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文句は言わないものの、眉間にシワは寄る。
むっつり表情で食べられると、本当に申し訳ない気持ちになるし。
「幸い今は熟睡しているみたいだから、ゆっくり作ろう」
そしてわたしは朝食を作り始めた。
マカはお昼頃になって、ようやく起きてきた。
「…おはよう」
「おはよ、マカ。朝食は作ってあるから、シャワー浴びてきたら?」
「ああ…」
マカは俯き、足元をフラフラしながらお風呂場へ向かった。
機嫌は悪くないけれど、疲れが残っているみたい。
「お風呂上がりにコーヒー牛乳でも渡そうかな?」
糖分は疲れに良いし。
わたしは再び冷蔵庫に向かった。
そして三十分後に、マカはお風呂から上がった。
「今日の朝食は何だ?」
「朝粥にしたの。具は魚やキノコ、野菜をいっぱい入れたから。あとコーヒー牛乳飲む?」
「飲む。くれ」
イスに座ったマカは、そのままテーブルに上半身を伏せた。
「だっ大丈夫? 昨日、遅かったの?」
「…まあ、な。ちょっと調べもので忙しかった」
マカは血族の次期当主という身分らしいし、いろいろと忙しいのだろう。
コーヒー牛乳を渡すと、あっと言う間に飲み干した。
「水と朝食」
「はいはい」
コップを持って、キッチンに入る。
朝食はマカと一緒に食べた。
どうやら今のわたしは食事をすることはできるけれど、空腹状態にはならないらしい。
マカが起きるまで、待つのは苦痛じゃなかったし。
「ナナオ、食後にちょっと話がある」
「うっうん、分かった」
マカの表情が真剣みを帯びている。
どうやら真面目な話みたい。
食事中は会話もなく、食べ進めた。
食後はアイスティーを作って、ソファーセットに移動する。
マカと向かい合わせに座って、話が始まるのを待った。
マカはすぐには話し出さない。
数分後、ようやく出た言葉は、すでに機能を失ったはずの心臓が痛むものだった。
「ナナオ、お前、何が目的で人を殺す?」
「えっ…」
眼を見開いたわたしを見ながら、マカは言葉を続ける。
「昨日からお前のことを調べていた。いろいろとサイトで話題になっているな。だがそういうことをしているお前の目的が分からない」




