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覆される都市伝説・【マカシリーズ28】  作者: 星群彩佳
隠された真実・暴かれし都市伝説の裏
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けれどそれは悪魔の囁き。


真っ白な修道服に身を包むのは、聖母の顔をした悪魔。


何故、わたしは悪魔だと思うの?


…ああ、そうか。


わたしは、取り引きをしたんだった…。


復讐をする代わりに、自ら命を……。


「あああっ…! そっんな…そんなっ…!」


「―やっぱり『黒い十字架』がキーワードだったか」


コウガの呟きが、ひどく遠くから聞こえる。


「オレの声は聞こえているね?」


「えっええ…」


頭を抱えながらも、それでも絞り出すように声を出した。


「それじゃあ続けるね。ナナオの通う施設はオカルト的なモノだった。しかも残念ながら、邪教と言えるモノ。そこのヤツらはナナオのように、心に傷を負った子供を意図的に集めていたんだ」


「何のっ…為に?」


「…自らの主に、その体を捧げる為にだよ」


 バチンっ!


頭の中で、強い衝撃が響いた。


それと同時に…思い出した。


わたしは…あの施設の裏にある、海に面した崖から飛び降りた。


だってあの悪魔が言った。


―あなたがここで身を捧げれば、必ず願いは叶うわ―と。


そしてわたしは飛び降りたのだ。


けれど落ちていく中で、わたしは見てしまった。


海の中から、わたしを見上げる不気味な異形のモノ。


それはとても大きくて…わたしは一口で飲み込まれてしまった。


「…そう、だった。わたしは…あの海の中にいた化け物に…自ら身を捧げてしまったんだった…。そうすればわたしの願いは叶うからって…言われて」


ポタポタと涙が膝に落ちる。


ああ、涙を流せるんだな、なんて妙に冷めた気持ちで思う。


「ナナオ、お前にそれを言ったのは誰だ?」


マカの鋭い視線が、わたしを射抜く。


「…わたし達、施設に通う子供達はシスターと呼んでいたわ。白い修道服を来た、とても美しい女性…の皮を被った、悪魔よ」


わたしは顔を上げ、目線が定まらないまま、ぼんやりと呟く。


「悪魔、か…。確かにそう言えるかもね」


コウガは手を組み、その上に自分の顎を乗せた。


「そいつらは施設に通う子供達を、次々と自らの主に捧げていった。しかもその後、子供達の願いを、歪んだ形で無理やり叶えさせていったんだよ」


「っ!? それじゃあわたしの他にも?」


「ああ。残念だけど、ほとんどの子が、だね」


「…ああぁっ!」


かすれた悲鳴が喉から溢れ出た。


…あそこには、まだ幼い子供もいた。


無邪気にわたしに懐いてくれたコもいたのに…。


わたしは自分のことばかり考えて、そのコ達のことを…守ってあげれなかった。


「キミの悲しみは分かるよ。けれどキミはキミ自身のことを、ちゃんと知るべきだ」


「わっわたしは…」


取り引きをした。


自らの肉体と引き換えに、憎いアイツらを不幸にすることを。


…けれどそれだけじゃ、すまなかった。


疑問は確かに感じていた。


何でわたしは憎い相手を殺したのに、存在し続けるのだろう…と。


そこでコウガはわたしから視線を外し、ハズミを見る。


「ハズミ、どこまでナナオに話した?」


「ん~っと。とりあえず、ナナオが今まで殺した人間の種類と、殺される条件は簡単に」


テーブルセットにはハズミとセツカが座っていて、こちらの様子を見ている。


「そうか…。ならナナオ、オレが調べ上げた真実を、今から隠さず語ろう。キミには衝撃的な真実が多いだろうが…どうか受け入れてほしい」


真剣なコウガの視線を受け止め、わたしは頷いた。


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