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第21話 麹の力で作る料理と粒なし甘酒

よろしくお願い致します

 また定休日になり、塩麹と醤油麹を仕込んで一週間が経つ。


 容器から甘い香りが漂っていたので、そろそろ塩麹と醤油麹が出来上がっている頃だろう。


 確認すると、仕込んだ時と米麹の雰囲気が変わり、粒も潰れていた。


 出来上がったようだ。


 味見をしてみると、塩麹は独特な甘味のあるしょっぱさが感じられた。


 醤油麹の方は、作り方は知っていたが、作るのも、味をみるのも初めてだった。


 醤油の味がするのに麹の味もする不思議な感じだった。


 私は醤油の味が好きなので、醤油麹の方が美味しく感じられた。


「うん。上手くできてるわ」


「出来上がったんですね!」


「ええ。これを使って新しく料理を作っていくわ」


「……デイカー様は天才魔道具師ですけど、エルティアお嬢様もすごいですよね」


「シサ、いきなりどうしたの?」


「エルティアお嬢様が十四歳で前世と言われる記憶を思い出して、周りに合わせながらも、カフェオープンのために必死に準備をして、本当にカフェをオープンしたことが、私は横でずっと見ていて、すごいなぁと思っていました」


「シサ……」


「それだけではなくて、次々と美味しい料理を作り出したり、こうやって調味料も作ったりと私はエルティアお嬢様も天才料理人だと思っていますよ」


 シサは言わなかったが、今までずっとそばについていたのに、私が料理をしているところを見たことがなかった。


 それもあって、カフェを開いて、本当に人様に食べてもらえるような料理ができるのか不安に思っていたのもあったんだろう。


 私自身もカフェの準備とゲーム通りの行動をするのにいっぱいだったし、料理を披露することで、違う展開になってしまい、カフェを開くことができなくなるのも避けたかった。


 でも、料理の感覚は前世で料理が身近な環境でずっと過ごしてきたので、転生しても身体が覚えていた。


 それに、やっぱり自分がやりたかった事は忘れない。


「そんな……私は楽しく自由にカフェをやっているだけよ」


「エルティアお嬢様はカフェを開いて、とてもイキイキしていますね」


 シサが嬉しそうに言ってくれた。


「シサも手伝ってくれてありがとう」


「いえいえ、私もエルティアお嬢様のおかげでとても楽しいですよ。ありがとうございます」


 私は照れたのを誤魔化すように、さっきの続きを再開した。


 塩麹も醤油麹も色々な料理に使える調味料だけど、私は最初に塩麹を使って肉を漬け込んで焼いてみる。


 硬い肉やパサつく肉も麹のおかげで柔らかくなる。


「間違えて鶏胸肉を沢山仕入れてしまって売れ残ったんだけど、捨てるのも勿体無いから、よかったら使ってほしい」


 そう言って、この前、肉屋の店主が沢山くれた鶏胸肉を使う。


 鶏胸肉は塩麹に漬け込むと驚くほど柔らかく、ジューシーになるのだ。


 前世で祖母が食べさせてくれてから、大好きなものに早変わりした経緯がある。


 鶏胸肉を一口大に切って、容器に入れる。


 そこに塩麹をスプーンで塗って、一晩保冷の魔道具の中に入れておく。


 沢山あるから明日の日替わりランチに使える。


 明日は鶏胸肉の塩麹焼きにしよう。


「これでいいわ。今度は醤油麹で野菜の和え物を作るわ」


「野菜はさつま芋、人参は残っていますけど、あとはもうないですね」


 シサが野菜の保存箱を見ていった。


 今日は定休日で食材の納品日だったので、あとで届くだろう。


 私は、さつま芋と人参を一口大の大きさに切り、茹でた。


 茹で上がったさつま芋と人参を醤油麹で和えた。


「和え物できたわ!」


 一口味見してみる。


 甘いさつま芋と人参に醤油麹の味がいい感じになって、甘塩っぱい和え物になった。


 醤油麹の和え物は明日も何か野菜で作って、鶏胸肉の付け合わせに使おう。


 明日は麹づくしのメニューだ。


 シサにも食べてもらう。


「シサ、ちょっとこれを食べてみて。どうかしら」


「はーい」


 ヒョイっと口に入れた。


もぐもぐもぐ


「甘しょっぱくて美味しいですね!」


 甘酒の時は口に合わないようだったけど、これは良いみたい。


「麹が口に合わないってわけじゃなさそうね」


「そうですね。なんでしょうか、私はあのドロっとした感じの飲み物がダメなのかもしれません」


「ポタージュスープは大丈夫なの?」


「あれはドロっとしてるっていうよりどちらかと言うとサラッとしてますよね」


 なんとなくシサの言っていることがわかった。


 米の粒がドロっとして感じるんだろう。


 甘酒を濾して、粒がなければ飲めるのかもしれない。


 この世界にはミキサーがないので、泡立て器を使って粒を潰せばいい。


 ちょっと試してみようと思った。


 私はまた甘酒の材料を用意して、魔道具で甘酒を作った。


 そしてできた甘酒を泡立て器で撹拌して粒を潰して、コップに入れてシサに渡す。


「シサ、ちょっとこれを飲んでみてくれる?」


 シサは何かわからないので不思議そうな顔をして受け取った。


「? はい。なんですか? これ?」


「飲んだ感想を言ってくれたら教えるわ」


「わかりました」


 ゴクッ


「! これ、甘酒ですか?」


「そうよ。どうかしら?」


「前より飲みやすくて美味しく感じます……なんででしょう?」


「やっぱりそうだったみたいね」


「? なにがですか?」


「甘酒の粒を潰してみたの」


「そうなんですか。粒があったことは覚えていませんでした」


「飲んだのは一度だけだものね。覚えてなくても当然よ。シサが大丈夫なら、デイカー様達はこの前のものより、美味しく飲めるかもしれない」


「そうですね。粒がなくなって飲みやすくなったので良さそうですね」


 明日、デイカー様達が見えたらこれをまた試飲してもらおうと思っている。


 もちろん、この前と同じように他のお客様にもお出ししていく。


お読みいただきありがとうございました。もし作品を楽しんでいただけましたら、お気に入り登録や評価などいただけると大変励みになります。

是非是非よろしくお願い致します!!m(_ _)m


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