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わたしの通り道は、サイトへアクセスした物。
携帯電話だったりパソコンからだったり。
一度サイトに通じてしまえば、それはわたしの通り道になる。
白い光の先は、暗い部屋の中だった。
どうやら読者はもう寝ているらしい。
…寝付きが早い人なのかな?
アクセスが切れて、すぐに来たんだけど…。
わたしが今日通ってきたのはパソコンから。
テーブルにノートパソコンがあって、そこから出てきた。
読者はすでに布団の中。
電気を消した部屋の中で、壁に顔を向けているので、わたしの存在には気づいていない。
ふと等身大の鏡を見つけた。
そこに映っているのは、黒い長袖のセーラー服を着た女の子―わたし、だ。
すでに肉体はないので、白と黒の存在に成ってしまった。
形こそ人を保ってはいるけれど、白黒写真に写ったような存在は、決して良いモノには見えないだろう。
そしてその形もぼんやりとしていたら、普通の人は一目見ただけで、恐怖に顔を歪め、絶叫する。
そう…いつもなら、そうだった。
わたしは読者へ視線を向ける。
黒く長い髪に白い肌、どうやら女の子みたい。
そっと近づく。
するとモゾッと女の子は動いた…と思ったら!
いきなり上半身を起こして、わたしをギロッと睨みつけてきた。
『へっ…』
思わずわたしの方が驚いて、身を引いてしまう。
そして女の子は顔を険しくし、これまた険しい声で一言。
「あづいっ…!」
『ひっ!』
それはまさに、地獄から響くような恐ろしい声だった。
「ソウマのド阿呆がっ…! いつもなら着ている人物の体温にちょうど良く合わせられる浴衣や、期間中であれば絶対に溶けない氷柱を用意するはずだった。なのに今年は手に入れにくいだとぉ? 取り引き先からバカにされてんじゃないのかっ! あのヤロウ!」
女の子はとてもキレイな顔立ちをしている。
体つきも女性らしく、出ている所は出ていて、引っ込んでいる所は引っ込んでいるという、ナイスバディーの持ち主。
もしかしたらモデルでもやっているんじゃないかと思わせるぐらいの美貌の持ち主なのに……その言葉づかいと表情は、とても女性とは思えないぐらいに荒い。