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四章 悦楽-6

この場所はマフィアの事務所だったようで部屋の奥には地下室が用意されていた。その地下への階段を進むと、そこにいたのは部屋の柱に縛り付けられていた3人の少女。俺を見かけると怯えた表情を浮かべたが、男が近づくと怖がるかも。ここはティラに任せようかな


「おっと……ティラ、ちょっとあの子達と話してくれないか?」

「え、私がですか……?」

「あの子達、俺を見て怯えてる……男にひどい事をされて怖がってるのかもしれない」


伝えるとティラは頷き、トテトテと部屋で縛られてる彼女達に歩み寄りしゃがみ込む


「落ち着いて、私達はあなた達を助けに来ました」

「ほ、本当に……?」


こういう時は俺みたいな強さの塊みたいな男より、小さくて可愛いティラを見た方が安心するだろう。ティラは彼女達を安心させようと穏やかな微笑みを浮かべて、なだめるような口調で問いかける


「あなた達は、どうしてここに?」

「わ、私たち……3人で外に遊びに行ってたら、男の人達に誘われて、飲み物を飲まされたの……」

「そこから記憶が無くて、気づいたらここに……多分飲み物に何か入れられてたんだと思う……」


どうやら男達に誘われて騙されたようだ、知らない男からもらった飲み物は警戒した方がいいな


「あの人達……私たちを、どこかに売るって、話してて……」

「マジか、人身売買かよ。ひでぇな……」


やっぱこんなに発展した街だとひどい話も多くあるみたいだな、とにかく今回は駆けつけて正解だったかもしれない


「安心しろ、家の場所を教えてくれたら一瞬で帰してやる。君たちを誘拐した悪いお兄さんは、俺がお仕置きしといたからな」

「大丈夫……トウヤはこの世界で一番強い魔法使いなんですよ」


それから俺らは、彼女達と共にその場所を脱出した。

家の場所を聞くと、一人ずつタイムスピードでその家の場所にお姫様抱っこしながら瞬間移動して家の前に帰してあげた。

最後の一人は家の玄関の前で少し心配そうな表情を浮かべて、中々家の中に入れずにいた。両親を心配させてしまった不安があったからだろうか、だが勇気を出して家の玄関をノックすると。父親が家の玄関のドアを開けて涙目になっていた


「……アリス!どこにいたんだ!」

「パパ!!」


父はアリスと呼ばれた少女の体を抱きしめて、二人とも泣いていた


「お前が急にいなくなって、パパはすごく心配で……」

「ごめんなさい……!知らない男に連れ去られて、すごく怖かった……!」

「そんな……!」

「でももう大丈夫なの!魔法使いが、私を助けてくれた……!」


父と娘が再会するのを、俺とティラは別の建物の屋根の上から見下ろして眺めた。


「トウヤ、また人を救いましたね」

「これで充分とは思ってないよ、もっと大勢を救わないと」

「いいえ、身近な命を助けるのが最も大事ですトウヤ。あなたがあの森に住んでいた魔物達を助けたように」

「……そうだな」


ティラの言葉に俺は頷いた、確かにそうだ。俺は世界を変えられるくらいの力はあるが、目の前の命を救えないくらい無慈悲になるのもあんまり良くない。俺は時々、自分の力を過信してしまうがティラが俺にとって大事なことをいつも思い出させてくれる。愛する女性に俺は微笑んだ


「さーて、じゃ次はどこいこっか」

「トウヤ……まだ人参をしていません」

「……また空でしちゃう?」

「ええ、それでも構いませんよ……」


俺はティラの体を片腕で抱きながら、再び空へと浮遊した

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