第11話 こんなはずじゃなかった…… アリオン王子視点
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僕は、オルレアン侯爵令嬢エルティアとの婚約破棄の後、正式にブリリア伯爵令嬢ユーディットと婚約を結んだ。
「アリオン様、アリオン様が王太子になれるように、婚約者として私、これから頑張りますね!」
ユーディットは私に嬉しい言葉をくれた。
僕は将来王になりたかった。
王になるには王太子にならなくてはいけない。
僕には他に兄と弟がいるのだが、まだ誰が王太子になるかは決まっていない。
僕達はそれぞれ婚約者がおり、婚約者と共に国への貢献度を競う。
その結果で王太子が決められることになっていた。
そして、王子の婚約者達は、王妃である母の元へ通い、貢献度を上げるための王子妃教育を受けていた。
母のおかげで、王である父の婚約者時代に国の要である貴族の質が上がり、国への貢献が認められ、父が王太子になれたという実績があるためだ。
当然、僕の元婚約者だったオルレアン侯爵令嬢も受けていたし、今の婚約者であるブリリア伯爵令嬢ユーディットも受け始めていた。
だけど……。
ユーディットは王子妃教育が始まってすぐに、王妃への不満を話すようになった。
そのうち王子妃教育の回数を重ねるようになると、ユーディットは王妃のところから帰ってくるたび、僕にこう言ってくるようになった。
「アリオン様、聞いてください。王妃様が私のことを非難するんです。あなたはどうしてこんなこともできないの?って」
僕は、オルレアン侯爵令嬢の時のこともあるので、ユーディットに辛く当たらないようにしてもらおうと王妃のところへ行った。
「アリオン、あなた何を言ってるの? “こうしたらどう?“ って教えることはあっても“どうしてこんなこともできないの?“ なんて言うわけないでしょ? あなたの妃になる大切な人なんだから」
王妃の言うことはもっともだと思った。
「ユーディット、王妃に話をしてみたけど、王妃はアドバイスをしただけと言っていた。君は王妃の言葉を悪く取りすぎていないか?」
「……アリオン様は私よりも王妃の肩を持つんですね。酷いわ」
「いや、そういうことじゃない。王妃の言葉の真意を伝えたんだよ」
「私にはそうは聞こえませんわ」
それからもユーディットは事ある毎に、王妃や他の王子の婚約者達から非難されたと私に訴えてきたが、全てユーディットの思い違いで悪くとりすぎていた。
しかし、そんなことが続くと、ユーディットと王妃や他の王子の婚約者達との関係は悪化し、ユーディットは王子妃教育の登城をしなくなった。
ユーディットが登城しないことが続いたので、僕は王妃から呼び出されていた。
「アリオン、このままユーディットが王子妃教育に来ないのであればあなたとの婚約は難しくなるわ。なんとか来るように言ってちょうだい」
「手紙も送ってるし、会いも行ってますが、会ってももらえない」
「……もう婚約者としては難しいわね」
その通りだった。
王子妃教育を受けられないのであれば、王子の婚約者ではいられない。
僕に婚約者がいなければ、共に貢献できず、王太子になれない。
僕は王太子になって、王になる人なんだ。
こんなことになるなんて……。
僕は自分の状況を信じられないまま王妃の部屋を後にした。
結局、ユーディットはそのまま登城せず、僕と会うこともなく、ブリリア伯爵だけが登城して婚約を破棄することになった。
(……オルレアン侯爵令嬢のエルティアは、ユーディットみたいに言ってこなかったし、他の王子の婚約者達とも上手くやっていた。……こんなことなら婚約破棄するんじゃなかった)
エルティアなら共に国の貢献度を上げることができて、僕は王太子になることができる。
僕はエルティアが婚約者だった時のことを思い出した。
エルティアは僕に対してとても献身的で、従順な女性だったように思う。
エルティアは僕のことがとても好きだった。
それは婚約者として接していた時に感じていた。
だから、僕が謝って、もう一度婚約したいと言えば……きっと喜んでまた婚約するはずだ。
(……オルレアン侯爵家に行って彼女と話をしよう)
僕はすぐさまオルレアン侯爵家に向かった。
オルレアン侯爵家に着くと、いきなりの王子の訪問で対応した者は驚いていた。
僕はいきなりの訪問を詫び、オルレアン侯爵に会いたいことを伝えた。
ちょうど良いタイミングでオルレアン侯爵は屋敷に在宅におり、すぐに会うことができた。
僕はオルレアン侯爵にもう一度エルティアと婚約を結びたいことを伝えた。
しかし、オルレアン侯爵は思いもよらないことを言った。
「……王子の要件は分かりましたが、残念ながら娘は今、ここにはおりません」
「どういうことだ?」
「……婚約破棄の後、この家を出ております」
「今どこにいるのかわかっているのか?」
「……申し訳ありません。分かりかねます」
「なんてことだ! 早くエルティアを探し出すんだ!」
「……承知いたしました」
オルレアン侯爵だけに任せるのではなく、僕もあらゆる手を使い、エルティアの所在を探していった。
エルティアさえ見つかれば、僕は王太子になることができるんだ。
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