3
会話の内容は分からないけれど、二人は深刻な表情をしていることから、難しい問題なんだろうと思う。
「あっ、アイスティー、ありがとう」
ふとマミヤが気付いたように、コップを持った。
『いっいえ』
「自己紹介が遅れたね。俺はマミヤ、あっちはハズミというんだ」
「よろしくー。ところでキミの名前は?」
『あっ、わたしは…』
「ナナオ、だ」
『へっ…』
わたしが名乗る前に、マカが名前を言った。
『えっと…違うんだけど』
「わたしがそう決めた。お前にピッタリだろう?」
ピッタリって…あっ! もしかして!
『昨夜、わたしを七十点って評価したから!?』
「七十点…70でナナオ。マカ、暑さで頭やられたんじゃない?」
ドガッ!
「うごふっ!」
マカの素早い裏拳を顔面に受けたハズミは、そのままイスから落ちた。
「相変わらず良いツッコミだな」
マミヤは感心しているのか呆れているのか分からない表情で、マカの向かいに座る。
「どうせ肉体はないんだ。なら肉体の名前に縛れることもあるまい」
たっ確かに肉体は無いけれど…。
だからと言って、わたしを見て付けた点数がそのまま名前になるなんて…。
「まあ良い名前だと思うよ。…でも一応聞いておくけど、キミには協力者はいるのか?」
『協力者?』
マミヤはふと真顔になった。
「キミの他に、同じようなことをしているモノは知っている?」
『いっいいえ。わたしだけよ?』
「…なら個人的なモノか。でもマカ、何でもかんでも内側に入れない方が良いよ。いくらこの部屋に結界が張ってあるからと言っても、完全に無事であるとは限らないんだから」
「マミヤ、お前ソウマに口うるさいところが似てきたな。だが平気だ。…今のところは、な」
「全く…」
マミヤは困り顔になって、腕を組む。
何となく居た堪れなくて、俯いてしまう。
マミヤの言うように、わたしは死をもたらす存在。
受け入れる方がおかしいのだ。
「だがそれを言ったらな、お前とハズミだって同じだろうが」
「…それを言われると、耳が痛いな。まあマカの同族の仕業じゃないことだけ、願うよ。あんまり身内に敵がいすぎるのもなんだし」




