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第27話 コーヒーにする魔道具とシフォンケーキ作りに欠かせない道具

よろしくお願い致します

コロンのおかげでコーヒーの実をたくさん手に入れることができるようになった。


「これでコーヒーが飲めるら!」


 コロンが嬉しそうに言った。


 しかし、デイカーが他国の冒険者から聞いたように、この実を私の知っているコーヒーの粉にしなければコーヒーを入れることはできない。


 まだまだやることはたくさんあった。

 

「この実から種を取り出さないと……」


 カゴにたくさん入っているコーヒーの実を見て私は言った。


「これ全部……なかなか大変だな」


 デイカーがカゴに入っているコーヒーの実を見て言った。


「……本当だね。これ、魔道具でなんとかならないの?」


 クードがデイカーに聞いた。


「……確か、この後は実から種を取り出して、それを乾燥させて、焙煎して粉にするんだったな?」


 デイカーが答えた。


「うゎ〜まだそんなにやることがあるんだっけ?」


「ええ、そうよ」


「パンを作るために必要な小麦を粉にする魔道具があるのを知っているか?」


「実際には見たことはないけど、小麦粉を買っているからそういうのがあるんだろうとは思っていたわ」


「それをコーヒーの実のために改良したらコーヒーの粉ができるんじゃないだろうか?」


「それ、いいんじゃない? さすが天才魔道具師だね。思いつきが違うよ!」


「それがあればコーヒーが飲めるようになるら?」


「多分」


「じゃあデイカー、作るら! コロン、コーヒー飲みたいら」


「わかった。俺もまたコーヒーが飲みたいから作ろう」


 そんな魔道具を作ってもらえたらすごくありがたいが、コーヒーは焙煎した豆から粉にしてしまうと酸化が進んで不味くなってしまう。


 だから、焙煎した豆のままで保存して、飲む時に挽くのがよい。


「デイカー、魔道具で粉まで一気にしてしまうんじゃなくて、焙煎までに止めておくことはできるかしら?」


「ああ、小麦を粉にする魔道具も工程ごとに止めることができるから、同じようにすることも可能だ」


「粉にしないとコーヒーが飲めないんじゃないの? だったら一気にした方がいいんじゃないの?」


 クードのいうことはもっともだ。


 でも粉にすると酸化してしまうことを私が知っているのはおかしい気がする。


 どうしようか……。


 ……そういえば、さっき例に出していた小麦も粉にすると劣化していくものだったわ。


「コーヒーのことじゃないんだけど、パンに使っている小麦は一気に粉にしてしまうと劣化してしまうらしいの。だから一気には粉にしないで、使う分だけしていると納品の時に聞いたことがあるの」


「それは俺も聞いたことがある。パン屋の店主がエルがいうように話していた」


 デイカーも小麦のことは知っていたようだ。


「だからコーヒーも同じなんじゃないかなって思って」


「へー、そういうものなんだね」


 クードは納得したようだ。


「デイカー、できれば粉にだけは別でできるようにならないかしら?」


「どういうことだ?」


「多分、その魔道具って大きいものよね?それを置ける場所って限られると思うの。そうすると、コーヒーを淹れるたびに豆を挽こうと思うと場所を移動しなくてはいけないわ。それだとちょっとお店をオープンしていると難しいと思うの」


「そうか……。それもそうだな」


「……そういえばさ、あの冒険者、なんか機械みたいなのを使ってその場で粉にしてたよね? 見てなかった?」


 クードが何か思い出してくれたようだ。


「コロンも見たら。なんか手で小さい機械を動かして粉にしてたら」


 その機械を私は欲しいのだ。


「残念ながら俺は見てなかった。どんなものだろうか?」


「エル、ちょっとこの続きは中でしないか?」


 クードが中に入ることを勧めてきた。


「ええ、いいわ」


「それで、僕に紙とペンを貸してくれないか?」


「わかりました〜じゃあ、私が2階から紙とペンを取ってきますよ!」


 みんなで店の中へ戻り、シサは2階へ紙とペンを取りに行ってくれた。


「はい、紙とペンです!」


 シサが紙とペンを持って戻ってきた。


「ありがとう。これに僕が見た粉にしていた機械の絵を描くね」


 そう言ってクードが紙に絵を描いてくれたのだが……。


「コロン、こんな感じだったよね?」


「……クードの絵じゃ、コロン、よくわからないら……」


 クードは絵心がないようで、四角い物体にハンドルがついているだけの絵だった。


「うーん、この中が開いて、そこに茶色い種を入れて、ハンドルを回して粉にしてたと思うんだけど……」


 クードは一生懸命自分の描いた絵を使って見た機械の説明をしてくれた。


「クードの説明で、なんとなくわかった。クード、紙とペンを貸してくれないか?」


「うん」


 クードから紙とペンを受け取り、デイカーがサラサラと紙に絵を描いた。


「こういう感じのものだろう?」


「そうそう!さすがデイカー!そういう感じのものだったよ」


 デイカーの描いた絵を見ると私が前世で使っていたような手動のミルサーの絵が描かれていた。


「デイカーって絵が上手いのね」


「本当ですね〜上手いわ〜!!」


 私とシサは感心した。


「俺は普段、魔道具の設計図を書くからな。エルが考えていたものもこれで良かったか?」


「ええ、それでいいわ」


「これなら魔道具じゃなくて、そういう道具を作って貰えばいいだろう」


「そんなものを作ってくれるところがあるのかしら?」


「ああ。俺の知り合いでそういう道具を作る職人がいる。その職人に頼めば作れると思う」


「ありがとう。お願いしたいわ。それと、道具で思い出したのだけど、これの自動のものを作ってもらうこともできないかしら?」


 私は電動泡立て器のことを思い出し、泡立て器をデイカー達に見せた。


「何? この鳥籠ようなものがついた道具」


 鳥籠のようなもの……料理をしないクードにはそう見えるのか。


「泡立て器って言って、シフォンケーキを作るのに使う道具よ」


「シフォンケーキ!!」


 コロンがシフォンケーキと聞いて反応した。


「これでどうやってシフォンケーキを作るら?」


「これだけで作るんじゃないんだけど、これが一番大事な道具と言っていいくらいのものなの」


「へー、この鳥籠みたいなものがついた道具でね〜」


「これで卵の白身を泡立ててメレンゲっていうものを作るんだけど……ちょっと見せるわね」


 私は卵を割って、白身と黄身に分けて、白身を器に入れた。


 そして、一気に泡立て器で泡立てて、メレンゲを作って見せた。


「こんな感じ」


「……すごいな」


 デイカーは静かに驚いてぼそっと呟いた。


「これは手でやるのは大変だよね……」


「たくさん作ってたら手が痛くなるら。これじゃあ、エルの手が心配になるら」


 コロンは主食のシフォンケーキよりも私の手を心配してくれた。


「だから、自動でできるものが欲しくて……」


「わかった。イメージなどあるだろうか?」


 私はデイカーに言われ、前世の電動泡立て器の絵を描いて、細かい解説も書いておいた。


「……僕も絵心ないけど、エルもないね」


「何かよくわからんら」


 クードとコロンにはわかってもらえなかった。


 デイカーは私の描いた絵と解説をじっと見て言った。


「俺はわかった。スイッチを入れたら、クードの言う鳥籠のようなところが動いてエルが作ったメレンゲというものが素早く作れればいいんだろう?」


「そうよ。その通りよ」


 さすがデイカー、私の要望を理解してくれた。


「それは簡単だけど、魔道具になるから俺がまた作ってみよう」


「ありがとう。すごく助かるわ」


「デイカー、ありがとら。コロンからもお礼を言うら。これでシフォンケーキも安泰ら」


 デイカーは嬉しそうに頷いた。


「では、確認するが、コーヒーの実を焙煎までできる魔道具と手動で粉にする道具、それから自動でメレンゲが作れる魔道具を作って持ってこればいいんだな?」


「ええ、そうよ。たくさんお願いしてしまって申し訳ないけど……」


 本当は蔵のことも相談したかったが、さすがにたくさん頼みすぎている。


 ……違う時にしようと思った。


「大丈夫だ。ちょっとこれは全て出来上がるまでに時間がかかると思うが、出来上がったものから持ってこよう」


「ありがとう。それでいいわ」


「デイカー、それで代金のことだけど……」


「エルには色々と世話になっているし、俺達が通うカフェで必要なものだから、もらわなくてもいいんだが、それだとエルは嫌だろう」


「そうね、気持ちはすごく嬉しいけど」


「では、5万トピーでどうだ?」


「5万トピー……私がこの前大討伐の弁当でいただいた代金と同じだわ」


「ああ」


「ありがとう」


「代金は、最後にできたものを持ってきた時にいただくよ」


「わかったわ。用意しておくわね」


 デイカーは私がデイカー達からいただいた代金と同じなら、何も言わずに出すだろうと思って言ったんだろう。


 正直、この価格でも、魔道具を二つも作ってもらい、道具までお願いしているので破格だった。


「エルがもし払えなくても、心配しないら。その時はコロンが出すら」


「コロンは自分の大事なシフォンケーキとコーヒーのためだもんね。そりゃそうだよね〜。エルももう、この際コロンに出して貰えば?」


「大丈夫よ。気持ちだけ受け取っておくわ」


 コロンがいくらシフォンケーキとコーヒーが好きでも、お店では他のお客様も来て食べたり飲んだりするのだ。


 コロンだけのためのものではないので、コロンに払ってもらうわけにはいかない。


「……話もまとまったし、そろそろ僕達は帰ろうかな」


「そうだな。定休日なのにいきなり来てすまなかった」


「ありがとら」


「ううん、元気な姿が見れて良かったわ。こちらこそ、色々ありがとう」


「ありがとうございました〜。魔道具楽しみにしてます〜」


 私とシサはお礼を言った。


「明日もまた日替わりランチ楽しみにくるよ」


「じゃあまた明日お邪魔するね」


「コロンもまた明日くるら」


 そう言って、デイカー、クード、コロンの三人は帰っていった。


お読みいただきありがとうございました。もし作品を楽しんでいただけましたら、お気に入り登録や評価などいただけると大変励みになります。

是非是非よろしくお願い致します!!m(_ _)m


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