第26話 コーヒーの実からコーヒーの木になるコロンの魔法
よろしくお願い致します。
「ありがとう」
私はお礼を言った。
「いいってことら。エル、これどうするら?」
コロンからコーヒーの実をもらった。
前世ではカフェには必ずコーヒーがあった。
でもこの世界のカフェの主流は紅茶だった。
私はコーヒーもあればいいのになと密かに思っていたけど、今までこの世界で生きてきて、出会ったことがないので諦めていた。
このコーヒーの実でコーヒーを作ることはできるんだろうけど、これだけじゃ一杯分にもならないだろう。
…………。
……確か、コーヒーの実からコーヒーの木ができて、また実がなるんだと思う。
……植えてみようかな。
植えてみて、木に育って、コーヒーの実がなるようになればコーヒーをお店で出すことができるんじゃないか。
「……私、これを家の外に植えようと思うわ」
「植えるら?」
「ええ。実だから植えたら芽が出てくるんじゃないかって思って」
「芽が出てくるら?」
「どうかしら?やったことないから……わからないけど、袋にはたくさん入ってるから、まずは何粒か植えてみるわ」
「楽しそうですね! 私、外の花と一緒に水をあげますよ」
「ありがとう。一緒にこれも育ててみましょう」
「すぐ芽が出るら?」
「うーん、どうかしらね……」
「……じゃあ、コロン、少し手助けするら」
「もしかして、あの魔法を使うのか?」
クードが聞いた。
「……そうら。普段は使わないけど、特別ら」
コロンは自分がお土産に持ってきたせいか、魔法で手助けしてくれるという。
「魔法を使うとどうなるんですか?」
「早く大きくなるら」
「そうだな、コロンの魔法を使えば通常とは違った速さで農作物が育つ。でもそれを公に使ってしまうと、農作物の均衡が崩れて、色々なところに影響を及ぼしてしまう」
「そうら。でもエルにあげたこの実だけなら、ここでコーヒーが飲めるようになるら」
「コロンはコーヒーとシフォンケーキの組み合わせをすごく気に入ってたもんね。お代わりないのかって聞いたりしてさ」
「そうら! コロンはシフォンケーキをコーヒーで楽しみたいら」
案の定、コロンは自分の主食のシフォンケーキのためだったようだ……。
やっぱりコロンはコロンだった。
コロンの言葉に甘えて、みんなで外に出て、コーヒーの実を植えに行った。
一軒家にはぐるっと囲うように空いたスペースがあった。
コーヒーの木は確か日陰で育てるものだと、前世で聞いたことを私は覚えていた。
日当たりを考えると一軒家の後ろが良さそうだと思った。
「じゃあ、ここに植えるわ」
一軒家の後ろの日陰になっているところにコーヒーの実を植えた。
「わかったら。じゃあ今から魔法を使うら」
「**********」
コロンが言葉とは違う何かを唱えると、あっという間にコーヒーの実が大きなコーヒーの木になっていた。
花も咲いており、とてもいい香りがした。
「すごーい!! これがS級の魔法使いなんですね!」
「本当ね!」
シサと私は初めてみる魔法に興奮していた。
「エッヘンら」
コロンが自慢げに胸を張った。
「すごいよ。この木、ちゃんともう実がなってる」
私達がコロンの魔法に興奮しているところ、当たり前のようにコーヒーの木を確認してクードが言った。
「本当だ。やっぱりすごいな、コロンの魔法は」
デイカーもクードと同じようにコーヒーの実を見ていた。
「これはもう収穫しても良さそうね」
私もコーヒーの実を確認した。
「じゃあ、せっかくだからみんなでコーヒーの実を収穫しようよ」
クードの声掛けで私達は今から一緒にコーヒーの実を収穫することになった。
「私、何か入れ物を持ってきますね」
何も持たずに植えにきていたので、シサが入れ物を取りに行ってくれた。
「ありがとう。さすがシサ!」
クードに褒められてちょっと嬉しそうにシサが入れ物を取りに店に戻った。
「でも、一本だと、少ししかコーヒーが出来ないわね……」
「いや、これがコロンの魔法のすごいところで、とったらまたすぐに実がなるんだ」
デイカーが驚くことを言った。
「えっ……」
「はーい、入れ物を持ってきましたよ。いいのがありました」
シサが持ち手のついたカゴを持ってきた。
「ありがとう。じゃあ収穫しようか」
みんなで一斉にコーヒーの実を収穫していった。
「もう全部収穫できたようだな。エル、木を見てくれ」
デイカーの言葉でコーヒーの木を見ると、さっき全ての実を収穫したはずが、もう新しく実がなっていた。
「……すごいわ」
「……えっ! すごっ!どうなっているんですか?」
私とシサは驚きすぎて、すぐに言葉が出なかった。
「シサ、コロンの魔法で大きくした農作物は収穫してもまたすぐにできるんだよ」
クードが入れ物を取りに行っていたシサに説明した。
「……やっぱり規格外なんですね……」
「……これがコロンの魔法を公に使えない大きな理由なんだ」
デイカーが気まずそうに言った。
カフェでコーヒーを出そうとしている私にとってはありがたいけど、バレたら国を揺るがすほどの魔法には間違いない。
「だから使わないら」
私もそれがいいと思う。
「この魔法っていつまで持つんですか?」
シサが私の気持ちを代弁してくれた。
「このような魔法は一度かけたら、かけた魔法使いが亡くなるまでは消えないものだ」
「僕のような回復師が使う回復魔法はまた種類が違って、基本的にその時だけなんだけどね」
色々な魔法が存在するのね。
「そうら。だからコロンが生きている間は大丈夫ら!」
コーヒーの木を見れば、コロンの安否もわかるのね。
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