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覆される都市伝説・【マカシリーズ28】  作者: 星群彩佳
出会ってはならない存在
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暑い夜に…

わたしはいつも、暗い空間に1人でいる。


1人は楽、そして暗闇も心地いい。


正確な時間は分からないけれど、ただ1回だけ、知ることができる。


それは誰かがわたしのサイトにアクセスして、小説を読んでいる時。


サイトは午前0時にしか開かないから、誰かが読み始めた頃はその時間であることが分かる。


最近、このサイトが都市伝説としてウワサになっているみたいで、アクセスしようとする人が増えた。


…バッカみたい。


このサイトに辿りついて、無事な人間は一人もいないというのに…。


何故読もうとするの?


自分だけが無事に済むとでも思っているの?


何て浅はかで愚かな考え。


―わたしはそんなに甘くないのに。


読んだ人がどんな人であろうと、わたしの小説を読んだからには同じ運命をたどらせる。


そう、わたしをイジメた人間と同じ末路を―。


わたしの小説を読んだ人間の反応は、みんな同じ。


わたしの姿を見ては怯え、そして小説通りに殺される不安からおかしくなっていく。


そしてやがて、本当に小説通りに死んでいくのだ。


死が怖いならば、興味本位で読まなければ良い。


なのに最後まで読むのだから、呆れたものだ。


でも数ある都市伝説の中で、どれが本物かなんて、分かる人なんているんだろうか?


そして分かっていながらも、無事で済む人は…いるんだろうか?


…おかしな話だ。


そういう風にしているのは、他でもなくわたし自身なのに。


暗闇の中で、パッと白い光がついた。


どうやら午前0時になったらしい。


今日もまた、わたしの小説を読んでいる人がいる。


…わたしの小説自体は、どう思われているんだろうか?


イジメをテーマにしているけれど、わたしが生きてきたことも描いている。


大好きだったおばあちゃん、一緒にいてくれた頃は幸せだったな…。


その分、死んじゃった時は悲しかったっけ。


今ではその悲しみも遠い昔みたいに感じられる。


けれど憎しみの心は未だ、この胸の中で重く暗く存在している。


すでに憎しみの対象となる人達は、とっくにこの世にはいないと言うのに…。


憎しみの心を晴らせる術を、あなたは知っている?


ふぅ…。


もうよそう。


今日も今日で、読者の元へ行かなければならない。


そうしておぞましい死を与えるのが、今のわたしの役目であり、存在する意味。


…一体いつからこうなんだっけ?


最初はただ、イジメた人達を苦しませたかっただけだったんだけど。


いつの間に、こんな風になったんだろう?


そんなことをぼんやり考えながら、わたしは白い光が差す方へ向かった。


この先には、読者がいる。


この前は確か中学生の女の子、その前は大学生の青年、それより前は……どうだったかな?


すでに数え切れない人の元へ行くから、記憶もあやふやだ。


今から会いに行く人も、いつまで覚えていられるのかな?



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