表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
木犀の音  作者: 佐依知(さいち)
5/10

幼馴染の困りごと。 琴音視点



じろちゃんと私、琴音は今年高校に入学しました。

今まではセーラー服だったけど、高校はブレザー。

気持ち新たに、お友達も出来ました。

が、少し困っていることがあります…。



幼馴染のじろちゃんについてです。

中2のバレンタインに、ずっと好きだったって告白してくれて、びっくりしたと同時に嬉しかった。

でも、私は…ずっと別の人が好きだった。

初恋の人。八束(やつか)浅緋(あさひ)さん。

上のお兄ちゃんの高校からのお友達で…今ではお兄ちゃんの旦那さんです。

あ、もちろん旦那さんと言っても日本ではその…同性の人同士の結婚は出来ないので、あくまでも私たち家族や知っている人達の認識です。



私が4歳の頃からずっと大好きで、中2まで結婚するなら浅緋兄ちゃんだって思ってました。

年の差なんて関係ないって。

でも…ある日お兄ちゃんたちがキスしているのを見てしまいました。

わざとじゃありません。偶然でした。

もう…それはもうショックで…。

好きな人とお兄ちゃんがっていうのもだし、お兄ちゃんが取られてしまった、みたいな感覚もあって…。

半年くらい、荒れました…。

思い返せば恥ずかしい…。でもそれくらい好きだったから。




好きです、大好きってじろちゃんが言ってくれても、私のじろちゃんに対する好きは同じ好きじゃないと思って…。

でも、ちゃんと考えたくて、時間をもらっています…。

もう、1年以上…。


ですが、好きでいてもらうのは困ってません。

そうじゃなくて…。



「琴ちゃん!今日も可愛い…!」

「おはよ、じろちゃん」

「…好きだよ、琴ちゃん」

「…ありがと、じろちゃん」



このやり取り…1年以上毎日なんです…。


入学してから、クラスは別々になったんですが…

何かとやって来ては、このやり取りをしているので、

今ではすっかり有名なコンビになってしまいました…。



「黒木くん、今日も溺愛ぶりがすごいね…」

「うん…まあ、いいんだけど…」

「何を迷うかね…?黒木くん、男前なのにどっか可愛い雰囲気あって、成績、運動もよし。そして一途。それの何が不満なの、琴音は」


友達の雨音(あまね)ちゃんです。

別に…まだ悩んだっていいじゃない。

もう少し、ちゃんと考えたいんだから。

それに、もし高校で他に素敵な人がいたら、じろちゃんももしかしたら…私のことが一番じゃなくなるかもしれないし…。

そう考えると、なかなか答えを出せずにいます。


「そんなこと言ってると、可愛い子に目移りされちゃったりして…?」

「それならそれで…」


…いいのかな。じろちゃんが他に好きな人が出来ても。

私…ほんとにいいのかな…。


「…ま、琴音が迷うならそれはそれでいいんじゃない?黒木くんも思う存分牽制しまくりだし」

「…そうかな」




「あ、琴ちゃーん!!」


移動教室で、じろちゃんのクラスの前を通ったら…

ちょうど目が合ってにこにこ手を振ってくれました。

こういうところは、小さい頃から変わらなくて可愛い。

そこはほんとに、大好きなんです。


手を振り返すと、なんか…悶えてる……??


「尾浜さんが可愛すぎて黒木死ぬかもしれないってさ」


廊下側の左吉(さきち)くんが教えてくれました。

「大げさなんだから…」

「またね、尾浜さん」

「あ、またね左吉くん」


左吉くんに声をかけて歩き出すと、なんか後ろから声が…


「え、いや別に何も…こら黒木!」

「琴ちゃん!僕も僕も!!」

「じろちゃんさっき手振ったじゃない!」

「え、足りないよ。左吉のほうが長かった…!」

「もー、後でね!遅れちゃう」

「はーい!またねー」


これなんです…。

春休みで中学生の頃より背がぐんと伸びて、顔立ちも前よりかっこよくなったのに…中身は変わらない、かわいいじろちゃんのままなんです。


「今日も熱烈だな、宗二郎は」

「あ、笹山先生。こんにちは」

「おう、尾浜もあんな旦那がいると大変だな」

「旦那じゃなくて幼馴染です…」

「そ。遅れんなよ、次、池田先生だろ?」

「あ、そうです。失礼します!」

「廊下走るなよー」

「はーい!」


笹山先生は、うちの下の兄の高校の同級生。ここの卒業生です。

じろちゃんのお兄ちゃん、宗一郎兄ちゃんとも仲が良くて、時々みんなで遊んでいるみたい。


「危なかった。池田先生、ちょっと遅れるとなんか一言ついてくるから…」

「また黒木くんに愛の告白受けてたの?」

「違うけど、じろちゃんにはひっかかってた…」

「そうだと思った…笑」


そんなこんなで、休みの日はメッセージでも…毎日じろちゃんから好きだよって言われて、困ってます。

嫌なんじゃなくて…どうしたらいいか…。

待たせてるのは悪いと思ってるけど…。

ちゃんと考えないで、イエスもノーもじろちゃんに失礼だから…。

まだもう少し、時間が欲しいのが、私の悩みです…。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ