熱帯夜
夜、すでに日付が変わってもマカはリビングにいて、パソコンに向かっていた。
『マカ、まだ寝ないの?』
「寝たかったら先に寝てくれ。私はもう少しやることがある」
寝てくれって言われても…わたし、寝れるの?
「服はもう一日ガマンな。ああ、昨日の寝室の布団で寝てくれ。また抱き枕として使うから」
……よく、人を人と思わない人は鬼畜だと言われる。
けど死霊を死霊と思わない人成らざるモノの場合は、どうなんだろう?
『…そう。なら先に行ってるわね』
「ああ。おやすみ」
すでに肉体はないはずなのに、物に再び触れることができるようになったせいか、疲れた。
朝、物を食べられるようになったことが分かった後、昼食とオヤツと夕食はマカと一緒に食べた。
『料理の腕、やっぱり落ちたなぁ』
久々だったせいか、イマイチ味のバランスがおかしい。
けれどマカは黙々と完食してくれた。
『何か…メイドになった気分』
メイド服は着ないものの、やっていることは同じだろう。
けれどこの家、手入れがよく行き届いていて、わたしがやれることはあまりなかったぐらいだ。
でも広い分、疲れはしたけど…。
いつもはメイドがいるって言っていたし、彼女達の休みが明けたら……わたしはどうなるんだろう?
…少なくとも、今までの読者のようにはいかないだろうな。
あのマカなら特に。
わたしの力が全く通用しない。
それではわたしの存在意味など、ないも同じだ。
『マカは…どう思っているんだろう?』




