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第14話 店休日にきたお客様

よろしくお願い致します

「私、蒔いた種に水をやってきますね」


 シサが外に向かう。あれから毎日水をやって、少しずつ芽が出てきている。


「エルティアお嬢様、外に人影があります。定休日なのを気づいてないんでしょうかね」


 外へ出ようと店の入り口のそばまで行ったシサが戻ってきた。


「もし、お客様が来られていて、どうしても何か食べたいようなら、さっきの試作があるからそれをお出ししようかしら」


 定休日を決めてから、前日には明日が定休日だと来られたお客様に伝えている。


 初めてのお客様だと入り口のドアにかかったcloseの札に気づかなければわからない。


「わかりました。ちょっと外に行って本当にお客様なのか見てきますね」


 シサが再び入り口の外に向かう。


 少しして入り口のドアが開き、シサと若い男性が中に入ってきた。


 男性は金髪で筋骨隆々というのか逞しい体型の男性だった。


「エル…オーナー、やっぱりお客様で、何か食べさせて欲しいみたいです」


「定休日なのに申し訳ない。カイヤ町からナイト街へ向かう途中で、どうしても腹が減ってしまって……」


「そうでしたか。いえいえ、ちょうど試作をして余っている料理があったので、それでよければどうぞ」


 そういえばライスはさっき二人で食べて無くなっていたから、バゲットで提供する。


「ありがとうございます。自分はなんでも食べられるので、お願い致します」


 見た目が逞しいので、もっとぶっきらぼうな感じかと思ったが、とても丁寧な方のようだ。


「こちらのカウンターへお座りください。今準備しますね」


 男性がカウンターに座る。身体が大きいので椅子が小さく見えた。


 カレーとバゲットを温めて提供する。


「準備できたわ」


 シサに運んでもらう。


「お待たせいたしました。どうぞ」


「早いな〜もうできたのか。ありがとうざいます」


 作り置きができて温めるだけの料理は楽でいい。


「これはなんていう料理だろうか?初めて食べるな」


「これはカレーと言って、スパイスの効いたシチューのようなものです。バゲットを浸けながら食べます。それからお好みで、この調味料をかけてください。辛くなります」


「ありがとう。最初はそのまま食べてみて、辛くしたいと思ったら使ってみようと思う」


ぱくっ


もぐもぐもぐ


「うまい!! 俺はもう少し辛くても食べれそうだ。この調味料をかけてみよう」


 そう言って男性は思いっきりチリペッパーをカレーにかけてしまった。


「あっ、かけすぎかも」


「えっ。そうなのか?」


「ちょっと辛くなりすぎてしまったかもしれません。もし、辛くなりすぎて食べれなければまだあるので、新しいものをお出ししますよ」


 黄色いカレーが赤くなっていた。あれはかけすぎていると思う。


 でも男性は気にせずそのまま一口食べていた。


ぱくっ


もぐもぐ


「お〜これは刺激的だ〜! 辛いけどうまい!!」


「なんか色が変わるくらいかかっていましたけど、あの男性、辛いもの好きなんですね」


 シサがいつものように小声で話しかけてきた。シサはお客様の観察が好きなようで気になった人がいるといつも報告してくれる。


「そうね。私はちょっと食べれないけど」


「私もですね」


 本当はライスがあったらもっと良かったと思う。個人的にはカレーにはバゲットよりもライスの方が合うと思う。


「申し訳ないのだが、バゲットのおかわりはできるのだろうか?カレーがまだ残っていて……」


「ありますよ。温めますね」


 あんなに辛そうなものだと残ったカレーだけでは食べにくいだろう。私は再びバゲットを温めて男性に提供することにした。


「オーナー、私、さっきやろうと思っていた蒔いた種に水をあげてきますね」


「ありがとう」


 シサは再び外へ行った。


 私は温めたバゲットを男性に提供した。


「ありがとうございます。いただきます」


 再びカレーにバゲットを浸けて食べ出した。


 私は食べている男性に話しかけてみた。カウンターでも嫌がらない人は話しかけても大丈夫な人が多い。


「お客様はナイト街へ向かう途中ってさっきおっしゃっていましたけど、お仕事か何かですか?」


「そうです。俺は冒険者で、ナイト街の港を使って隣国からきていて、討伐が休みの時は隣国に戻ったりしています」


「冒険者…デイカー様と同じだわ」


「!? 店主殿はデイカーを知っているのか?」


「ええ、ここの常連のお客様です」


「常連? もしかして、ここがデイカーが以前言っていたカフェなのか」


「お客様もデイカー様とお知り合いなんですか?」


「俺はデイカーとパーティを組んでいる冒険者でフェオと言います」


 デイカー様のお仲間は皆さん律儀に名前を名乗ってくれる。


「そうなんですね、私はここのオーナーのエルと言います。先程こちらに案内した女性はシサと言います。よろしくお願いしますね」


「こちらこそよろしくお願いします。カレーとやらはとても美味しかった。また食べにきます」


「ありがとうございます」


 話しながらもフェオ様はカレーを食べ終えて、もうそろそろ帰ろうとしていた。


「あの、甘いものはお好きですか?チーズケーキというものも作っていたのですが、いかがですか?」


 私は、帰ろうとするフェオ様を呼び止め、チーズケーキを食べられるか確認した。


「甘いもの? 好きですね。ありがとうございます。いただいて帰ります」


 私はフェオ様にチーズケーキを提供した。


「チーズケーキっていうから白いケーキかと思ったら焼いてあるケーキなんですね」


 白いケーキ! そうか、そういう風に思う人もいるのね。白いチーズのケーキだもんね。


「白いのはレアチーズケーキというものですね。まだそれは提供してませんね」


「思ったことを言ったまでだったが、白いケーキも本当にあるのか…」


「はい。またいずれ機会があれば」


「あるなら食べてみたいものだな。じゃあ、これをいただくよ」


ぱくっ


もぐもぐもぐ


「レモンの爽やかな風味なのに濃厚な味わいで、一切れで十分満足できる食べ応えのあるケーキだ。うまいな」


「ありがとうございます」


 フェオ様の口にも合ったようだ。


「そういえば、エルオーナー殿はコロンも知っているのだろうか?」


「コロン様ですか?ええ、知っておりますよ。毎日うちのシフォンケーキを買いに来てくださってます」


「やっぱりここのものか〜。コロンが主食だと言って毎日食べているケーキを俺は気になっていたんだ」


「あいにく、今日はシフォンケーキは焼いておりませんが、やっている時には焼いてますのでまた食べに来てください」


「ありがとうございます。またお邪魔します」


 シサが水やりから戻ってきた。


「あっ、カレーもチーズケーキも食べられました?美味しいですよね。私もさっき食べたんです」


 フェオ様の空になった皿を見て声をかけていた。


「両方ともとてもうまかった。そろそろお会計をお願いします」


「ありがとうございます。カレーは600トピーで、チーズケーキはこちらが勧めたので今回はお代はいただきません」


 明日からもカレーは600トピーで提供していく。


「チーズケーキの代金はいいのか?」


「はい」


「それならとても美味しかったので、残っていたら買って帰ろう」


「それはどうもありがとうございます! 一切れ500トピーになります。あと三切れ残っていますが、何切れ持ち帰られますか?」


 フェオ様はチーズケーキを気に入ってくださったようだ。


 チーズケーキは六等分に切ってあって、さっきで三切れ減っていた。


 私はフェオ様に金額を伝えた。


 チーズケーキもデザートセットだと600トピーで、持ち帰りは500トピーでシフォンケーキと同じ価格設定だ。


「妹に食べさせてあげたくて、一緒に食べることになると思うから二切れお願いしたい」


 妹へのお土産にされるなんて、よほど気に入ってもらえたのね。嬉しいわ。


「ありがとうございます。1000トピーになります。準備しますね」


 コロン様のことがあってから持ち帰り用の包み紙を用意するようになった。


「はい、お持ち帰り用のチーズケーキです。早めに食べてくださいね」


「ありがとうございます。今日帰ったら食べると思います。じゃあまたお邪魔しますね」


 支払いを済ませてフェオ様は帰っていった。


「あの方、デイカー様のお仲間でフェオ様というのよ」


「デイカー様のお仲間だったんですね」


「全部で何人のパーティを組んでいるのかしらね」


「デイカー様、コロン様、クード様、そして今日のフェオ様で今のところ、四人ですね」


「今度デイカー様がみえたら聞いてみたいわ」


 それに加えてもう少し冒険者のことも聞いてみたいと思った。


お読みいただきありがとうございました。もし作品を楽しんでいただけましたら、お気に入り登録や評価などいただけると大変励みになります。

是非是非よろしくお願い致します!!m(_ _)m

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