第13話 新メニュー
よろしくお願い致します。
今日は週の始まりの月曜日。日にちの考え方は前世と一緒だった。
祝日もあったが、国が違うのだから当然と言えば当然だけど、祝日は違った。
店を始めて気づいたのだが、三日くらいで疲れてしまうので、途中から毎週月曜日と木曜日を定休日とすることにした。
おかげで今のところ身体の調子もよく、ストレスもない。
今日は定休日だ。
私は少し前から考えていたことがあった。それは新しくメニューを増やすことだ。
この一ヶ月、ずっと日替わりランチとシフォンケーキのデザートセットのみでカフェをやっていた。
メニューはこの二つしか用意していなかったけど、毎日作った分は全て売り切れていた。
日替わりランチは五食から始めていたが、今は一日二十食を作っている。
デザートセットも好評で、デザートセットだけで来店される方もいるくらいだった。
それくらい人気なので、シフォンケーキの型を新たに作ってもらい、作る数を増やしていた。
それに、元侯爵令嬢侍女シサが淹れる美味しい紅茶も密かに人気があった。
でも、カフェといえば、もっと何種類かメニューがあるところが多い。
「メニューを少し増やすわ」
私はシサに伝えた。
「いいですね! メニューが増えればお客様も喜びますね!」
やっぱりここは前世でも人気があって、準備しておきやすいカレーを出すことにしようかと思う。
デザートセットの方も、もう一つ増やしてチーズケーキを出そうと思う。
チーズケーキはレアチーズケーキではなくて、ベイクドチーズケーキを出す予定だ。
私がケーキの中で好きなのは一番はシフォンケーキだけど、二番目はベイクドチーズケーキだった。
もう少し増やそうかと思ったけど、作っているのは私一人だし、メニューが増えて提供に時間がかかったり、あれもこれもやらなきゃと忙しくなりすぎてしまうのは避けたかった。
いくら好きなことをやっているとはいえ、最初に決めた楽しく自由に生きるという私のコンセプトにずれてきてしまうようなストレスを感じることはしたくない。
今はこの二つのメニューだけを増やすことにした。
「どんなメニューを増やすんですか?」
「増やすメニューはカレーとチーズケーキよ」
「カレーってなんですか?チーズケーキはなんとなくわかりますけど」
シチューはあったけど、カレーはこの世界にはまだなかった。チーズケーキもなかったけど、名前でわかったのだろう。
「うまく説明になっているかわからないけど、スパイスの効いたシチューよ」
「スパイスの効いたシチューですか! なんとなくわかりましたが、味のイメージはつきませんね」
「うーん…味の説明はちょっと難しいかもしれない。食べてもらったらわかると思うわ」
「そうなんですね」
「それとチーズケーキは名前でわかると思うけど、チーズをたくさん使ったケーキよ」
「やっぱり! チーズでできたケーキですよね」
「でも、チーズケーキって色々な種類があるの。レアチーズケーキだったり、ベイクドチーズケーキだったり、スフレチーズケーキだったりとね」
「そんなにあるんですね。レアチーズケーキって名前面白いですね。レアのチーズってどんなのだろう?」
「他のチーズケーキは全部焼くんだけど、レアチーズケーキは冷やし固めて作るの。下のクラフト生地だけは焼けているけど」
「へぇ〜そうなんですね。じゃあ、食感が違いますよね。食べ比べてみたいな」
知らないとそう思うわよね。そういうものをイベント的に提供してみてもいいかもしれない。
「ちょっと作ってみるからシサに味見してもらいたいわ」
「わー! こうやって味見で先に食べることができるのは嬉しいですね。ありがとうございます」
「こちらこそ、いつも味見してくれてありがとう。できたら呼ぶわね」
今なら昼食の代わりになりそうだ。
「はい、私は2階の掃除をしていますね」
「掃除もありがとう」
「いえいえ。ではやってきます」
シサは2階に上がっていった。
私はカレーを作っていく。前世のようにカレーのルーはないからスパイスを調合して作るカレーだ。
具には鶏肉、玉ねぎ、トマトを使う。
人参とかジャガイモとか色々具を入れてもいいけれど、スパイスカレーはシンプルな具の方が美味しい。
そして、カレーとなるスパイスと生姜とニンニクを使う。
私は辛い方が好きだったけど、シサの好みがわからないのであまり辛くないようにしていく。
味付けには塩を入れて、隠し味に醤油を加えた。
それから水を入れてゆっくり煮込んでいく。
その間にチーズケーキを作っていく。
材料はクリーム状にしたチーズと砂糖、卵、小麦粉、レモン、牛乳だった。
本当は生クリームを使うけど、ないので牛乳だった。
チーズケーキは材料を混ぜ合わせるだけで出来上がるので、先にオーブンを温めておく。
型はシフォンケーキと同じ大きさの21cmのものだ。
そして予熱したオーブンに入れて焼いていく。
チーズケーキを作っている間にいい具合にカレーが煮込まれていた。
味見をしてみると鶏肉がすごく柔らかくなってホロホロになっていた。
「カレーできたわ」
ライスは朝の残りがあったので、それを盛り付ける。
保温は魔道具で、前世の家電が魔道具に全てすり替わっているような感じだ。
二階で掃除をしてくれているシサを呼びに行った。
「できたんですね! ありがとうございます。行きますね」
シサは道具を片付けてから降りてくるようだ。
私はその間にカレーとライスを盛り付けておく。私にはカレーライスが一般的だけど、シチューのように思っているシサには別盛りで提供する。
「お待たせいたしました」
二階からシサが降りてきて、カウンターに座った。
「はい、どうぞ」
私はシサにカレーとライスを出した。
「わー! これがカレーなんですね! 黄色いシチューですね。早速いただきますね」
カレーをスプーンで掬って口に運ぶ。
ぱくっ
もぐもぐもぐ
「あれっ!? 思っていた味と違いますね。ちょっとピリピリします」
「辛かったかしら?」
「私は大丈夫ですよ。なんだろう? この味。これがスパイスの味ですか?」
「そうよ」
「食べなれない味ですけど、なんかもう一口、もう一口と後を引く味ですね」
シサはカレーだけを食べていた。
「ライスにカレーをかけて食べてみて」
「ライスにかけて食べるんですね」
今度は私が言った通りに食べてみてくれた。
ぱくっ
もぐもぐもぐ
シサが驚いた表情を見せた。
「あれっ!! ライスがあった方が、食べやすくて美味しいです」
「そうよね、カレーライスにした方が美味しいわよね」
「カレーライスですか?」
「そう。前世では大人気の食べ物だったの」
シサの反応も思った通りだ。
チーズケーキが焼けたようだ。
「カレーを食べたら今度はチーズケーキも味見してもらえるかしら?」
「はい。チーズケーキもいただきますよ」
「チーズケーキはシサが苦手なパウンドケーキとはちょっと違うのよ」
「シフォンケーキみたいですか?」
「うーん、それとも違うわね。しっとり濃厚なの」
私はオーブンから取り出して、チーズケーキを切り分けた。
「チーズケーキできたわ」
私も味見をしてみた。
(うん、しっとり濃厚なこの味。変わらない味だわ)
「シサ、チーズケーキ置いておくわね」
「ありがとうございます。カレーは食べ終わったらいただきますね。エルティアお嬢様もお座りになって一緒に食べませんか?」
カレーとチーズケーキの試作が終わったので、昼食にして私もシサと一緒に食べることにした。
私はシサの隣に座り、カレーを食べ始めた。
(いただきます)
心の中で食事を食べ始める挨拶をする。
ぱくっ
もぐもぐもぐ
「…もう少し辛くても良かったかしら」
キッチンからチリペッパーを持ってきて自分の食べているカレーに少しかけて味をみる。
「うん、私はこれくらいの辛さがいいわ」
「エルティアお嬢様は辛いものは平気なんですね。私は出していただいたままでちょうど良いです」
シサにはちょうど良い辛さだったようだ。
「良かったわ。辛さの好みがわからないから少し辛くないようにしていたの。足すことはできても、辛くなくすることはできないから」
カレーを頼まれた時は提供時に一緒にチリペッパーを出して好みの辛さに調整できるようにしていこう。
「チーズケーキ、いただきますね」
ぱくっ
もぐもぐもぐ
「わぁ〜美味しいです!! レモンが効いていてさっぱりして。エルティアお嬢様の言われたように濃厚だから、これは疲れた時に食べたいですね」
シサはほっぺたを抑えながら嬉しそうな顔を見せた。
「チーズケーキも口に合ったようで良かったわ。この二つともメニューに載せてもよさそうね」
「はい! 両方ともまた人気が出ますよ!!」
食べ終わったら早速メニュー表を新しくしていこう。
シサはチーズケーキを食べ終わり、私もカレーを食べ終わった。
「エルティアお嬢様、食器は私が洗って片付けておきますからメニューを書いていてください」
「ありがとう」
私は二階に上がり、紙とペンを取りに行き、新しい紙にペンでメニューを書いた。
“日替わりランチ“
“定番メニュー:カレー“
“デザートセット:シフォンケーキかチーズケーキと紅茶“
「これでいいわ」
そして私はシサと一緒に新しいメニューを各テーブルにあったメニューと置き換えていった。
明日から早速提供していくのでどんな反応があるか楽しみだった。
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