2
「うそ…」
そんなの、全然、知らなかった…。
「そもそもこのサイトにアクセスできるのは、人をイジメた人間だけ。しかも本人が望んで見ているワケじゃない。…いじめられている人間が、あえてこのサイトのことを教えるんだ」
「そっそれじゃあ…!」
「うん。キミが死に追いやった人達は、その死を望んだ人間の導かれによって、亡くなっていたんだ」
わたしは大きく眼を見開き、後ろにふらついた。
「そっそんなっ…だって、わたしはただ、運悪く読んでしまった人の所にっ…」
「ところがそうじゃなかった。マカが情報屋を使って調べたんだ。だから戻ろう? マカの所へ」
そう言ってハズミは再び手を伸ばす。
「でも…」
一度は断ったマカの選択。
今更選び直すなんて、調子いい話しなんじゃないだろうか?
「マカのことなら心配いらないよ」
そんなわたしの不安を見抜いたように、ハズミは優しく微笑む。
「言ったよね? マカは気に入ったモノにはとことん甘いんだって。ナナオのことを気に入らなきゃ、ここまでしないって」
「…ホントに…戻っても、良いの?」
「ああ。もしマカがヘソを曲げてたら、ソウマさんの店で一緒に働こうよ? 小物屋で働くのも、楽しいよ?」
「ふふっ…。そうね」
そしてわたしはおずおずと手を伸ばし、ハズミの手を握った。
「―よし。マミヤが今、キミを縛り付けているモノと戦っているから、早くここを出よう」
マミヤが戦っている?
…わたし、本当に自分の意思ではなく、他の何かに操られていたの?
全く記憶に無いことが、怖い。
ハズミは力強くわたしを引っ張り、闇の中を飛び始めた。
「きゃっ!?」
「ちょっとキツイかもしれないけど、ガマンして! 一気に駆け抜けるから!」
ハズミの声が、遠くに感じる。
やがて白い光が目の前に迫り、わたしは眼を閉じた。
ドサッドサッ
「ハズミとナナオ、ご帰還~。マミヤはもうすぐかな?」
少年の声に驚いて顔を上げると、マカの寝室に来たことを知った。
「ここ…マカの寝室、よね?」
「いたた…。うん、そう。あっ、ナナオ。早くここからどこう」
ハズミに腕を引っ張られ、わたしは起き上がる。
どうやら敷布団の上にいたらしい。
その近くにはテーブルとノートパソコンが置いてあり、でも画面は不思議な赤い模様が浮かんでいた。
暗い画面に浮かぶ、真っ赤な模様。
それを間近で見つめる、一人の少年。
「セツカぁ、もうちょっと優しい出入口、作れなかったのかよ?」




