いたガーベラがあり、どんどん大きくなっていた。


 私が自由に楽しくやり始めたカフェだけど、今ではデイカー達のような常連のお客様もできて、充実した毎日を送っている。


(さぁ、今日も開店ね)


 私はドアの看板をopenにして店の中に入った。


 しばらくするとクードとコロンとフェオがやってきた。


「こんにちは、今日もお邪魔するよ〜」


「こんにちは、今日も食べにきたら」


「こんにちは。今日の日替わりランチも楽しみだ」


「「いらっしゃいませ」」


「今日はデイカーは一緒じゃないんですね」


「うん、デイカーは後から来るって言ってたよ」


「そうなんですね、いつものカウンターへどうぞ」


 シサに案内されて三人はいつもの定位置のカウンターに座る。


「エル、この前は卵料理ありがとう! とても美味しかったよ!」


「俺もとても美味しくいただいたよ。ありがとう」


「どういたしまして」


 デイカーの言う通り、喜んでもらえたようだ。


「今日の日替わりランチは鶏の塩麹唐揚げでーす!」


 シサが今日の日替わりランチの内容を伝える。


「コロン、それにするら」


「俺も日替わりランチで」


 二人はすぐに注文してくれたが、クードからの注文はない。


「クードはどうする?」


「ねぇ、エル。前からずっと気になっていたんだけど、あそこにつけてある“粘る大豆あります“ってなに?」


 とうとうクードから聞かれた。


「やっと聞いてくれたわね。デイカーに以前作ってもらった魔道具で麹菌とは違う菌を集めたの。それで作ってみた料理のことよ」


「それが“粘る大豆“っていうんだね。僕ちょっと興味あるな」


「じゃあ、見せるわね」


 私は保冷の魔道具から納豆を取り出した。


「これが“粘る大豆“よ。ちょっと見ててね」


 スプーンで納豆をかき混ぜて、少し掬って伸ばしてクードに見せた。


「うわぁ〜本当に大豆が粘ってる〜」


「面白いら〜」


「どうなってるんだ?」


「面白いわよね。クード、どうする? この“粘る大豆“、ライス、味噌スープ、野菜の塩麹漬けがセットで提供になるの」


「僕、今日はそれ食べてみるよ」


「はい。じゃあクードは“粘る大豆“ね。今からそれぞれ準備するわね」


「クード、すごいです。怖いものみたさですか?」


「シサは食べたことあるの?」


「ありますよ。でも私は合いませんでしたね」


「そうら?」


「はい、なんかその粘りがベタベタしてダメでした」


「シサの感想、わかる気がするな。俺もダメそうだ」


 私は、みんなの話を聞きながら鶏の塩麹唐揚げを作り、“粘る大豆“、野菜の塩麹漬けを用意して、ライスと味噌スープを盛り付けていった。


「できたわ。シサお願い」


「はーい」


 シサにはクードに“粘る大豆“にかけるための醤油も一緒に配膳してもらった。


「はーい、コロンと、フェオは日替わりランチ、クードは“粘る大豆“のセットと調味料の醤油です!」


「ありがとら」


「ありがとう、今日も美味しそうだな」


「ありがとう、どんなものか楽しみ」


「クード、よく“粘る大豆“を混ぜて、調味料の醤油をかけてライスに載せて食べてね」


「わかったよ。やってみるね」


 コロンとフェオは日替わりランチを食べながらも、クードが“粘る大豆“を食べる様子を見ていた。


「ねぇ、そんなに見られたら僕、食べにくいんだけど」


「あぁ、悪い悪い。その“粘る大豆“が気になってな」


「コロンもら」


「そんなに気になるなら二人も頼めばよかったじゃない」


「いや……俺は……」


「コロンはクードが美味しいって言ったら今度頼んでみるら」


「二人ともクードを生贄にしましたね〜」


「シサ、ひどい! 僕が生贄なんて」


「ハハッ、すみません。つい」


 みんなが楽しそうにクードの“粘る大豆“を食べるのを見ていた。


「じゃあ、食べます!」


ぱくっ


もぐもぐもぐ


「……なんだ、美味しいじゃん。ちょっと口がベタつくけど、僕は大丈夫だよ」


 クードの口には合ったらしい。


「クードがそういうなら今度コロンも食べてみるら!」


「エル、ちょっとスプーンもう一本貸してもらえる?」


「ええ。大丈夫よ」


 私はクードにスプーンをカウンター越しに渡した。


「ありがとう。コロン、反対側ならまだ口つけてないから食べてみる?」


「いいら?」


「いいよ。これスプーン」


「ありがとら。いただくら」


 コロンはクードからスプーンを受け取り、一口“粘る大豆“をもらった。


ぱくっ


もぐもぐもぐ


「……せっかくクードから一口もらったけど、コロンはちょっと苦手ら」


「そっか。好みはあるからね。コロン、気にしないで」


「クード、やっぱり俺も一口いただいていいか?」


「いいよ。エル、もう一本スプーン貸してもらえる?」


「はい、大丈夫よ」


 またカウンター越しにフェオにスプーンを渡す。


「はい、両方口つけてしまってるけど、よければどうぞ」


「ありがとう、一口いただく」


ぱくっ


もぐもぐもぐ


「……俺は案外大丈夫だった。もっとベタつくのかと思ったが、そうでもない」


「ありゃ。私の予想は外れましたね」


「シサの予想? どんな予想していたの?」


「私はコロンだけ美味しいって言って、クードとフェオは合わないって言うと思っていました」


「へー」


「コロンが美味しいっていうと思ったんら」


「俺もシサと同じようにコロンは美味しいっていうと思ったな」


「そうら?」


「ああ、コロンが案外好きそうな感じだと思った」


「そうですよねー! 私もそう思ったんです」


「コロンはベタベタする感じが苦手ら」


「あー、私と一緒ですね」


 三人とシサは納豆の話で大盛り上がりだった。


 こんなに盛り上がるなら、興味本位のお客様からもそのうち注文が入るんじゃないだろうか。


 そして、ここにいないデイカーが納豆を食べたらどんな反応をするかも楽しみだった。


お読みいただきありがとうございました。もし作品を楽しんでいただけましたら、お気に入り登録や評価などいただけると大変励みになります。

是非是非よろしくお願い致します!!m(_ _)m



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