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「敵を作りやすいタチで悪かったな」
「敵もそうだけど、マカを欲しがる連中にも頭を悩まされるよ。最近じゃ別の都市伝説となって、囁かれているみたいだし」
「消してくれ」
「言われなくてもそうしている」
…何だかマカとマミヤって、似ているのかもしれない。
表情をあまり変えず、淡々と話すところなんて特に。
「まあ都市伝説など、本物であろうが偽物であろうがどうでも良い。とりあえずはナナオの今後、だな」
「また眷属に加える気?」
「それでも構わんが、まずは服だな。セーラー服の上にエプロンを付けたままでは、流石にな」
「死霊を使うこと自体、アレだけどね」
マミヤは険しい表情でアイスティーを飲み干した。
「ソウマさんに報告しても良いんだね?」
「そうじゃなきゃ、服は揃えられないだろう? メイド服と寝巻き用の浴衣、私服の3着は最低用意しといてくれ」
「はいはい。それじゃあハズミ、そろそろ帰るよ」
「ううっ…」
ハズミは顔をおさえながら、マミヤに支えられて立ち上がった。
「それじゃあマカ、何かあったらすぐに連絡を」
「分かった。後はよろしくな」
「うん、じゃあね。…ナナオも」
『あっ、うん』
マミヤは苦笑しながら出ていった。
『…本当にハズミを回収したね』
「だからアイツらは二人ワンセットの方が良いんだ」
なるほど。マカは二人の性格を熟知しているようだ。
「しかしマミヤのヤツ…。口うるさくなってきやがった。少し前までは私にビクビクしていたくせに」
眉を寄せ、チッと舌打ちする様子を見ると、ソウマは前は大人しかったのかな?
「慣れてきたら、ソウマに似てくるとは…。姑が二人になったら、頭抱えるぞ」
『そっそう言えばあなたの名前って、マカって言うのね』
空気が怪しくなってきたので、話題を変えることにした。
すると女の子はきょとんとした。
「ん? まだ名乗っていなかったか?」
『……うん』
「私の名前はマカ。高校三年だ」
ということは17・8歳…。
やっぱり大人びているな。
「ちなみにハズミは二十歳、マミヤは二十二歳…だったな。確か」
『みんな、わたしより年上なのね。ハズミとマミヤは大学には通っていないの?』
「二人とも生前は通っていたらしいぞ。マミヤは医大生で……ハズミの学部は何だったっけ?」




