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木犀の音  作者: 佐依知(さいち)
8/10

少し変わったこと


ようやく熱が下がって登校すると、琴ちゃんに

「じろちゃんのばか」

と怒られました。


自分で丈夫と言いながら熱を出して寝込んだのでぐうの音も出ません…。



あの日から変わったことが。

琴ちゃんに好きだよ、と伝えると前より困った顔をしなくなったのです。

嬉しそうに笑っているのです。

(左吉が言うには前と変わらないし、困ってるみたいだけど…)


それから、一緒に帰ろうと誘ってくれることが多くなりました。

僕はそれだけで嬉しくて。

左吉にはうざいと怒られます。


担任で、兄と仲の良い笹山先生には

「宗二郎、顔だらしないと振られるぞ?」

と茶化されてしまいますが、僕は気にしません。


「先生こそ、そんな意地悪言ってると七海先生に振られますよ」


とお返しをします。


御門(みかど)七海(ななみ)先生は、笹山先生が子どもの頃から好きな人です。

七海先生が教師になりたいと知って、自分も教師になったほど、笹山先生は七海先生のことが好きです。

なぜ僕がそんなことを知っているのかと言うと、兄ちゃんからの情報なんですが…。

何より、笹山先生が七海先生を見ているときの目が、僕が琴ちゃんを見ている時に似ているのです。


「うるせ、兄ちゃんに似ず可愛くねーなほんとに!」

「はい?そんなことないです。先生の目が悪いんですー!」




「何、また喧嘩してるの?」

「じろちゃんがすみません、先生」


笹山先生と廊下でバチバチしているところに、

お互いの好きな人が来てしまいました。


「け、喧嘩じゃないですから」

「子供の頃から変わらないんだから。笹山先生、しっかりしてくださいよ?」

「宗二郎が可愛くないだけです」

「…黒木くんは可愛いと思いますけど…」

「はい…?」



ああ…七海先生…余計なことを…。

笹山先生の眉がピクっと…。



「それでは先生、失礼します!」


僕は琴ちゃんの手を取ってその場を去ることにしました。


「じ、じろちゃん…?!」

「あ、ごめん…痛かった?」

「いや、その…なんでもない…」


今までは急にこうして手を取ったら怒られていた気がするけど…。



「廊下で手繋いで道を塞ぐな黒木」


左吉に教科書で叩かれて痛いです。


「なんだよ左吉」

「予鈴、なってんぞ。尾浜さん遅れる」

「あ、ごめん琴ちゃん!またね!」


手を離すと琴ちゃんは少し赤い顔で教室へ戻って行きました。


「琴ちゃん熱でもあるのかな…」

「…お前馬鹿だな」

「は?なんだよ左吉!」

「いいから馬鹿の黒木は早く教室入れ」


左吉のほうが少し成績が上なのでなんとも言い返せません。悔しい。





そうして、少しずつ何か変わっていく琴ちゃんに

僕はまた惹かれてしまうのでした。





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