第10話 店休日
よろしくお願い致します。
今日は店休日だ。私とシサは昨日の宣言通り、遅くまで寝ていた。
私はついさっき目が覚めたのだ。
ここ二日くらい、外がまだ薄暗い時に起きていたのだが、カーテンを開けて窓の外を見ると外はすっかり明るくなっていた。
森の開けた場所に建つ一軒家なので、外からの光は太陽の光のみだ。
この世界は比較的気候も良く、天気も良いことが多くて生活がしやすい。
私は前世の時から雨の日が好きでない。
一番の理由は湿気が多くなり、お菓子作りや料理に影響があるからだ。
特にシフォンケーキに湿気は大敵だ。
シフォンケーキに大切なメレンゲがうまく作れない。
今はコツを掴んでいるのでそこまで気にならないけど、昔は雨の日は失敗ばかりだった。
だから、雨の少ないこの世界はシフォンケーキに最適だ。
太陽も高く登っているようなので、そろそろ起きて食事の支度でもしよう。
私は着替えをして、リビングに向かった。
私とシサは一軒家の二階に住んでいて、それぞれが使う個室と一緒に食事をしたり、過ごすためのリビング・ダイニングとなる部屋がある三部屋の作りだった。
「エルティアお嬢様、おはようございます」
リビングに行くとすでにシサが起きていた。
「おはよう、シサ。早いわね」
「いえ、私もさっき起きたばかりですよ。紅茶を淹れたんですが、飲みますか?」
私達のリビング・ダイニングにあるキッチンもカウンターキッチンだった。
「ありがとう。いただくわ」
紅茶を飲んだら、食事を作ろうと思う。食事は私の担当で、掃除や洗濯などはシサがしてくれることになっていた。
シサは元々家事が好きらしくて、簡単な料理もできるらしいが、私の料理を食べてから料理は私にして欲しいと言っていた。
シサが他の家事をしてくれるので、好きな料理だけできるのはありがたいと思っていた。
「今日はフレンチトーストにしようかしら?」
「フレンチトーストですか! エルティアお嬢様のフレンチトーストは食べてみたいです」
フレンチトーストはすでに一般的で、昔からよく食べていた。
以前食べていたのはオルレアン侯爵家のシェフのもので、私が作るのは初めてだった。
「私はオルレアン侯爵家で食べていた甘めのが好きだけど、それと同じような感じでいいかしら?」
「はい、私も賄いで食べてましたけど、甘めの味で美味しかったのを覚えています」
フレンチトーストの思い出話に花が咲いて、紅茶も飲み終わったのでフレンチトースト作りに取り掛かる。
パンはバゲットを使い、適度な厚さに何枚か切る。
卵を割った中に牛乳と砂糖を入れてかき混ぜて卵液を作る。
その中に切ったバゲットを少しの時間、浸けておく。
その間にサラダも用意しておく。
バゲットが卵液を十分吸ったので、フライパンにバターを入れて熱して焼いていった。
「エルティアお嬢様、私もう一度紅茶淹れておきますね。フレンチトーストと一緒に飲みましょう」
「ありがとう。お願いするわ」
シサが私が作っている間に紅茶を淹れてくれた。
「フレンチトーストできたわ」
砂糖が入っているので焦げやすかったけど、いい塩梅で作ることができた。
「わー! 美味しそう。ありがとうございます!!」
「早速いただきましょう」
ぱくっ
もぐもぐもぐ
「「美味しい」」
「良かった! うまくできていたわ」
「はい、いい甘さで美味しいです」
「でも、オルレアン侯爵家で食べたものとはちょっと味が違うわね」
このフレンチトーストも甘いけど、甘さが何か違った。
オルレアン侯爵家のシェフは腕が良かったので、美味しかった料理やお菓子について作り方を聞いておけば良かったと思う。
シェフには驚かれたかもしれないけど。
「そうですね、砂糖じゃなかったのかもしれないですね」
「もしかして、ハチミツだったのかしら?」
「そうかもしれないですね」
「今度はハチミツで作ってみるわ」
これはこれで美味しいのだが、ハチミツでのフレンチトーストが同じ味になるかどうか今度また試してみようと思う。
熱々のフレンチトーストを紅茶を飲みながらゆっくり食べることができて、とても優雅な遅い朝食だった。
「今日はこれから何をしようかしら?」
私はゆっくり寝ること以外考えてなかった。
「実は私、花の種を持ってるんです。この一軒家の周りに蒔いてみてもいいですか?」
以前、オルレアン侯爵家の庭師からもらったものらしい。
「素敵ね。私も一緒にやりたいわ」
シサが花の種を蒔くというので、一軒家の周りを花で囲ったら素敵だと思った。
食べ終わった食器を片付けたら、私達は花の種を蒔きに外に出ることにした。
外に出る時、シサは花の種と小さなスコップを持っていた。
「シサは種を蒔いて花を咲かせたことがあるの?」
「昔、エルティアお嬢様が不在の時に、庭師を手伝って花の種を蒔いたことがあります。花は咲きましたけど、ほとんど庭師に任せてましたね」
でも蒔いたことがあるなら、毎日育てていたら咲くんじゃないかしら。
「とりあえず、蒔いて、毎日水をあげましょう」
一軒家の入り口を除いた家の周りに花の種を二人で蒔いていった。
ちゃんと咲くかわからないけど、これから毎日育てていこう。
花の種は偶然にもカフェの名前と一緒のガーベラの種だった。
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