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第2話 カフェオープン前日

よろしくお願いいたします

 リード辺境伯領は、領地に入ってもなかなか町にたどり着かない緑が多い場所だ。


 森の中を進んでいくのだが、木々が生い茂っているのは道の周辺で、馬車が通る道は綺麗に整備されて町から街までの道は一本道となっていた。


 森の中にいても、道のおかげで陽が沢山当たるので明るい。


 まるで私のこれからの人生の進みを照らされているように思えて、とても嬉しかった。


 明るい道をまっすぐ進んで、私達は最初にカイヤ町という町に着いた。


 ここで今からカフェの食材や調味料などを仕入れていく。


 町にある店は雑貨屋、八百屋、肉屋、魚屋など四軒の店から揃えることになる。


 カフェとなる一軒家は、この町から少し離れた辺鄙な場所に建っているので、仕入れには馬車を呼んで、馬車に乗って町まで来なければならない。


 不便なので、これからは届けてもらおう。


 それぞれの店主に確認すると配達もやっているそうで、ひとまず週に一回から配達をお願いした。


 お客さんが沢山来てしまって、足りなければ配達回数を増やして貰えばいいと思う。


 これですぐにカフェを開くことができそう。


 必要な食材や調味料などを購入したところで、私達は早速一軒家に向かった。


 町から一軒家まではまた森の中の一本道を通る必要がある。リード辺境伯領は本当に自然が多い。


 その代わり、どこの道もちゃんと整備されており、通りやすかった。


「もうすぐ着くわね。改装の時にしっかり希望を伝えたから、一軒家に着くのが楽しみだわ」


「本当ですね、エルティアお嬢様の希望通りの素敵な一軒家になっているといいですね」



 この森の中の一本道を進んだ先には、潮の香りと共にカモメの鳴き声が聞こえる港街でリード辺境伯領の中心街であるナイト街に着くことができる。


 私のカフェとなる一軒家はそこまでいかず、その手前の辺鄙な場所に建っている。


 進んでいくと、煉瓦造りの家が一軒建っているのが見えてきた。

 

 それが私のカフェとなる一軒家だ。


「やっと一軒家に着いたわね」


「ええ、本当に。ここまで長かったですね」


 私達は一軒家の近くで馬車を降りた。


「やっぱりいつ見ても素敵だわ!」


 私は思わず声を上げた。


 この一軒家は町の中ではなく、森の開けた辺鄙な場所にあるのだが、煉瓦造りがとても素敵で私は一目惚れをして、ここでカフェを開くと決めた。


 入り口のドアには“カフェガーベラ“と書かれた看板が備え付けられていた。


 ガーベラの花言葉は“希望“。私に合っていると思って店の名前にした。


 入り口のドアノブには“close“裏返すと“open“となる看板がかけられていた。


 早速完成を知らせる手紙と共に送られていた鍵で入り口のドアを開ける。


 中に入って室内を見回していくと、入り口横の左右の窓や側壁の左右のフリルのついた可愛らしい白いカーテンのかかった大きめの窓があった。


 窓からは光が差し込み、天井も高い室内はとても明るい印象だった。


 まず、入り口を入ってすぐには二人掛けのテーブルが入り口の窓と並行に二脚並んでいた。


 その奥には四人掛けのテーブルが壁と並行で二脚あり、フロアの最奥にはキッチンと四人掛けのカウンターがあった。


 キッチンにある戸棚には食器がすでに入っており、見えていないが、調理器具も揃えてあった。


 「うん、ちゃんと私が頼んだ通りの内装になってるわ」


 「エルティアお嬢様好みの素敵なカフェになりましたね」


 カフェの外観も内装も自分のイメージ通りで、私はここでカフェを始めることができるのがとても嬉しかった。


 カフェを開く時がやっときたのだ。


 前世を思い出した十四歳から四年間、おとなしくゲーム通りの毎日を送り、ユーディットとアリオン王子から悪役令嬢扱いされても、カフェオープンを胸に頑張ってきた努力が今報われるのだ。


 グゥ〜


 一通り確認しながら夢の実現に浸っていると、突然シサのお腹の音が聞こえた。


「……すみません」


「そういえば、まだお昼食べていなかったわね」


 カイヤ町では買い物をしていて、すっかりお昼を食べ損ねてしまっていた。


「早速何か作ろうと思うわ」


「本当ですか? 嬉しいです!」


「何がいいかしら?」


「エルティアお嬢様にお任せします!」


 私はカイヤ町でいいものが手に入っていたので、スパゲッティを作ることにした。


 私が手に入れた、いいものとは醤油と赤味噌だった。


 雑貨屋の店主が珍しいものがあると教えてくれて、味見をさせてくれたところ、醤油と味噌だったのだ。


 しかも味噌は赤味噌だった。前世、赤味噌を食べていた私はとても嬉しかった。


 まさかこの世界にすでに醤油と味噌があるなんて思いもよらなかったが、前世の乙女ゲームの世界だからなのだろうか。


 醤油と味噌があれば料理の幅が広がる。


 今から作るスパゲティの味付けには醤油は欠かせなかった。


「じゃあ今から和風スパゲティを作るわね」


「和風? なんですか? 和風って?」


「前世でよくこの和風スパゲティを作ってたの。マッシュルーム、玉ねぎ、ベーコン、ニンニクが入って美味しいのよ。楽しみにしてて。でき上がるまで、買ってきた食材をしまっておいてくれるかしら?」


「わかりました」


 私は買ってきた食材の中から和風スパゲティの材料を取り出し、残りをシサに渡した。


 そして、料理に取り掛かる。


 鍋にお湯を沸かしてスパゲティを茹でていく。


 今回のメニューはスパゲティにしたが、ご飯もライスとして存在していた。


 前世のような白いご飯では食べられておらず、リゾットやパエリアのような食べ方ではあったが。


 水を入れた鍋に小さく切った昆布を入れて出汁を作る。せっかくなので多めに作って冷蔵庫にしまっておく。


 その間にマッシュルーム、玉ねぎをスライスして、ニンニクはみじん切り、ベーコンは一口大に切っておく。


 油を引いて温めたフライパンにニンニクを入れて香りを出す。


 その後、玉ねぎ、マッシュルーム、ベーコンを入れて炒めていく。


 次々と調理工程を進めていき、味付けには醤油を使い、隠し味に昆布だしを入れた。


 できた和風スパゲティをフォークと共にシサに出す。


「はい、できたわよ」


 私が料理をしている間にシサは片付け終わっていて、カウンターに座って待っていた。


「ありがとうございます」


 私も自分の分を持ってシサの隣に座る。


「早速食べましょう」


「はい」


 ぱくっ


 一口食べたシサは目を見開いて言った。


「何ですか、これ!? めちゃくちゃ美味しいです!!」


「ふふっ、口に合ってよかったわ」


「こんな味、初めてです! まろやかな味で旨みを感じて……。これ、カフェのメニューで提供したらとても喜ばれると思います!」


「そうね、ちょっと作り置きはできないけど、そんなに喜んでもらえるなら早速提供してみようかしら」


 シサにとても好評だったので早速明日のオープンに提供してみることにした。


お読みいただきありがとうございました。もし作品を楽しんでいただけましたら、お気に入り登録や評価などいただけると大変励みになります。

是非よろしくお願い致します!!m(_ _)m


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