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第16話 三人揃い組

よろしくお願い致します

 昼時のピークが過ぎて、先に注文されていたカレーや日替わりランチの提供が済んだ。


 二人はお待ちになっている間、談笑されていたり、この前と同じように帰られる女性客にクード様が声をかけられたりしていたが、その都度うまくあしらっているようだった。


「すみません、だいぶお待たせしましたが、デザートセットです」


 やっとクード様達のシフォンケーキを提供できた。シサにもゆっくり紅茶を淹れてもらった。


「ありがとう」


「ありがとら」


 クード様がシフォンケーキをフォークで小さく切って口に運ぶ。


 食べ方もとても綺麗で絵になっていた。


 コロン様はそのままフォークで刺していっぺんに口に入れていた……。


 ぱくっ


 もぐもぐもぐ


 クード様の表情が驚きに変わる。


「これは美味しいな! コロンが主食にするっていうのもよくわかる。僕も毎日食べたいくらいだ」


「そうら。クードもコロンと一緒に主食にするら」


「いや…それはしないけど。でもふわふわでしっとりしていて、とても美味しいよ」


「ありがとうございます。お口に合って嬉しいです」


 こればっかり言ってしまっているが、他に言葉が出ない。



 入り口のドアが開いて、男性が入ってきた。


 デイカー様だった。


「まだ日替わりランチは残っているだろうか?」


「デイカー様、いらっしゃいませ。クード様とコロン様がお見えになっていますよ」


「クードとコロンが来ているのか!」


 シサがカウンターに案内した。


「デイカー! 君も来るなら誘えばよかったな」


「いや、俺は来れるかわからなかった」


「そうなのか?」


「ああ、ちょっと船に乗り遅れそうになっていた」


「もしかして、君は隣国から帰ってきたのか?」


「そうだ。ちょっと呼ばれて……」


「……大変だな」


「まあな」


 皆さん隣国の方なのかしら?昨日のフェオ様も隣国の方って言われてたし。


「デイカー、コロン達は今シフォンケーキを食べているら。デイカーもあとでどうら?」


「ああ、まだ食べたことがなかったな。今日は食べていこう」


 あれ?コロン様が前にわけてあげる話があったと思うけど……。


 もうすっかり忘れているようだ。


「デイカー様、いらっしゃいませ。今日の日替わりランチはポークソテーです」


 私もデイカー様に来店の挨拶をする。


「エル殿、こんにちは。今日もお邪魔するよ。そうか。それをお願いする」


「デイカー、カレー美味しかったら。デイカーもどうら?」


「カレー?どういうものだろうか?」


「カレーはスパイスの効いたシチューのようなものだよ。僕も食べたけど美味しかった」


 クード様もコロン様と同じようにカレーをデイカー様に勧めていた。


「カレーには味噌スープが付いてくるのだろうか?」


 デイカー様は味噌スープがお気に入りだった。


「すみません、味噌スープが付くのは日替わりランチのみです」


「ではやっぱり日替わりランチをお願いする」


「わかりました」


「デイカー、君もコロンに負けずによく同じものを毎日食べれるな。飽きないのか?」


「ああ。ここの味噌スープは飽きない」


 ソテー用に少し厚めに切った豚肉に、あらかじめ味をつけておいたので焼くだけでよかった。


 バターをフライパンで溶かしてその上に豚肉を入れて焼いていく。


 ポークソテーには付け合わせでポテトサラダとトマトを添えた。


 味噌スープを温め、ライスを盛り付ける。


「日替わりランチ、できたわ」


 シサに運んでもらう。


「デイカー様、お待たせしました。日替わりランチです」


「ありがとう、早速いただこう」


 いつものようにスプーンで味噌スープを掬って口へ運ぶ。


ゴクッ


「…やっぱり味噌スープは美味しいな」


 デイカー様が笑顔を見せる。


 味噌スープを飲んだのち、ポークソテーを食べられた。


ぱくっ


もぐもぐもぐ


「肉が柔らかくて美味しい。エル殿の作るものはいつもどれも美味しいな」


 そう言って、デイカー様は私に笑顔を向けた。


「ありがとうございます」

 

 気になっていたことをデイカー様に聞いていく。


「そういえば、昨日フェオ様とおっしゃる方がお見えになりました。デイカー様と同じ冒険者で仲間っておっしゃってましたよ」


「ああ、フェオは一緒にパーティを組んでいるが……フェオが来たのか? 昨日はここは定休日だったはず……」


「はい、昨日定休日でしたけど、ちょっと訳があってお見えになったんですよ」


「フェオのことだから、きっとお腹が空いて我慢ができなかったんじゃないか?」


 クード様、鋭い。


「いいら〜昨日やってたならコロンも来たかったら」


「フェオがイレギュラーだったんだよ」


「そうですね、シサがたまたま花の種に水をやりに行った時に気づいたので、もしそうじゃなければ気づかなかったですね」

 

 フェオ様のことは本当に偶然だった。


「デイカー様、シフォンケーキお出ししますか?」


 シサがデイカー様に尋ねた。


 気づくともうすでに日替わりランチは食べ終わっていた。


「ああ、お願いしたい」


 シフォンケーキを準備して、シサに紅茶を淹れてもらう。


「はい、どうぞ、お待たせいたしました」


「ありがとう」


「シフォンケーキはめちゃくちゃ美味しかったよ。コロンの主食発言が理解できるくらいだ」


「そうら。デイカーも主食にするら」


「それは楽しみだ。いただくとするか」


ぱくっ


もぐもぐもぐ


「……本当だ。二人のいう通りだ。これは俺もコロンのように毎日食べたいくらいだ」


「そうら!!」


「デイカー様のお口に合って光栄です」


「今日は俺もシフォンケーキの持ち帰りを頼みたい」


「わかりました。ありがとうございます。何切れにしましょうか?」


「……残りを全て」


「…わかりました!今日はあと三切れ残っていますので、三切れお包みいたしますね」


 私はにっこり笑った。心なしかデイカー様の顔が赤いように見えた。


 デイカー様もシフォンケーキの虜になってしまわれたようだ。


「デイカー、君もコロンと同じようにシフォンケーキにハマったな」


「ああ」


「やっぱりデイカーも主食にするら」


「……考えておこう」


「あの様子だとそのうちデイカー様も毎日シフォンケーキ買いにくるかもしれないですね」


 いつものようにシサが小声でコソッと話しかけてきた。


「そうね」


 私は苦笑いをしながらシサに答えたのだった。




 デイカー様が食べ終わり、そろそろ三人とも帰るところだ。


 私はデイカー様に頼まれた持ち帰り用のシフォンケーキを包んでいた。


「エル殿、お願いしたいことがあるのだが、いいだろうか?」


 デイカー様が話しかけてきた。


「はい、なんでしょうか?」


「今度、大掛かりな討伐があって、一週間こちらに来れないんだ。コロンのシフォンケーキのこともあるし、弁当を作っていただけないだろうか?」


「大掛かりな討伐って、A級以上の冒険者しか呼ばれないものですよね?確か」


「うん、そう。シサ殿は詳しいですね。僕たちはS級冒険者なんです」


 クード様が答える。


「えっ!! 皆さんはS級の冒険者なんですか?」


「コロン達、最近なったら」


「そうなんですね……。すごいですね。だからコロン様は魔法でここまで来れるんだ」


「それくらいの魔法はS級じゃなくてもできるら」


「回復師の僕でもできますね」


「そうなんですか、それは失礼いたしました」


 シサは弟が冒険者だったので、冒険者のことをよく知っていた。


 私も昔、侯爵令嬢の嗜みで知識として一応冒険者について学んではいたが、あとはシサから弟の話を聞く程度だった。


「それでエル殿、お願いできないだろうか?」


「それはデイカー様、クード様、コロン様、フェオ様の四人分でいいのでしょうか?」


「ああ、そうだ。俺達はその四人でパーティを組んでいる」


「すみません……弁当は一週間、日持ちしないと思います。一食なら大丈夫だと思いますが……」


「魔道具を使って保存できるから大丈夫だ」


「わ〜! すごい! そんな魔道具があるんですね!」


「私も初めて知ったわ」


「デイカーは天才魔道具師なんだよ。普通の魔道具師では作れないものが作れるんだ」


「そうら〜 それでコロン達も色々助けてもらってるら」


「それなら一週間分のお弁当は大丈夫ですね。それはいつ頃でしょうか?」


「大討伐の時期は来月の初旬だ」


 来月の初旬…今はまだ前月の中旬だ。


 まだ時間があるから、色々と試作して弁当の中身を考えることもできる。


「わかりました。いいですよ」


「ありがとう。引き受けてくれてとても嬉しい。ところで代金だが、材料がいると思うので、先に支払っておきたい」


「お気遣いありがとうございます。まだメニューとか何も考えていないので、それは後からでいいですが、どれくらいかかるかは知りたいですよね?」


「いや、いくらかかってもいいので、エル殿の自慢の料理をいただきたい」


「わぁ〜料理人冥利に尽きますね! オーナー!」

 

「本当にね。ありがとうございます。では腕によりをかけて作らせていただきますね」


「ああ。よろしく頼む」


「大討伐中でもシフォンケーキの心配がなさそうで嬉しいら」


「よかったね、コロン。デイカーのおかげだよ」


「そうら。デイカーありがとら」


「今月中にはどんなものを作るのかお伝えしますね。それと代金も」


「ああ。わかった。こちらもはっきりとした日時が分かり次第お伝えする」


「はい、よろしくお願いします」


 クード様とコロン様が会計を済ませた。


「じゃあ、またお邪魔しますね」


「コロンもまた明日くるら」


 私はデイカー様に包んだシフォンケーキを渡した。


「ありがとう」


 シフォンケーキと交換にデイカー様は会計を済ませた。


 そして三人は店を後にした。


お読みいただきありがとうございました。もし作品を楽しんでいただけましたら、お気に入り登録や評価などいただけると大変励みになります。

是非是非よろしくお願い致します!!m(_ _)m

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