表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/52

―しばらくしてマカが浴衣に着替えて出てきた。


長かった髪も頭の上でまとめて、かんざしをしている。


「マカ、とってもキレイ! …だけど、未成年に見えない」


「ほっとけ」


やっぱり浴衣の色のせいか、すでに成人を過ぎているように見える。


「次はナナオだ。とりあえず一人でやってみろ。ダメだったらソウマを呼べ」


「うん」


わたしは浴衣を持って、寝室に入った。


「んっと…。ああやって、こうやって…」




十分後、悪戦苦闘して着てみたけれど…。


「…ないわ。コレはない」


等身大の鏡の前で、わたしはボソッと呟いた。


あちこちヨレヨレ、着崩れしていて、浴衣を着たまま全力疾走した後のように見える。


なので意を決して、ソウマさんを呼んだ。


「そっソウマさん、すみません。手を貸してください」


ふすまを少し開けて、声をかけた。


イスに座ってアイスティーを飲んでいたソウマさんは、笑顔で頷いた。


「分かりました」


そしてソウマさんにちゃんと着付け直してもらった。


「髪の方もよろしければやりましょうか?」


「あっ、お願いします」


「ナナオさんも髪の毛長いですね。頭の上でまとめるのと、そのまま流すの、どちらが良いですか?」


「マカはまとめていたから…わたしはこのままで」


「では飾りを付けましょうね」


「はい、お願いします」


ソウマさんはピンク色の花の飾りを付けてくれた。


「わぁ、可愛い。今の時代って、可愛い物が多いんですね」


「そうですね。マカもあなたのように、オシャレを楽しんでほしいのですが」


鏡に映るソウマさんは苦笑している。


「マカって機能性を重視するタイプですね」


「ナナオさんのおっしゃる通りです。衣食住全て、機能性のみを重視します。お金があるんですから、もうちょっと女の子らしくしてほしいんですけどね」


「マカって昔から、ああなんですか?」


「そうですね。大人に囲まれて育ってせいか、精神的に成長が早かったと言いますか…」


既に悟ってるような顔をするから、未成年には見づらいんだろうな。


ソウマさんの言わんとしていることを察して、わたしも苦笑するしかなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ