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―しばらくしてマカが浴衣に着替えて出てきた。
長かった髪も頭の上でまとめて、かんざしをしている。
「マカ、とってもキレイ! …だけど、未成年に見えない」
「ほっとけ」
やっぱり浴衣の色のせいか、すでに成人を過ぎているように見える。
「次はナナオだ。とりあえず一人でやってみろ。ダメだったらソウマを呼べ」
「うん」
わたしは浴衣を持って、寝室に入った。
「んっと…。ああやって、こうやって…」
十分後、悪戦苦闘して着てみたけれど…。
「…ないわ。コレはない」
等身大の鏡の前で、わたしはボソッと呟いた。
あちこちヨレヨレ、着崩れしていて、浴衣を着たまま全力疾走した後のように見える。
なので意を決して、ソウマさんを呼んだ。
「そっソウマさん、すみません。手を貸してください」
ふすまを少し開けて、声をかけた。
イスに座ってアイスティーを飲んでいたソウマさんは、笑顔で頷いた。
「分かりました」
そしてソウマさんにちゃんと着付け直してもらった。
「髪の方もよろしければやりましょうか?」
「あっ、お願いします」
「ナナオさんも髪の毛長いですね。頭の上でまとめるのと、そのまま流すの、どちらが良いですか?」
「マカはまとめていたから…わたしはこのままで」
「では飾りを付けましょうね」
「はい、お願いします」
ソウマさんはピンク色の花の飾りを付けてくれた。
「わぁ、可愛い。今の時代って、可愛い物が多いんですね」
「そうですね。マカもあなたのように、オシャレを楽しんでほしいのですが」
鏡に映るソウマさんは苦笑している。
「マカって機能性を重視するタイプですね」
「ナナオさんのおっしゃる通りです。衣食住全て、機能性のみを重視します。お金があるんですから、もうちょっと女の子らしくしてほしいんですけどね」
「マカって昔から、ああなんですか?」
「そうですね。大人に囲まれて育ってせいか、精神的に成長が早かったと言いますか…」
既に悟ってるような顔をするから、未成年には見づらいんだろうな。
ソウマさんの言わんとしていることを察して、わたしも苦笑するしかなかった。




