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9.いやいや、冷静になって

部屋に入る前に神父に言われたことを思い出す。

そうだった。忘れていた。

この子たしか例の神父に媚薬を盛られていたんだっけか。


このイレギュラーな行動って単に私に発情してるだけという話なのでは。

そうでなければ初対面の、モブキャラという設定のせいで顔もはっきりしていない女性を口説こうなんて思わないんじゃないか。


そもそも、今の段階では私が彼との性行を拒否して連れ出してしまったというだけ。

体から始まる付き合いだったとしても、それ自体を回避した今。

「好みだ」なんて言う理由がない。


あるとすれば薬のせいだ。

コルフェの判断が発情させられて鈍っているのだ。


考えてみれば私と会う前にも、彼は神父の画策によって何人かの女性とセックスを経験済みなのだ。

齢十歳で既にスーパー攻め様の片鱗を見せて、お姉さま方をガンガン突いているにちがいない。

こんなに小さくて儚い、女の子のような見た目をしているのに。


ずっと精神的には成熟しているような表情でいて、甘い台詞を吐いてくる。

オスの本能で私をメスだと認識しているからだ。

そうでなければ誘うような言葉やいやらしい指つきなんてしていないだろうし。


案の定、コルフェは掛布伝いに私に擦り付けてあそこを硬くしていた。

こころなしか体も熱くなっている気がする。


(うっわー……推しだけどこればっかりはちょっとひくなぁ……)


大人でやられたら立派なセクハラなんだけど、仕方がないと言えば仕方がないかな。

これからお客さん相手に子作りをしようと準備をさせられていたのを、おあずけ食らっちゃったわけだし。

まだ小さいしなんて弁明はしてあげられそうもない。


「コルフェ、あのね」


「はい……?」


「嬉しいけど、多分貴方のその気持ち、今は違うと思うわ」


こんな状態でここでやるわけにはいかないし、それでは連れて逃げてる意味がない。

本末転倒になっちゃう。

早急にどうにかしてあげなければ。


降りてきた時とは違う気持ちで、なるべく音を立てないように階段を上り外へ出た。

神父も地下室のある教会の裏手とは離れた家屋に住んでいるらしい。

見張りもない。


私はコルフェを抱えたまま、バレることなく教会の敷地から抜け出せたのだった。




■前編は以上です!

読んでくださりありがとうございます

中編は来週ごろから更新予定ですので、ぜひブックマークしてお待ちくださいませ~




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