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「袋なら持ってきたぞ」
マカは袖の中をゴソゴソいじると、手のひらサイズの物を取り出した。
それを下に向けると、あっと言う間に大きな布袋になった。
…いや、布と言うよりはナイロン?
「げっ現代ってホント便利ね」
「だろう? こうやって小さくして、持ち運びできるんだからな」
そう言って同じ物をもう一つ取り出し、わたしに差し出した。
「ホレ、お前の分」
「あっありがとう」
袋はかなり大きいのだけど…その分、買うつもりなんだろうか?
まあマカなら有り得るかな?
公園の中はまだ明るいせいか、人はまばらだった。
「買い物するなら今が良いな。後は盆踊りの最中が空いているが…踊るか?」
「おっ踊るのはちょっと恥ずかしいな…」
「そうか。ならまず公園を一周しようか」
「うんっ!」
最初は恐る恐るだったけれど、どうやら周囲の人達にもわたしの姿は見えるようだった。
ぶつかりそうになったらよけてくれるし、出店の人達は目が合うとニッコリ笑ってくれる。
…あったかいな。
いや、気温は暑いぐらいなんだけど、この場の雰囲気がとてもあったかい。
そう感じるようになったのはきっと…。
「ん? どうした?」
マカのおかげだろう。
「ううん。ねっ、何から始める?」
「最初は腹減らす為に、動くことにするか。射的でもするか?」
「わっ、やりたい!」
―その後、射的をやったり輪投げをしたり、クジを引いたりした。
わたしはそこそこだったのに、マカは異常な程強運で、狙った景品を必ずゲットしている。
射的では地域限定のマスコットストラップ5種類セット、輪投げでは可愛いぬいぐるみ、クジではクッキーの缶の詰め合わせ。
「…マカって強運なんだね」
わたしは射程でシャボン玉、輪投げでは袋入りの水風船、クジでは文房具セットを当てていた。
「なぁに、こういうのは気の持ちようだ」
「それって…」
マカは死霊であるわたしを実体化するぐらいの強力な気の力を持つ。
その力を使えば……確かに欲しい物は手に入るな。
勘も鋭いから、クジだって…。
「さて、次は物を買うか。お面と水ヨーヨーの所に行くぞ」
「金魚すくいとかはしないの?」
「生き物は好かん。それよりお面は何にする?」
気付けばお面屋の前に来ていた。
「わぁ、いろいろあるねぇ」
「…しかし最近の流行のせいか、アニメやらタレントのが増えているな」
確かにテレビで見た顔が多かった。
「私は…おや、珍しく白狐のがあるな」
隅の方に、白いキツネのお面があった。
「わたしはコレにしよう。ナナオは?」
「ん~っと。あっ…」
黒猫のお面がある。
…何だかちょっと、マカに似ているかもしれない。




