同類達の反応
その日の昼頃になって、ハズミとマミヤが訪れた。
二人とも両手にたくさんの紙袋を持って。
「いらっしゃい、二人とも。スゴイ荷物の量ね」
「重かった~暑かった~。ナナオ~、冷たい飲み物ちょーだい」
ハズミは荷物を床に置くなり、ぐったりと倒れ込んでしまった。
「邪魔だな、コレ」
ドスっ
「ぐへっ!?」
…そこへ容赦ないマカが、ハズミの背中を踏み付けて荷物に近寄った。
「思ったより早かったな」
「昨日の夕方、ソウマさんが帰ってきたんだ。それで急いで用意してくれたんだよ」
マミヤも床に荷物を下ろす。
「ご苦労。ナナオ、二人に冷たい緑茶を」
「分かった」
キッチンに入るけど、三人の会話は聞こえてくる。
「ソウマさんいわく、『コレらの服は着用者のサイズに自然と合うし、人成らざるモノが着ることも可能』だって」
「うん、なら良いな」
マミヤとマカは紙袋の中から服を取り出し、床に置いていく。
「何か随分ハデなデザインね」
コップを載せたトレーを持って行くと、ハズミが起き上がった。
「ソウマさん、意外と服の趣味、ハデだから。でも自分の着る服は大人しめだよな」
「まあそういう歳なんだろう」
「歳って…ソウマさんはまだ若いだろう? ルナみたいに四百年以上も生きてないし」
「四百年っ!?」
途方もない年月に、目がクラクラする。
「でも見た目は十歳前後なのが怖いよな~。しかも明るいし」
ハズミは緑茶を飲みながら、難しい顔をする。
「ルナの体の中でどんな異変が起きて、成長が止まったのかは分からんがな。まっ、そのうち死ぬだろう」
「マカ…。いくら何でも身近な人のことをそういう風に思うものじゃないよ」
たしなめるようにマミヤが言うと、マカは肩を竦めた。
「いくらウチの血族と言えども、死は必ずある。不老のモノはいるが、不死は存在しないしな」
「どんなに特殊な体質と力を持っていても、必ず死ぬってところが、この世界の生き物って感じだよね~」
皮肉な笑みを浮かべながら、ハズミは言う。
「生と死は強制的なのが良いのさ。例え自分の意にそぐわなくとも、強制されたものだとしても、そこには無意味というものは存在しないからな」
「全てのことには意味がある、か…。一理あるね」




