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木犀の音  作者: 佐依知(さいち)
3/10

食らった衝撃と決心



「お迎えに来てくれたんじゃない?琴ちゃん」

「誰が…」


公園の入り口には、背の高いお兄さんが一人。

丸めの目をした、くるくるの髪。

小さい頃、2、3度会ったことのある、琴ちゃんに似た雰囲気の人。

きっと、あれが誠兄ちゃん。


「…じろちゃん」


そういって、僕を見る琴ちゃん。

不安そうな表情も可愛いんだけど、


「琴ちゃんなら大丈夫だよ、ほら」

そう言って、背中を押しました。


「…ありがとう、じろちゃん!」


そう言って、琴ちゃんは駆け出しました。

あれは…抱きつく勢いのやつだ。


思った通り、琴ちゃんは誠兄ちゃん目掛けてダイブ。

僕ならきっとよろけちゃうだろうけど、誠兄ちゃんはまったくブレることなく、琴ちゃんを抱きとめました。

いいな、僕も早く大きくなりたい。

そしたら、あんな風に抱き止めるのに。


琴ちゃんが頑張って話している後ろで、こんな(よこしま)な考えをしていることなんてきっと考えもしないんだろうな。


誠兄ちゃんが笑うのが見えました。

ああ、きっともう大丈夫。

琴ちゃんの顔は見えないけど、誠兄ちゃんの笑顔は、琴ちゃんの笑顔にそっくりです。

ふいに、琴ちゃんがこちらを振り返りました。

そして…


「じろちゃーん!!大好きー!!」


と大きく手を振りながら叫んでいます。

ああ…どうしよう。

とりあえず手を振り返しました。

満足したのかすぐにくるりと翻して琴ちゃんは歩き出しました。

もういいかな…。


可愛かったぁぁぁ!!!

思わず両手で顔を覆いました。

琴ちゃん、今僕に大好きって言った!?

あんな可愛い顔で大好きなんて言われたら死んじゃうよ、琴ちゃん…。自分の可愛さ分かってないの…!?


僕は気づくとしばらくそこで悶々としていたようです。

気づいたら周りが暗くなっていました。


-----------------------------------------------------------------


ゆっくり歩いて帰りました。

家について、お帰り、と言ってくれる兄ちゃんに、僕は思わず抱きつきました。


「わぁ!!じろ…?どうしたの?」

「兄ちゃん…僕…」


「あれ、琴ちゃん仲直りうまくいかなかったの?」

「ううん…それは大丈夫。仲直り出来たみたい」

「それはよかった。…それならどうしたの?」

「僕…僕…琴ちゃんが好きすぎてどうにかなりそう」


「………。なんだ、びっくりした。いつものことじゃないか」

「今日のはいつもと違うんだよ兄ちゃん…!琴ちゃんが僕のこと大好きって…!」

「…男の子として?」

「…それは…わかんないけど…」

「ははは!!宗二郎、それは…ははっ…!」

「笑わないでよ!嬉しかったんだ僕!!」


「よかったね、宗二郎」

「もう…ほんとに…嬉しかったんだ」

「うん、見てたらよくわかるよ」

「兄ちゃん、僕どうしたらいいと思う?」

「んー、そうだねぇ」


「琴ちゃんどんどん可愛くなって困ってるんだ…」

「んー、そうか。もたもたしてると、誰かに取られちゃうかもね?」

「そんなぁ…」

「ね、じろ。そんなに好きでどうしようもないなら、一度、ちゃんと琴ちゃんに伝えてみたらどうかな?」


「…好きだよって?」

「うん。でも、琴ちゃんの気持ちだってあるから、押しつけちゃわないように、でもこんなに琴ちゃんのことが好きなんだよって伝えてみたら?」


「…そうだね、そうしよう!」

「ちゃんと、時機をみて、だよ?」

「はい」

「よし、とりあえず、仲直りの仲介役お疲れ様」

「ありがとう、兄ちゃん」


そして僕は、よく考えました。

鈍感で可愛い琴ちゃんに、どうしたら伝えられるか。

よし、今度良きタイミングで実行しよう…。


そう決心して、僕はその日まで、備えることにしました…。



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