第3話 カフェオープンと初めてのお客様
よろしくお願いいたします。
今日からカフェオープンのため、私とシサは早起きをして準備をしていた。
私は料理の仕込みを、シサは机を拭いたり、掃除をしてお客様を迎えることができるように。
料理の仕込みは昨日シサから好評だった和風スパゲティと、せっかく味噌もあるので、昨日の出汁を使って野菜たっぷりの味噌汁を作ることにした。
味噌汁の呼び名はカッコよく味噌スープにしておく。
今日は初日なので、とりあえずこの二つのみの提供としていくことにした。
昼食に合わせて仕込みをしていく。
辺鄙な一軒家のカフェだけど、カイヤ町からナイト街までの唯一の一本道の途中にあるので、お客さんは来ると思う。
でも、初日の今日の仕込みは五人分くらいにしておこう。
それなら残ったとしても、シサと一緒に食べることができる量だ。
そう考えて私は仕込みを終わらせたのだった。
「仕込み、できたわ」
私はシサに声をかけた。
「早速、ドアノブの看板をオープンにしてきますね」
そう言って、シサは入り口に行った。
これでカフェの準備は整った。あとはお客様が来るのを待つだけだ。
しばらくすると背の高い、茶髪で切れ長の茶色の瞳が涼しげな整った顔立ちの冒険者と思われる服装をした若い男性が店の中に入ってきた。
「「いらっしゃいませ」」
私とシサは入ってきた男性に来店の挨拶をした。
シサにはウェイトレスをお願いしていたので、男性のところへ行って席の案内をしてもらう。
「お一人ですね! 良ければカウンターにお座りになりませんか?」
男性にシサが声をかけた。
「場所はどこでも構わない。食事もできるのだろうか?」
「はい、日替わりランチのみとなりますが、お食事ができます」
「良かった。それでいい」
「ありがとうございます。ではカウンターへどうぞ」
シサに案内され、カウンターで私の前に男性が座った。
「……ここは以前から営業していたのだろうか?」
「いえ、今日からオープンしました。あなたが最初のお客様なんです」
「やっぱりそうか。この横の道はよく通るが、ここは昨日まではやっていなかった」
「はい、昨日までは空き家でした」
この男性はここをよく見ていたようで、詳しい。
「ところで、日替わりランチとやらは何が出てくるんだ?」
「今日は和風スパゲティと味噌スープを提供させていただきます。少々お待ちくださいね」
「和風スパゲティと味噌スープ……スパゲティとスープは知っているが、和風と味噌は聞いたこともない名前だ」
「私も知らなくて、昨日初めて食べたんですけど、とても美味しいですよ!」
シサは昨日和風スパゲティを食べてとても感動していたせいか、美味しいことをアピールしてくれた。
味噌スープの方は食べてなかったので、後でそれは食べてもらおう。
シサと男性のやり取りを横目で気にしつつ、私は調理をして熱々の和風スパゲティと味噌スープが完成した。
シサに伝えて男性の元へ運んでもらう。
カウンターだけど、前から出さずにちゃんと運んでいく。
「お待たせしました。どうぞ」
「ありがとう。見た目は食べたことあるスパゲティと変わらないんだな。こっちの茶色いスープが味噌スープか?」
「はい、そうです。それが味噌スープです。ぜひお試しください」
男性が指差して確認してきたので私は答えた。
「そうなんだな。両方とも初めてのもので楽しみだ。いただくとするか」
男性はまず和風スパゲティを口に入れた。
モグモグモグ
「……スパゲティはどれもコッテリしたものだと思っていたが、このスパゲティはあっさりしていて、とても食べやすくて美味しいな」
男性はスパゲティに良い印象がなさそうだが、これは口に合ったようだ。そして味噌汁もスプーンで掬って口にする。
ゴクッ
「!! ……今まで味わったことのない味だが、塩気だけじゃなくて、深みのある出汁が効いた味で、これは疲れた身体にとても染みるいい味だ。とても美味しい。俺はこれが気に入った」
どうやら男性は味噌スープの方が気に入った様子だった。
その後は無言で食べ進め、あっという間に全部完食した。
「どちらも食べたことがない初めての味だったが、とても美味しかった。会計をお願いしたい。いくらだろうか?」
「それはよかったです。今日はオープン記念で、普段の半額の400トピーになります。今後は他にも色々な料理を提供していこうと思ってますし、デザートも出す予定です。ぜひまた食べに来てください」
男性が支払いを済ませた。1トピーは前世で1円と同じだった。
今日はオープンなので普段は800トピーのところ、半額の400トピーで提供した。
価格を決めたのは私だけど、会計はシサにやってもらっている。
「……本当にとても美味しかった。またお邪魔する。今度は仲間も連れてこよう。俺は冒険者でデイカーという」
「私はオーナーのエルと申します」
「私は従業員のシサです」
名前を名乗られたので、私達も名乗った。一応貴族の娘だったので、私は愛称で名乗った。
「では、失礼する」
そう言って、デイカー様は店を後にした。
デイカー様を見た時、ゲームの登場人物かどうか考えてみたが、デイカー様に当てはまるような人物はいなかったと思う。
登場人物ではない人が現れたことで、これからはもう、ゲームの中のことを思い出して整合性を考えるのをやめようと思ったのだった。
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