玄幻：女尊修仙界の白い月の光の星落ち別れた愛恋！第二十二章
玄幻：女尊修仙界の白い月の光の星落ち別れた愛恋！
第二十二章
叶瑶は最後まで、自分がかつて最も愛してくれた“白月光”を失ったことを悔やみ続けた。それは、顧詩雪にとってこの上ない幸運だった。
事実が証明するように、どんな業界であっても顧詩雪は優秀にこなせる人だった。彼女はすでに林笙の家の基本的なプランを事前に立てており、二人の会話の中で、あっという間におおよそのリノベーションの方向性が決まった。
彼女が単品で注文したスイーツもどれも林笙の好みに合っていて、いつの間にか空腹も満たされ、家の初期プランも満足のいく形で完成した。林笙は満足げにAIスマホを取り出して言った。
「見積もりは？」
顧詩雪が口にした金額は、この分野に詳しくなくても「安すぎる」とわかるほどの価格だった。林笙は驚いて言った。
「それはちょっと……その値段、設計費も込みで言ってるの？」
「友達の家を設計するのに、そんなにお金を取る必要ある？」
顧詩雪は桃の花のように美しい瞳でじっと林笙を見つめた。
「それとも、私たちは“友達”とは言えないのかしら？」
彼女の言葉には含みがあったため、林笙は軽々しく応じることができず、提示された金額にさらに2万元を上乗せして、AIスマホのネットバンキングで顧詩雪に送金した。
たとえ実の兄弟でも金銭はきちんと清算すべきだ。ましてや、二人の間には何の縁も義理もないのだから、林笙はこのわずかな得を貪るような真似はしたくなかった。
週末はまるで夢のように過ぎていったが、月曜日にはまたしてもあのしつこい叶瑶と顔を合わせなければならない。林笙は頭が痛くなるほど退職を考えたが、やっとの思いで正社員目前までこぎつけたことを思うと、簡単には諦めきれなかった。
こんなことで逃げるのは彼の本意ではない。だから林笙は、自分のデスクにどっかりと腰を下ろし、立ち上がらないことを決めた。叶瑶が時おり向けてくるあの優しげな眼差しも、見ていないふりをすれば無視できるのだ。
実のところ、彼自身もまた、再び心を許してしまうのが怖かった。
林笙は決して意志の強い性格ではない。だからこそ異世界で叶瑶のために数年も留まることを選んだのだろう。しかし、彼は「断捨離」という言葉の意味もよく理解していた。時間や感情を注げば注ぐほど、それは“埋没コスト”となり、相手を手放すのがつらくなる。
おそらく今の叶瑶の未練も、その“埋没コスト”に基づいたものにすぎないのかもしれない。
林笙のデスクは給湯室の近くにあり、午前中だけで叶瑶が何度水を飲みに来たか分からない。彼女の持っているカップはせいぜい二三百ミリリットルで、ゆっくりと水を注ぎ終えると、その場で立ったまま飲み干していくのだった。
まるで背中に針を刺されているような居心地の悪さだった。
つらいのは林笙だけではなかった。仕事の合間、隣の同僚がそっと頭を近づけてきて、ひそひそとつぶやいた。
「笙さ、あの新しいマネージャーさ、うちの部署の方ばっか見に来てる気がしない？」
林笙の胸がドキリとした。まさか同僚があの夜、バーの前でのやり取りを思い出すのではと不安になったのだ。だから、みんなが食堂へ昼食を取りに行ったタイミングで、林笙は書類の山を抱えて叶瑶のオフィスに入った。
叶瑶は、彼を待っていた。
彼女はふと、何年も前のことを思い出した。あの頃の叶瑶はまだ誰からも「聖女」などと呼ばれておらず、ただの卑しい身分の仮の存在にすぎなかった。誰も彼女が這い上がって魔界の頂点、「万人の上に立つ聖女」になるなんて思っていなかった。
ただ一人、林笙だけは違った。彼女がどんな身分であろうと、いつもそばにいてくれた。
しかし今、まさにこの瞬間、林笙の冷ややかな視線が過去の数々の記憶を突き抜けて彼女の瞳に届き、その冷たさに歯の根が合わなくなるほどだった。
叶瑶は乾いた唇を舐め、一歩前に出て何かを弁明しようとした。だが林笙は無言で空のファイルを机に叩きつけ、冷たく言い放った。
「あなたが何をしようと、私が口を出す権利はない。だからここで働いていても、私は構わない。でも、叶瑶——あなたも私のことに干渉しないでくれ。私は辞めるつもりだ。」
「いや…！」叶瑶は必死に言った。「阿笙、ごめんなさい。もう邪魔しないから、お願い、行かないで…」
林笙は背を向け、そのまま立ち去った。
数歩歩いたところで、弁当を手に戻ってくるルームメイトと鉢合わせた。彼は口をとがらせながら言った。
「お前が来なかったから、飯を買ってきてやった。午後はまだ仕事あるんだから、飢え死にすんなよ。」
