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覆される都市伝説・【マカシリーズ28】  作者: 星群彩佳
隠された真実・暴かれし都市伝説の裏
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 ゴゴゴゴゴっ…!


しかしマノンの声は、突如響いた地響きの音に消されてしまった。


やがて音は止み、再び静寂が訪れる。


「…どっかの扉が開いたかな?」


「だね。さて、そこはどこかな?」


リウが鳥に視線を向けると、鳥は再び移動する。


それは奥の部屋。


壁際には食器棚が置かれており、今度はそこをくちばしで突っついている。


「なるほど。マノン、影の力であの食器棚をどかせてくれる?」


「はいよ」


マノンの影が、ぐにゃっ…と動いた。


すると幾重もの紐のように伸び、食器棚を掴み上げた。


「おっ、ビンゴ。この食器棚の影に、隠し通路があったんだ」


「だな」


マノンは食器棚を窓際に置いた。


影は元通り、マノンの影に戻る。


「明かりは…あっ、スイッチがあった」


石の通路の壁際にはスイッチがあり、押すと天井からぶら下がっている電球に光が宿る。


「逃げたばっかりだから、電気が通ってて良かったよ」


「ボクは別に暗闇でも平気だけど」


「…マノンは良いかもしれないけど、僕の足はまだ、コレなんだから」


リウは困り顔で、ズボンを掴んで上げた。


リウの細い足は、真っ黒に染まっている。


「普通に歩く分には何ともないけど、こういう石の階段はちょっとキツそう」


「影に乗る?」


「それは激しく遠慮するよ」


「楽なのに」


リウは普通に階段を降りていく。


しかしマノンは足の裏に影を入れて、滑るように降りていく。


「出来れば短い距離であってほしいけど」


「そんなに奥までは続いていないみたいだよ。まあこんな所から逃げ出すなんて、逃亡方法が分かりやすいな」


マノンはニヤッと笑う。


リウの願った通り、階段はそんなに長くは続かなかった。


たどり着いたのは、地下倉庫。


壁際にワインの樽や棚が置いてあるだけだが、その床は広い。


「一見は何の変哲もないみたいだけど」


マノンは影から飛び降り、床に降り立つ。


すると床から黒い光の魔方陣が浮かび上がった。


「床には移動式の魔方陣が書かれてあって、力を持つ者が踏むと作動するって仕掛け。うん、なかなか良いね」


「いや、この方法はセツカがよくする方法だよ。ほら、マノンも一回引っかかっているだろう?」


リウの言葉で、思い出したマノンは引きつった笑みを浮かべた。


「…ああ、そうだった。偽の情報を掴まされた挙句、こういう方法で足止めされたんだった」


「流石はキミの甥。やることが凝っているね」


「…それ、絶対褒め言葉じゃないだろう?」


「感心はしているよ」


リウもマノンに続き、魔法陣の中に入る。


「本当にキミ達は敵に回したくない存在だと思うよ」


「うっさいなぁ」


やがて魔法陣は、黒き光を部屋中に放ち始める。


それを見て、マノンは笑う。


「さぁて。今回のはちょっと期待できるな。何せ古の神とやらだし。いろいろ喰らっているみたいだからね」


「本音を言えば、魂を喰らった状態の方が良かったんでしょう?」


「まあね。でも姉さんにあのシステム、破壊されちゃったし。まさか爆破するなんて、さすがのボクも思い付かなかったよ」


「危険性は高いけど、まあ一度に済ませるなら確実な方法だね。こっちに手が伸ばされる前で良かったかも」


「だね。流石にこっちにはまだ手が伸びていないようだし」


マノンは薄く唇を開けて、ペロッと舌舐めずりをした。


「良いエサは早く食べたいな」


夢見るようにうっとりとマノンが呟いた後、魔法陣は二人を移動させた。


―古き神と、それを信仰する団体の元へ。



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