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そしてテーブルに置き散らかしている書類の一枚を手に取り、読む。
書類の内容はコウガが独自に調べ上げた、ナナオの都市伝説の『真実』だった。
「…ナナオは本当に何も知らなかったのか?」
「みたいだな。最後まで、自分の意思だと思わされたみたいだ」
「でもマカは何も言わなかったんだろう? 何で?」
アイスココアを作ったハズミが、マカにコップを渡しながら尋ねる。
「まだ時期ではないからさ。こちらの準備は整っていない」
「そりゃあそうだろうけどさ。きっとナナオ、マカには引き止めてほしかったと思うぜ?」
「だがそういうことをしないとも、ナナオは分かっていたはずだ。ハズミ、お前と同じくな」
「おやまあ」
ハズミは肩を竦め、マミヤの向かい側のソファーに座る。
「んで、オレ達を呼び出した理由って何?」
「ナナオの件、だろう?」
「理解が早くて助かる。お前達にはセツカが再び道を作ったのならば、そこへ行って来て欲しい」
元は携帯彼氏であったハズミとマミヤは、血族の眷属になった今でも、その能力を使えるようになっていた。
パソコンや携帯電話に入り込み、そこから情報を得ることができる。
ハズミはニヤニヤしながら、マカに聞く。
「どこへ行くの?」
「無論、ナナオの元だ」
「何をしに?」
マミヤは真剣な表情で尋ねる。
「勿論、隠されている『真実』を暴く為に」
マカの眼に、光が宿る。
「なぁんだ。やっぱりナナオのこと、気に入ってんじゃん」
「そういうことなら、任せてくれ。必ずやり遂げてくるよ」
「ああ。任せた」
マカはパソコンに視線を移す。
「いくら私でも、この中には入れぬからな」
「任せといてって。得意分野だし。な? マミヤ」
「ああ。こっちの世界では俺達の方が自由に動ける。マカは信じて待っていてくれ」
「…ああ。頼んだぞ」




