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「…でもわたしは、いつも一人だったわ」
「正確には違うね。闇に覆われていたから気付いていないだけで、キミ達は一つの空間にいたんだ」
「それじゃあ…わたしは殺した人間達と、同じ所にいたの?」
「そう」
信じられない…。
ああ、でも今考えれば、周囲が闇に包まれていて良かったのかもしれない。
だって自分が殺した相手と、ずっと同じ場所にいたなんてゾッとする…。
「そうしてまた、サイトにアクセスしてきた人間がいれば、キミ達が動く。そうして仲間が増えていったワケだ」
「…確かネズミなんとやらという詐欺がなかったか?」
「ああ…。マカの言う通り、似たようなのがあったね」
…わたし達のような存在も、マカにしてみれば詐欺のやり方と一緒か。
確かに似ているから、思わず脱力してしまう。
「だけどそれだけの魂を集めて、シスター達は何がしたいの?」
「詳しくは分からない。だけど魂というのは、強大なエネルギーでもあるんだ。恨みの念を抱いているのなら、余計にね」
「肉体の方は主とやらに喰わせて、その魂を利用し、より多くの魂を収集していたらしい。…恐らく最終的には、人間ではない別のモノを作り出そうとしたんだろうな」
マカは難しい顔をして言った言葉に、引っかかりを感じた。
「人間では無いモノって…」
「人工的に、神でも作ろうとしたんじゃないか?」
「かっ神? 人の魂って集めれば神になるの?」
「普通は成らない。ましてやお前達は元は普通の人間であって、能力者はいなかっただろう?」
「うっうん」
「だからこんな回りくどい手を使ったんだ。…ああ、聞くのを忘れていたがな」
「なぁに? マカ」
マカは眼をスっと細めた。
「お前達、贄になった者の中に能力者がいないことは分かった。だが、お前達が死に追い詰めた人間には、あったんじゃないか?」
「あっ!」
マカに言われて、わたしは思い出す。
「…確かに、わたしは出会った人が普通か、普通じゃないかの見分けがつくわ」
マカの時も、あのリリスってコの時も、わたしは無自覚ながら、気付いていた。
普通の人間じゃないってことを。
何で不思議に思わなかったんだろう?
「なら、普通じゃない人間の元へ行った回数は多かったか?」
「…ええ。多かったわ」
何で分かるのかまでは分からない。
けれど確かに、普通じゃない力を持つ人間は分かったのだ。
実際、その力を見たワケでも、教えられたワケでもないのに…。
「…じゃあわたしは、能力者の元に運ばれていたってこと?」




