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第17話 ダンジョンRTA開始!

『さて、ということでルールを説明させていただきたと思いまぁす! さすがにここに参加される皆様のことですので、理解されているとは思いますが、念のためのルール説明です! ちなみに破った場合はレットカードで即退場なのでお気をつけて!』


 陽気な口調で司会は言葉を流暢に紡いでいく。

 そりゃ、いくら命がかかっているとはいっても娯楽だ。人が見て賭けて楽しむいびつな娯楽だ。

 流石に緊急時に対応できるように奥に救急隊やらが控えてるとしても、最悪命を落とすケースというのは普通にある。なのにもかかわらず……ま、割り切るしかないけどね。


『まず、このダンジョンRTAはデュオスタイルで行います。それぞれ同じ形のダンジョンに挑み、ボス撃破までの時間を計測します。ボスは中ランクレベルのボスをランダムで配置します。この時点では詳細の情報を伏せさせていただきます!』


 そういいながらハイテンションで司会は説明を続ける。

 まあ、大体のルールは把握してるし、あんまり聞かなくても大丈夫なのだが、一応聞いておく。

 間違ってたら大変だしね。


『くじで決められた順に攻略していってもらいます! それではどうぞ!』

 俺たちは人の流れに沿って、「?」が書かれたボックスに手を突っ込む。

 掛かれていた数字は十一。総組三十弱なのでまあまあ初めの方ではないだろうか。


 なんても思いながら、再び司会に視線を戻す。

『それでは一番のチームから順に攻略スタートとなります! それではタイマースタート!』


 そんなことを考えながら、俺は映し出される魔術投影機に目をやる。

 そこには一組目のチームが迫りくるモンスターを切り払い、分岐点、三叉路をまるで《《ゴールが見えている》》かのように進んでいく。


 それは《《あまりにも不自然》》なほどに。

 ―――そうだ。これは明言はされていないのだが、このRTAイカサマが禁止されていない。


 つまるところ、イカサマをしていることさえばれなければいいわけだ。

 つまり、この競技はどれだけ早く攻略するのかというところにスポットを当てるのではなく、どれだけばれずにイカサマをするかという方向に向くのである。


 ……とはいっても、俺には何の準備もないから、イカサマなんてせずに正々堂々戦うしかないんだけどな。


 ここにいる参加者は大小違えどイカサマを使ってくるのだろう。

 これで何の能力もないような人間であれば不可能だったが、師匠と過ごした一年間で俺は一般的な人間と呼ばれる存在を超越していた。


 だが、所詮は人間。俺の強みは圧倒的な剣技。その一転にのみ尽きる。

 ……一応魔術剣も含めておく。使う機会があるか、まああるか。

 流石に魔術拳を使わないほうがいい場面の方が少ないだろう。


(多分、一組目が使ってるイカサマは天の目系。……そしてこの競技、相手のイカサマを看破した時点で、そのチームは脱落するといっても過言ではないだろう)


 そもそも、なぜイカサマをしてもいいのかと言われれば、それは一重に一個人が奮闘することによって盛り上げるためであって、それが後ろで笑ってるろくでなしに気づかれでもしたら、興覚め。


 脱落どころか、その時点で斬首なんてこともあり得る。

 だからこそ、イカサマの使用には慎重になるべきなのだが、ロクな戦闘経験も積まずに、遠目から適当な指示を送っているだけの貴族にはわかるまいと、高を括って初手からイカサマを使用する。


(全員のイカサマを暴く必要はない。強大そうな敵のイカサマだけを集中的に看破する。そうすることによって勝利が近づく)

 ……とはいっても、あまりやりたくない手だけどね。


 そもそも、あまりこの競技に執着する理由もない。たまたまちょうどいい時期に開催していたという理由だけであって、ここがいい理由にはならないのだから。

(でも、ここが一番稼ぎやすそうってことには変わりないんだよなぁ……)


 なんてことを考えながら、俺はモニターに目をやる。

 確かに賞金はものすごいもんなぁ。……ま、冒険者やる人間なんてチンピラ上がりとか犯罪者崩れとかが異様に多いからな。


 なんて考えている間に一番目のチームが攻略を終えた。


『チーム「アレクレイト」記録は三十六分! いやはや一発目からなかなか良い記録が更新されました。今回はかなりあれるのではないでしょうか!? なんて高レベルな攻略だったのでしょうか。一心不乱にゴールへと向かい、圧倒的なスピードで攻略しました!』


 三十六分……。それははやいのか? 遅いのか?

 いや、早いんだろう。だってさっきの司会もそういってたからな。分岐したダンジョンを進んでいきながら、襲いかかるモンスターを、そこらかしこに配置された罠を、奥にそびえる強大なボスを。


 奮闘しながら、最速攻略を目指す。……とてつもないぐらいに困難で難解。

 だが、なにより―――


(楽しいそうだな!? これ!)

 そう、尋常じゃないぐらい楽しそうなのだ。たしかに師匠と過ごした日々も楽しかったんだけど、この戦うという行為に娯楽性を見出すその行為自体がもう楽しい。


 師匠と山に籠もるもいいかなって思ってたけど、やっぱりすごいな。

 あんなモンスター相手に娯楽性を見出すその発想。そそるぜ……。


   ✕   ✕   ✕   ✕


 興奮冷めやらぬ間にもう五組目がスタートした。

 いまやってるのは……なんだっけ? チームRTAだったっけ?

 結構すごいよな。自分のチームの名前にRTAなんてつけれるの。どんな度胸があったらそんなことできんの?


 この競技の名前をそのまま入れれるとかすげーな。

 これで遅いかったら、すごいださいけど……。

『チーム「RTA」記録は十二分! 世界記録更新です!』

 ……世界記録っすか。すげぇなRTA。やっぱRTAの名を背負ってるわけじゃないわ。

 もうダサいというかかっこいいの域に達するわ。


 というか、よくよく考えてみたら世界記録なんて、俺覆せんの?

 いや、たしかにチームRTAは尋常じゃないぐらいイカサマしてそうな気配はあったけどさ。


 ……まあ、確証はないんだけどね。

 ほんとすげーわ。あんな尻尾をつかませずにイカサマを使いまくる連中しかいないのか。


 ちなみに今の記録は36、42、59、32、12、29、31、38、46、34と並んでいる。

『さあ、十一組目のチーム「剣戟拳闘」です! レディー、ゴー!』

 そうして、俺とオレットのダンジョンRTAが始まった―――

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