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覆される都市伝説・【マカシリーズ28】  作者: 星群彩佳
出会ってはならない存在
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暑い朝

「ううっ…」


『…はっ!』


わたしは女の子の呻き声で、眼を覚ました。


…あれ? 


わたし、もしかしなくても眠ってた?


「朝も朝とて暑い…。風呂でも入るかな」


もっそりと起き上がった女の子は、昨夜より機嫌は回復したいみたい。


『あっあのぉ…』


わたしも続いて起き上がると、女の子は視線を向けてきた。


「お前、料理作れるんだよな? 朝飯、頼む」


『えっ? でもわたし、もう体が無いから…』


料理なんてできるはずもない、と思った。


だけど女の子はケロッとして、一言。


「一晩中、私の力をお前に注ぎ込んだ。この部屋の中であれば、お前は普通の人間と同じ行動ができるはずだ」


『力? どっどういう意味?』


女の子は黙って等身大の鏡を指さした。


『…うそ…』


昨夜はピンボケした白黒写真に映ったようなわたしの体。


けれど今朝は色が付き、形はまだ少しぼんやりとしているものの、生前の姿に近くなっている。


布団から慌てて飛び出し、わたしは鏡の前に立った。


『どっどうして…』


「私は力尽きたモノに、自分の力を分け与えることができるんだ。でもまあ一時的なものだし、この部屋の中という条件がある。とりあえず、メシを作っといてくれ」


女の子はのっそりと布団から出て、部屋からも出て行った。


『あっ、待って!』


ふすまを開けると、そこは広いリビングルーム。


ダイニングキッチンもあって、かなりの広さがある。


「材料は冷蔵庫にある。メイド達が昨日、しこたま買いだめしたはずだから、好きな材料で作れ」


『ええっ!?』


「あとエプロンもキッチンのどっかにあるから、探して適当なのを使ってくれ。んじゃ、私は風呂に入ってくる。誰か来たり、電話が鳴っても無視しといてくれ」


そう言って女の子は部屋の奥へと行ってしまった。


しばらくして水音が聞こえてきたから、本当にお風呂に入っているみたい…。


『えっと…エプロンはキッチンにあるんだっけ?』


とりあえず、エプロンを探すことにした。


死霊に朝食を作らせるなんて…と思うけれど、女の子は何とも思っていないらしい。


それに何もしないと、昨夜のように大暴れされても困る。


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