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プロローグ

 「いいですよ。お姫さま」


そう言うと、夜の中でうっそりとその少年は嗤った。


轟轟と立ち上る炎火の中、闇色を溶かし込んだよう

な、艶やかな黒髪が風に揺れる。


少女は眼に掛かる長い銀髪の隙間から目を見開いて少年を見上げた。


「あなたは死神ではないの?」


少年はくくと喉を鳴らすと、長い指で少女の頬を撫ぜた。


「あたらずとも、遠からずです。・・ふふっ、きっと死神も気まぐれなんですよ」


周りはどこもかしこも紅蓮の炎に包まれていて、時折火の粉が肌を焼く。


それなのに、少年の指も空気もひんやりとしていて、

建物が倒壊する音が周りに響く中、この少年の近くだけは、まるで、夜の静寂を纏ったかのように静かだ。


―魔に魅入られる―ふと、少女はそんな事を思いついた。


紅く燃える空気の中、闇色の髪を揺らし、白い肌の(かんばせ)は怖いほど整っていた。


まだ幼さが残る顔は確実に青年の片鱗を見せており、すらりと伸びた細い体躯は少年のそれでいて、そのアンバラスさが危うい色香となり、より一層少年の美麗を際立たせた。


何よりも、幼い少女を見つめる真紅の瞳は、爛々と輝き紅蓮の炎すら呑み込みそぅなほど、美しかった。


少女が魅入られた様に見つめる中、少年はスッと少女の前に跪き、少女の細く白い首に触れた。


瞬間、カチャリと小さな金属音がしたあと、少女の首に銀の首輪が嵌められていた。


少年はゆったりと嗤うと囁いた。

「約束ですよ」と。


少女の細い首に巻き付いた首輪は、少年と同じ真紅の石が怪しく瞬いた。






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