第24話 大討伐へ向かう日 デイカー視点
よろしくお願い致します
今日から俺達は、自国のラデュレラ王国に戻って大討伐に参加する。
俺はいつもよりも早く起きていた。
エルのところへ寄って弁当を受け取り、昼にはラデュレラ王国に着いている必要があったからだ。
先にカイヤ町の宿屋を出て、あとでナイト街の港でみんなと合流して一緒にラデュレラ王国へ向かう。
まだ出発までには随分と時間があるのだが……。
「みんな早起きだな」
まだ早すぎて準備中だった宿屋の食堂ではコロン、フェオ、クードが座っていた。
「コロン、エルの作った弁当がどんなか楽しみで早く目が覚めたら〜」
「俺は大討伐への興奮で目が早く覚めてしまった」
「僕は女性に付き合って、帰ってくるのが遅くなって、眠れなかったから起きちゃった」
大討伐への不安があって早く起きてしまっていたのかと心配していたが、そんなことはなかったようだ。
やっぱり一緒にS級まで上り詰めただけある。
「じゃあ、俺はエルのところへ行って弁当を受け取ってくる」
「ありがとう。じゃあ僕達はひと足さきにナイト街に行ってるね」
「頼むら」
「デイカー、ありがとう。頼むよ」
みんなに伝えて俺は宿屋を出た。
エルのところまではもう慣れたものだった。
毎日通っているせいか、最初の頃より早く着くようになった。
店の前ではシサが少し大きくなった花に水をやっていた。
「シサ、おはよう。弁当を取りに来た」
「あっ、デイカー!おはようございます。ちょっとオーナーに声をかけますね」
シサは性分なのか、丁寧語が抜けない。
俺はシサに連れられて店の入り口まで行った。
「オーナー! デイカーが弁当を取りに来ましたよ〜」
シサがテーブルのところにいたエルに声をかけた。
「おはよう、弁当を取りに来た」
俺もエルに声をかけた。
エルが入り口まで来た。
「おはよう。料理はできているわ。リュックの中に魔道具があるのかしら?」
「ああ、そうだ」
「じゃあ、下ろして出してもらえる? そこに作った料理を詰めるわね」
「ああ。この魔道具は起動させなくてはいけないので、詰めるところに立ちあってもいいだろうか?」
「ええ、お願いするわ」
エルに付いて俺は店の中に入っていった。
入り口にいた時は見えなかったが、三つのテーブル一杯に料理が並んでいた。
俺達四人分の四日分の料理だから、多いとは思っていたが、まさかこんなに沢山の料理を作ってくれていたとは思わなかった。
「すごい量を作ってくれたのだな。こんなにあればみんな喜ぶだろう。ありがとう」
俺は素直な気持ちとともに、エルにお礼を伝えた。
「いえいえ、体力も気力も使うだろうから食べ応えのあるもので、楽しみにしてもらえるようなものを作ってみたわ。もちろん、リクエストの料理も忘れずに作ってあるわ」
「気遣ってくれてありがとう。じゃあ魔道具に詰めていこう。容器が何個あれば足りるのか?」
「十五個ね」
「……多いと思っていたが、十五種類も作ってくれていたのか……。大変だっただろう。本当にありがとう」
シサに少しは手伝ってもらったかもしれないが、一人でこれだけのものを作るのはとても大変だったと思う。
「私、料理でデイカー達の大討伐を応援したかったから。頑張ってきてね」
エルの気持ちが本当に俺は嬉しかった。
エルがシサと十五個全ての容器に料理を詰めた。
「デイカー、詰め終わったわ。魔道具って便利ね」
「ああ、便利にするためのものだからな」
「あと、これは料理名を書いた紙よ。どれがどの料理なのか説明するわね」
エルが一つ一つの料理の説明をしてくれた。
「よくわかったよ。ありがとう。知らない料理もあって、食べるのが楽しみだ」
食べる時にみんなにも伝えよう。
俺は再びリュックの中に料理の入った容器を入れた。
「ありがとう。じゃあ、これからみんなと合流して大討伐へ行ってくる」
俺は代金を支払った。
「どこで合流するの?」
「ナイト街だ。そこの港からラデュレラ王国行きの船に乗っていく」
「そうなのね。遠いのかしら?」
エルはラデュレラ王国へ来たことがないようだ。
「いや、そんなに遠くないから、こうやって取りにこれる。また帰ったら、ここにくるよ」
普段からラデュレラ王国からここへ行ったり来たりしている俺には日常茶飯事だった。
「はい。行ってらっしゃい、無事に帰ってくるのをここで待ってるわね」
「いってらっしゃい。気をつけて」
俺はエルのカフェを後にした。
そして、そのまま俺はナイト街へ向かった。
ナイト街にある港からラデュレラ王国へ向かう。
みんなとは港の船乗り場で待ち合わせていた。
(エルのところでは、そんなに時間がかからずに弁当を受け取ることができたから、思ったより早く待ち合わせ場所に行けるだろう)
ナイト街へ着いて、時間を確認すると思った通り、予定より早く着くことが出来た。
「おぉ〜デイカー!早いら〜」
「無事に間に合って良かったよ。受け取りありがとう」
船乗り場へ行くと、コロンとフェオが俺に気づいた。
クードは女性に声をかけられており、一生懸命あしらっている最中だった。
「クードは相変わらずだな……」
「そうら〜、さっきは別の女性に声をかけられてたんら」
「なんとかしてやろうと思って、俺がクードに声をかけたんだが、女性に睨まれてしまった」
女性にしてみたら、今話してるのに邪魔しないでくれってことか……。
……クードも大変だ。
「でもそろそろ船が出る時間だ」
「そうだな。これじゃあ間に合わないかもしれないな……」
フェオはお手上げとでも言うようにポーズをとった。
「このままじゃ遅れるら。デイカー、なんとかするら」
コロンに頼まれ、俺はクードに話しかけている女性に声をかけて、クードから引き剥がした。
「デイカー、助かったよ。もう全然埒が明かなくてさ」
「相変わらず大変だな」
いつものことだが、当の本人はたまったもんじゃないだろう。
「僕もデイカーのように普段は輝きを消せるようにならないとな」
「そうら〜、デイカーを見習うら」
……クードは冒険者での俺と王太子での俺との違いを暗に言っているんだろう。
なんとか俺達は時間通りに船に乗る事ができ、自国であるラデュレラ王国へ大討伐に向かった。
「今回は僕達が中心で、リーダーの君が指揮を執るんだったよね?」
クードが俺に確認してきた。
「あぁ、その予定になっている。君たちには普段より負担がかかってしまって申し訳ない」
今回の大討伐は三十人程の冒険者が世界各国から集まるのだが、俺達以外はみんなA級の冒険者だ。
S級の冒険者はここ最近おらず、俺達がなったのが数十年振りだった。
「いいら〜、コロンは大討伐中でも、エルのシフォンケーキや弁当が食べれるから気にしないら」
「俺もS級になって初めての大討伐だから、今回はワクワクしてるから、全然気にならない」
「そうだよ。そんなことよりも僕は、詐病を使って僕のところに来る冒険者の女性がいるんじゃないかって方が心配だよ……」
俺が気にかけるまでもなく、それぞれは違う思惑を持って大討伐に挑んでいたのだった。
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