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四章 悦楽-11

「私はあの人達と相容れません……」

「あの人たち嫌い?」

「嫌いではありませんが、相性が合わないだけです」


客室の椅子に座りながらティラは机の上に頬杖を付いて不機嫌そうにしている。ちょっと膨れてるのも可愛いけど、不機嫌にさせたのはよくなかったかな。ただあの元気そうな空賊を見てると、何ていうか俺も友達になれた感じがして嬉しいんだよね


「そもそもトウヤはなぜ、空賊との交流を?」

「俺らが集めた貴重な品をあいつらに見せて、宝を交換するためだ」

「嘘です。トウヤは金や宝石に興味が無い性格なのは分かっています、なにか別の理由があるはず」


相変わらずティラは鋭かった。彼女の言う通りで俺は旅しながらの生活なので、最低限の宿や食事が出来る金さえ用意できればいいし。この力さえあれば金はそんなに必要無い。俺自身、薄々感じていたことだが口にするのが恥ずかしかった


「……友達が、欲しい」

「え?」

「異世界に来てから、友達がいない……」


俺は口にしながらつい眼を潤ませてしまった。

そうなのだ。俺はこの異世界に来てからティラという最高の出会いに巡り会えたが、継続してお話している友達がいない。せいぜい協力して戦ったのはイネスくらいだけど、イネスは盗賊ギルドで身を隠すことが仕事だから会いにいくのは迷惑になる。ていうか旅の目的も人知れず悪を倒して人助けする事だから。人に知られると他人を巻き込むからあんまり良くないよね


「トウヤは……私さえいればいいんです」

「分かってる、その通り!その通りなんだが、何ていうか空賊達の、陽キャの雰囲気っていうの?元気ある感じ見ると、俺も元気出るんだよね!友達いるってこういう事だよな!って少し思ったり……」

「言っている意味がよく分かりません……」

「ティラ!お前にも女子の友達が必要だろ?ひとときも俺から離れずに従順だけど、他の女の子と話したいとかって思ったことない?」

「私は……トウヤさえいればいいです。世界中が敵になっても、トウヤさえいればいいです」

「だよね分かる〜、俺も愛してるよ。でも〜……」


俺とティラが話している間、アナーシアが皿を持って客室に入ってきた


「二人ともお待たせー!なになに〜、なに話してたんだよ?表情暗いぞ」


アナーシアは手早く机にミノタウロスのステーキを並べていると、ティラが口を開く


「アナーシア。トウヤはあなたと友達になりたいそうです」

「あ、ちょ!ティラ!」

「え〜そうなの?とっくに友達じゃなかったのアタシ達?」

「ですが私はあなたと相性が良くない気がします。トウヤと友達になっていいですが、私とあなたは多分友達にならないでしょう」


アナーシアは一瞬だけ考えるような表情を見せるが、ニッと歯を見せて笑みを浮かべるとコートの内ポケットから、手のひらサイズの小さなハムスターの耳をした、スライムのモンスターを取り出す


「ティーラ……これなーんだ」

「……!なんですか!その可愛い生き物は……!?」

「ハムスライムだよ。ほら見て、ぷにって押すとちゅーちゅー鳴くんだよ」


ティラは目を輝かせて立ち上がり、アナーシアの手のひらの上でぷるぷる震えるハムスライムと呼ばれるモンスターに釘付けになっている


「アタシの友達になったら、船の地下にあるハムスライムのコレクション見せてあげるけど、どうかな〜ティラちゃん?」

「見たいです!友達になりましょう……!」

「マジか……すぐ友達になった」


まったくアナーシアの空賊特有の陽キャの雰囲気というか、一瞬で心を掴むカリスマ力はすごい。俺なんかティラの心を掴むのに9ヶ月もかかったのに。嬉しそうなティラの姿を見て、俺はアナーシアの人を惹きつける魅力に微笑んでため息をつきながら少し嫉妬した

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