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覆される都市伝説・【マカシリーズ28】  作者: 星群彩佳
隠された真実・暴かれし都市伝説の裏
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蠢く闇

「あ~りゃりゃ。逃げられちゃったか」


ナナオがかつて身を投げた崖の上には、2人の少年の姿がある。


一人はマカと同じ顔をした、黒づくめの少年。


マカの双子の弟である、マノン。


「相変わらずマカは行動が素早い上に、迅速だね」


マノンの隣にいるのは、リウ。


セツカと同じ歳で同属の者だったが、血族を裏切り、今はマノンと行動を共にしている。


「ホントに。…で? どこに逃げたか、分かる?」


マノンはフードの奥から、怪しい光を眼に宿し、リウを見る。


「うん」


リウが手を上げると、一羽の鳥がとまる。


しかしその頭には、黒い指の跡が残っていた。


「どうやら教会の奥に、隠し通路があったみたい。そこからみんな、移動したって」


「じゃ、行こうか。ボク、いい加減お腹減ったよぉ」


マノンは顔をしかめ、腹を撫でた。


「マノンは少し、喰らい過ぎだよ。エサを探す方の身にもなってよね」


「探してもあまり栄養にならなかったり、また姉さんに邪魔されたりで、良いエサにたどり着いていないじゃん」


リウの手から、鳥が飛びたつ。


二人はその後を追う。


崖近くに、その教会はあった。


「建物自体はキレイだね。元は空き教会だったのを、例の団体が直したみたいだけど」


「そうじゃなきゃ、潜伏するのが難しかったんだろう? それに問題児も集められない」


「まあマノンの言う通りだね。ちゃんとしているように見せなきゃ、集まるもんも集まらないだろうし」


リウはそう言って、正面の木の扉を開けた。


そして二人の眼に映ったのは、巨大な黒き十字架。


だがその左右はまるで翼の羽のように見え、そして十字架の頭は蛇のような形をしている。


それを見て、マノンは口の端を上げ、皮肉げに笑った。


「翼を持つ蛇、か…。地を這うモノが、天を飛ぶモノを持っているなんて、おかしな存在だ」


「だから邪教なんて呼ばれていたんじゃないの?」


「リウは意外に辛口だよな」


「キミやマカには心底負けるよ」


リウは何とも言えない複雑な顔をしながら、歩み進める。


やがて十字架の下の部分にたどり着く。


そこで鳥がクチバシを使って、十字架の下の部分をしつこく叩いていた。


「ふぅん。こうかな?」


リウは十字架の下の部分を押した。


そこは胴の部分より、少し太くなっている。


「コレってアレかな? いわゆる男性…」


 ゴンッ!


教会の中に、リウがマノンの後頭部を殴る音が響いた。


「いったー!」


「マカは下ネタが大嫌いだったからね。移ったかな?」


そう言いつつ、マノンを殴った手を振る。


「だからって殴ること…」



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