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死が、首と胴を別つまで  作者: 谷メンマ
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第11話 最悪の結果


「ちょっとお、それ私のおもちゃ!取らないでよお!」


「へへー、早いもん勝ちだよ!」


ここは、王宮内にあるとある孤児院。


孤児とは言っても、彼らは単なる捨て子などではない。

その全員が、優秀で戦闘向きな宿霊者の卵である。


コーサラ国で宿霊術が一般解禁されてから十年が経ち、国の中心部や地方の大都市などでは、宿霊者がだいぶ世間に受け入れられるようになってきた。


しかし地方の山村などでは、宿霊者は未だに忌み嫌われ、家族ぐるみで村八分のような状態にされることもままあるのだ。


そしてここにいる孤児たちは、そんな現状に耐えきれなくなった彼らの親や養育者たちが、地方行政に彼らを(半ば捨てるように)預けた結果ここに送られてきたのである。


五歳から十四歳までで構成された彼らは、すでに入所の時点からその能力の程を測られ、厳選されている優秀な子どもたち。


警備隊ともまた違う、王国が新たに用意した”新兵器”とも言える部隊の養育が、この施設の役割となる。


そしてそんな新兵器の情報を得た解放軍は、一つの非情な決断を下すことにした。


その作戦は、王宮突入作戦と時を同じくして。



「キャハハハ!ほら、次はサーニャが鬼……あれ?」


「ちょっとお、どうした…え?……雪?」




「………ごめんなさい」




その日王宮を襲った凄惨な事件の顛末は、その日のうちに、王国中に知れ渡った。


曰く。民衆の規模デモや暴徒化した宿霊者たちによる市街戦の裏で、王宮内に賊が侵入。


連中は二手に分かれると、一方は七十二柱の”六雄”のうち第四柱、”適応”のセリムを殺害。


そしてもう一方は、王宮内の児童養育施設を襲撃し。


五歳から十四歳の、”非戦闘員を含む”全員を殺害し、そのまま逃走。


なお、この一連の事件について王国警備隊は、現場に残っていた霊子の残痕より犯人を特定・公表した。


これを受けてコーサラ国は、第四柱セリム殺害、並びに大臣3名殺害の罪により。

“紅蓮”のスレイマン、”破壊”のアフマドをA級指名手配。


そして。


“氷鬼”のラーマを、養護施設の人間、非戦闘員を含める56名殺害の実行犯とし、S級犯罪者として国際指名手配を開始した。




「……今回の…敢えてこんな言い方をするが、今回の殺戮は……必要なものだった。あの施設を放置しておけば、のちのち俺たちの大きな障害に…」


「分かっています。…団長。……分かって、いるんです…ッ…」


「……すまなかった、本当に。…セリムとの相性ばかり考えて、お前の気持ちを優先してやれなかった。…俺は、団長失格だ……」


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