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「それじゃあ…わたし達の肉体を食べさせたのは…」
「案外ムダではないだろう。と言うより、最終的にはお前達の魂を、そいつに食わせようとしただろうよ」
体だけじゃなく、魂までも…。
改めて思うと、血の気が引く。
「多分肉体を食べさせて、ある程度の存在を維持させているんだろう。そうして魂が集まったら、それを食べさせる。そしてまた信仰するんだろうね」
セツカが人ごとのように言うけれど、わたしは改めてここに戻って来て良かったと思う。
シスター達に利用されていたことも怖いけれど、あの化け物に再び喰われることになっていたなんて…考えたくもない。
想像もしたくない。
「…でもわたし一人がここに来ても、残っている人達がっ!」
そうだ。サイトには犠牲者が残っている。
慌てて立ち上がったわたしを、マカが制した。
「大丈夫だ。その為に、マミヤにも動いてもらったんだからな」
「えっ? そう言えばマミヤだけは、かなり疲れていたみたいだけど…」
「お前はハズミとマミヤが、元は携帯彼氏という存在であることを知っているな?」
「うん、二人から聞いたわ」
振り返ってハズミを見ると、にっこりと笑い返してきた。
「お前を迎えに時間がかかった理由だが、セツカに爆弾を作ってもらったんだ」
「ばっ爆弾っ!?」
今度はセツカに視線を向ける。
「キミの空席の部分に、仕掛ける爆弾だよ。それが爆発すれば、サイトが消滅するんだ」
「消滅っ!?」
次から次へと物騒な言葉が飛び出る。
しっシスター達より、マカ達の方が怖いかも…。
「ああ、でも安心しなよ。その爆弾は魂を縛り付けている場であるサイトを破壊するのみ。魂を自由に開放する為の爆弾なんだ」
「そっそんなの、セツカが作れるの?」
「ボクはマカの甥だよ? 元々キミやハズミやマミヤのいた世界が得意分野でもあるんだ」
「ナナオ、画面に映る模様を見ただろう?」
「うっうん…。あの赤い模様?」
「正確には魔法陣の一種なんだ。セツカはああいう模様を扱う能力者でな。異世界や異空間にもアクセスできる能力を持つ」
…そう言えばハズミも、あの道を作ったのはセツカだって言っていたっけ。
流石はマカの甥っ子…ただ者じゃない。
「それであのサイトを破壊する爆弾を作ってもらい、マミヤにはその設置を頼んだんだ。思ったより重労働で、力を消費してしまったらしいがな」
「そっか…。…でもマカ、もしわたしがここに残ることを選択していても、同じことをした?」
「いや、しない」
…あっさり否定したよ。




