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四章 悦楽-2

トウヤがあの貴族を殺害し、トウヤとティラがその場を立ち去った後。夕方になりその現場に訪れる人の姿があった。

彼女は全長3mほどのドラゴンの背中に乗って現れた、翼をはためかせたドラゴンに乗る鎧の女性。後ろには彼女の手下である男二人の姿。彼らもまた別のドラゴンに乗って彼女の近くを飛んでいた。

未だに縄で縛られている黒い護衛のそばに、鎧を着た女性はドラゴンから降りてその護衛の口に巻かれているロープを引っ張って外した


「はぁ、はぁ…!」

「一体ここで何があったか答えてもらおう」


ミシェルは彼に問いかける。手下の男たちも、別の男の護衛の口に巻かれていたロープを外して確認する。


「お、お前らは!?」

「私の名はミシェル・エルゴンダーラ、天空王国「スカイア」の王立聖騎士団団長だ」

「スカイアだと?天空に住んでるお偉いさんが、俺らの地に何のようだ!?」


ミシェルと呼ばれた女性の部下の男が、ナイフでロープを切ろうとしているが手こずっている


「ミシェル団長!このロープには強大な魔力が込められています。我々のナイフを持ってしても切れません!」


部下の言葉に女団長は頷き、護衛をしていた男に顔を近づける


「もう一度問う、一体なにがあった?」

「と、突然男が女と一緒に現れて。男が俺らを一瞬で縛りつけたんだ、本当に一瞬で……瞬きしてる間にいつの間にか縛られてた!そして、俺らを縛りつけたあと、俺らが護衛してたレーパ男爵の頭を踏みつけて潰した!男はそれから女を抱いて、空に飛んで逃げちまったんだ!」

「信じがたい出来事の連続だな……それらは真実か?」

「本当だ!信じてくれ!」


彼の話を聞いてから頷き、ミシェルは考え込んだ表情を浮かべて殺されたレーパ男爵の死体に近づく。地面に転がりながら頭が潰され、無惨な姿をした彼を見下ろしていると、肩に開けられた穴に視線を向けた。死体を眺めている最中に、男の手下が近づいて


「団長、この肩の穴は……」

「血から記憶を見る魔術を持った者かもしれないな。記憶から繊細な情報を得るには、相当な魔法の鍛錬が必要なはず」

「ではやはり団長が探している例の男では……」


ミシェルは険しい表情を浮かべ、呟くように言う


「神獣に狙われ、街で騒ぎを起こし、チェインダーのディーヴェル教会を壊滅させた男……その男は間違いなく膨大な魔力を持っている。奴ならこれほどの騒ぎを起こすのも簡単だろう。これは恐らく、奴の仕業だ」


男爵の死体からミシェルは離れると、別の証拠を探し辺りを見渡し始めるが。その最中に手下は続けて話し


「ですが団長、彼が狙った者たちは悪い噂を持つ者たちばかりです。今回のレーパ男爵も、城に大勢の奴隷を持った極悪貴族という噂があります。彼が狙うのは悪い連中ばかりなのでは?」


手下が話す事に、ミシェルは手下に詰め寄って厳しい口調で伝える


「いいか、どんな理由であれ、誰かが人を勝手に殺すなどということはあってはならない事だ。それはたとえどんな人間であっても、神であっても、許されることではない。人の命は法を遵守し、慎重に審議しなければ生死を決断すべき物事ではない」


ミシェルは再び、潰された男爵の頭を見ながら答える


「彼はおそらく強力な力を持ちながら、その力を振りかざすように人を殺し始めた。そんな奴を我ら王立聖騎士団が許すわけにはいかない。必ず奴を捕まえて報いを受けさせるぞ」

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