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第31話 魔道具になったコーヒーミルと魔道具の泡立て器の性能

よろしくお願いします。

 デイカーが持ってきてくれたコーヒーミルでコーヒーは前世と同じようなコーヒーを淹れることができた。


 ただ、手動なのでたくさんは粉砕できない。それが難点だ。


「これが魔道具ならね……。手動だと泡立て器のように手が疲れてしまうのよね」


「……そうだろうと思って、実は魔道具にしていた」


「えっ、本当に?」


 やっぱりデイカーは魔道具師だった。


 そのままただの道具にはしておかない。


「ああ、その左右の側面を見てくれ。片方には充魔できるようになっていて、もう片方にはスイッチがついていると思う」


 デイカーに言われてコーヒーミルの左右の側面を見たらそのようになっていた。


「持ってくる前に充魔しておいたからスイッチを押せば動くと思うが、動かなかったら自分の魔力を使うか、充魔する必要があると思っておいてほしい」


 魔力が少ない私は魔力を使って魔道具を動かすことはほとんどしない。


 大体充魔して使っている。


 さっき手動で粉砕してしまったので、再度コーヒー豆を入れてスイッチを押してみる。


 すると、勝手にハンドルが動き、コーヒー豆が粉砕されて貯まっていた。


「わ〜!勝手に粉々になって貯まってますね!」


「いいわね。これは手が疲れないわ」


「喜んでもらえて良かった。手動でやりたければスイッチを入れなければいい」


「わかったわ。ありがとう」


「じゃあ、もう一つの自動泡立て器を見せよう」


「ええ、私の方も準備するわね」


 私は小皿に卵を割って入れ、黄身だけ残し、白身を器に入れた。


「準備できたわ」


「これがその自動泡立て器だ」


 デイカーが背負っていたリュックから出してきた自動泡立て器の見た目は私が前世で使っていたものとそっくりだった。


 絵心がない私が描いた絵で、あそこまで同じようなものを作れるデイカーはやっぱり天才だと思った。


「ありがとう! 私の思っていた通りのものよ。さすがね!」


「良かった。これにはスイッチが二つついている。一つが動かすスイッチ、そのスイッチを押す毎に速さが変わるようになっている。三段階ある設計だ。そして、もう一つは止めるスイッチだ。赤が動かす方で、青が止める方だ。ちょっとやってみてくれ」


 デイカーに言われて、器に入っている白身を赤いスイッチを入れて泡立ててみる。


 やってみると、電動の泡立て器の速さと同じようだった。


「いい感じね。ここからもう一度スイッチを押すとどうなるのかしら?」


「押してみてくれ」


 もう一度スイッチを押すと泡立てが見えないくらい速くなり、あっという間にメレンゲができてしまった。


「……めちゃくちゃ速いわね。すぐできたわ」


 できたメレンゲの入った器から自動泡立て器を離し、青いスイッチを押した。


「……これはそれが最速じゃない」


「えっ、もっと速くなるの?」


「ああ。もう一度赤いスイッチを押してみてくれ」


「ちょっと、待って。もうこれはメレンゲになっているから、別の卵でやってみるわ」


「私、卵と器を取ってきますよ」


 そう言って、キッチンへシサが卵と器を取ってきてくれた。


「はい、卵と器です」


「ありがとう」


 私は再び卵を黄味と白身に分けて、白身を器に入れた。


「やってみるわね」


 私は白身の入った器に自動泡立て器を入れて赤いスイッチを押した。


 ……一瞬でメレンゲができてしまった。


 やっぱり魔道具はなんでも規格外のことをしてくれる。


「……なんていうか、魔道具ってやっぱり便利ね」


「……本当ですね。今までの労力はなんだったんでしょうかね……」


 私達が呆気に取られているとデイカーが心配そうに聞いてきた。

「これで良かっただろうか?もしかしてやり過ぎてしまったか?」

「ううん、十分過ぎるくらいだわ。ありがとう。特に一瞬でメレンゲになるのは本当に助かるわ」


「それなら良かった。シフォンケーキはコロンの主食で頻繁に作ってもらっていたから、この前目の前で泡立てるのを見て、もっと楽にできないか考えた結果がこれだった」


 私とコロンの両方のことを考えて、デイカーは自動泡立て器を作ってくれていた。


 よく思うのだが、デイカーは相手の立場になって物事を考えられる人だと思う。


 コーヒーミルのことといい、この自動泡立て器のことといい、デイカーは使う人のことをちゃんと考えて作ってくれる。


 三段階ではなくて、最初から一瞬でできてもいいと思ったが、デイカーなりに考えがあったのだろう。


 私は特にそこには触れなかった。


「これならコロンが何個も欲しいって言ってきても生地はすぐできますね!」


「そうね。焼くのは時間かかるけど」


「焼くのも、最新の魔道具のものと取り替えれば早く焼けるものになるが?」


 デイカーが早く焼くための魔道具を提案してきてくれた。


 でも、今はそれよりも私は蔵が欲しかった。


「ありがとう。まだ今のものでいいわ」


「そうか」


「それよりも、また相談があるんだけれど……」


「なんだろうか?」


「この前に作った味噌と醤油を保存しておくための建物が欲しいのだけど、建物を作れるような人を知っているかしら?」


 蔵と言っても通じないだろうから建物と言った。


「知っている。紹介しよう」


 私はデイカーに蔵を作れる大工を紹介してもらい、一軒家の横に蔵を建ててもらうことにした。


 そして、デイカーに今度その大工と一緒にカフェに来てもらうことにした。


 私はデイカーが常連となってから、デイカーによく頼っている。


 デイカーはいつも嫌な顔もせずに相談に乗ってくれて、私を助けてくれる。


 今までは見守ってくれているシサはいたけど、人に助けを求めずに自分で解決してきた。


 以前の私では考えられない変化だった。


「建物は大工に建ててもらうんですね。私は建物もてっきりデイカーが魔道具を駆使して建ててくれるのかと思ってました」


 シサが意外そうに言った。


 私も今までのデイカーの作ってくれた魔道具から、もしかして蔵も魔道具でなんとかなってしまうのではないかと思っていた。


「いや、建物の中の設備は作ることができるが、流石に建物は作れない」


 設備とは灯りのことだったり、温度管理のことなどを言いたいのだろう。


「そうなんですね」


「ああ。……魔道具も渡したから、俺はそろそろ帰ろう」


「届けてくれてありがとう」


「こちらこそ、ありがとう。昼食をご馳走になり、お土産もいただいてしまった。じゃあまた明日」


「いつも来てくれてありがとう。明日も待っているわね」


 私とシサはデイカーを裏口で見送り、カイヤ町の方へ帰って行った。


お読みいただきありがとうございました。もし作品を楽しんでいただけましたら、お気に入り登録や評価などいただけると大変励みになります。

是非是非よろしくお願い致します!!m(_ _)m

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