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四章 悦楽-12

そのあとは部屋でティラとアナーシアでステーキを食べながらゆっくりした。ティラはというと、手の甲に先ほど見せられたハムスライムを乗せて、ぷにぷにとスライムを指で突っつきながら嬉しそうにしている。

俺はカバンの中に入れていた、倒した悪党や権力者から奪った宝や貴重品を机に広げてアナーシアに見せる


「おぉ〜、このナイフは……周りについてるこの宝石一つだけでも、豪邸一つ買えそうじゃん……」


宝飾に彩られたナイフを持ち上げ見上げつつ、宝石を指さしながら目を凝らして、柄に宝石がいくつも埋め込まれたナイフを眺めている


「気に入ったか?やるよ」

「いいのか!?アンタ気前よすぎ、代わりに何が欲しい?」

「俺はいいよ、宝とか興味無いし」

「トウヤは友達だけど、そうもいかないんだ。アタシは空賊で商売もしてる、何も与えず受け取るなんて事は出来ないよ」

「ならその宝石を金にして、貧しい子供にでも配ってくれ。ちょうど王国「ニーティル」の貧困層が、ひどい状況なんで助けてやって欲しい」


アナーシアは「ふーん」と呟くと、自分の近くに宝石が沢山埋められたナイフを置いておく


「アンタなんでそんな人助けにこだわるんだ?」

「引きこもってアニメとか映画ばっか見てたから、強ぇ奴は人を助けるべきだって学んだ」

「ふむ……そのアニメとか映画っていうのは知らないけど。なんかそうやって教わったのね」

「なんとなく人を助けて悪い奴倒すのって気分いいじゃん。あとは愛する女が一人いればいい」

「あははっ、見た目若いくせに随分ハードボイルドだねアンタ!」


話しながらアナーシアは「そうだ」と散らかった机の下から新聞を取り出すと、俺に差し出してくる


「そういえばアンタ達、新聞にも乗ってるんだよ!新聞が作れるくらい文明的な国では、大体アンタ達の記事があるよ」

「おおマジで!ティラ、俺ら新聞乗ってるって!」

「ええ……でも私、目立つのは嫌です……」


見ると確かに新聞に載っていた、俺は動きが素早いんで見た目はハッキリとは描かれていないが。建物の上で黒く素早く動き影が観測されたと書かれている。その横に、その影の姿は長身の男と小柄な帽子を被った女で、暴漢の集団に襲われていた女性を救出したと記事に書かれている


「ホントだ、姿はバレてないけど書かれてるな」

「この新聞だけじゃなくて色んなところの新聞に書かれてるよ!どこかでは正義を全うする「報復の影」なんてカッコつけた名前もつけられてる。アンタ、悪い事してる奴なら王族とか権力者でも平気で襲ってるからさ。そりゃ噂になるよ」

「善悪に階級は関係ないだろ、権力者で悪いことしてる奴ならなおさら許せねぇし」


新聞を眺めている間、アナーシアは机から前のめりになりながら俺の顔を覗き込むようにして


「じゃあさ、トップクラスに悪いヤツ紹介してやろっか?」

「お、なんだそれ気になるぞ」


アナーシアは机の下から地図を取り出して机に広げると、ある大陸を指差す


「この国。「ネクロス」っていう死の国って呼ばれてる場所なんだけど、とんでもない独裁国家として有名なんだよ。魔王って呼ばれてる「ヘルデウス」がこの国の王を務めてるんだが、なにせ不老不死なものだから1000年以上も国民達を奴隷にして、王として君臨し続けてる」

「なるほど、不老不死の王ってのは確かに厄介だな……」

「一番厄介なのはそいつの能力で、ヘルデウスは生きてない生物を魔力で動かすことが出来る能力を持ってるんだよ。人間や魔物問わずね、いわゆるゾンビ兵士を無限に作れるんだ。だからそいつは生きてる人間を奴隷として使った挙句、その死体を国の兵士として働かせてる。噂によるとそのゾンビ兵士を他国にも武器として与えて、他の国からの利益を得ているらしい」

「ふむ、それで国の規模を大きくしてる感じか」


あちこち見て回ったけど死体を兵士にしてる国ってのは初めて聞いた、俺は頷き


「面白そうだな。ちょっと俺、その国に挨拶しようかな」

「ホント?言うまでもなくその魔王は強いぞ」

「俺も自分が強すぎてちょっとうんざりしてるんだ、強い奴がいるならぜひ会いたいね」

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