四章 悦楽-1
●四章 悦楽
「ティラ、あの向こうに貴族に脅迫されてる人を見つけたぞ!貴族を殺しにいこうぜ!」
「えぇ、分かりました」
俺の力、セブンスセンスは周囲に発生する悲鳴や助けを求める声を察知する力があることが分かった。セブンスセンスの力に集中すると、自分が求めている情報や気配を察知することが出来る。草原を歩いていると、木の向こう側で人と貴族が話し合っているような声が聞こえてきたのだ。
昨日の教会の出来事も反省して、俺は近くで救える命は素早く救うことにした。タイムスピードで時間を止めると、俺はティラの体をお姫様抱っこして、体を浮遊させて助けを求めてる人の元へと向かう
「お願いします、お願いします…どうか助けてください……!私たちは何もしてないじゃないですか……!」
「ほひひ!ワガハイの馬車の前を通りがかったのがいけないのですぞぉ〜!ワガハイは人の命を好きにしていい権利がある!」
脅迫されているのは二人の男女、服装を見たところ村で暮らしている人といった感じだ。対する馬車に乗っている貴族はでっぷりと太っており、周りには黒い装束を着て腰に剣を携えた護衛が四人ほどいる。
「よし、男の方は殺せ。女の方は私の奴隷にする」
「や、やめろ!僕の妻に手を出すな!ガッ……!」
黒装束の護衛に腹を蹴られる男、女は護衛に腕を引っ張られて連れ去られようとしている
「いやあああ!!あなた!!」
と、ここにティラをお姫様抱っこして高速で移動してきた俺が貴族の目の前に登場する。俺はティラをその場に降ろしてとりあえず奴らに挨拶を
「いよっ、お前ら」
「ん!?何だお前!?」
驚く奴らの前で俺は両手を合わせてから広げると、手と手の間に黒い縄が出現する
「エターナルワイヤー……」
この呪文エターナルワイヤーは無限に伸びる魔法の縄を出現させ、俺が解除するまで消滅することはない。何より俺の魔力から作られた縄なので超頑丈だ、俺はタイムスピードで時間を停止させると、時間を停止されている内に護衛四人全員をその縄でぐるぐる巻きにして全身動けないようにする。口も縛って口答えも出来ないようにしておこう。あと護衛に腕を引っ張られてた奥さんも抱っこして夫の隣に戻しておく。
そして時間停止を解除、第三者から見たら、一瞬のうちに護衛は全員縄でぐるぐる巻きにされてるし、男女二人は無事になってる。貴族は混乱するだろうな
「なんだ…!?なにがどうなってる!?」
俺は馬車に座りながら混乱してるデブ貴族の体の上に飛びついて、セブンスセンスで鋭く輝いたトカゲのような眼を奴の顔に近づける
「よお、悪党」
「ひぃぃ!?き、貴様はなんだ!?」
「俺は死神だよ……お前の罪の重さを、俺が見てやる」
実は誤解ってことがあるかもしれないし、いきなり殺すなんて事はせず。俺は奴の肩に指を食い込ませ、セブンスセンスで奴の血に刻まれた記憶を鑑賞する。頭の中に奴の記憶の映像が流れ込んできて
「ぎゃああ!!痛い!痛い!!」
思った通りだ。こいつは無差別に自分より下の身分の人を見かけては、自分のオモチャにするための奴隷にしたり護衛に殺させたりして楽しんでいる。こんな奴を生かしちゃおけないな、俺は記憶を見るのをやめて奴の命を奪う事を決めた
「お前みたいな奴は、許せねぇな……」
「た、頼む!貴様が誰だか知らんが金は出す!許してくれ!」
俺は奴の服の胸ぐらを掴むと、地面に向かって軽々奴の巨体を放り投げる。
「ぎゃあああ!!」
「さあ、お前の命が失われる瞬間を見せてくれ……!」
人を見下して生きてきたこいつは地べたで這いつくばって死ぬのがお似合いだ。俺は奴の頭を踏みつけ、足に力を入れて足にかかる魔力を増幅させる。すると奴の頭はまるでゴムを踏むみたいに簡単に踏み潰せる、俺は軽く足を踏み込んで地面に倒れた奴の頭を潰し
「ぶごご”ごぉ”ご”ごぉ…!!」
ぐしゃ、俺の靴の裏で奴の頭は軽々潰れてしまった。靴の裏に奴だったものの脳とか肉片とか血が色々付いてくる。
「うわあああ!!」
「いやーーー!!」
俺が助けた男女もあまりの光景に悲鳴を上げていた。命を奪う者の責任として、俺は足の裏で奴の頭が潰れる瞬間をしっかりと見ていたよ。とてもグロいし色んな断面とか破片が見えるのも生々しくて嫌だった、俺は人を殺してしまったんだなぁって気分になる。ただ、俺のセブンスセンスは血の匂いを吸収するとたまらなく興奮することに気づいた。自らの手で人の命を殺めることに対する快楽、セブンスセンスが命の輝きの消滅をゆっくりと察知し、漂う血の香りを吸うことにたまらない恍惚を感じる。緩やかだが軽いオルガズムを感じながら、俺は深く呼吸をした。
「あぁ……悪党を痛めつけるって最高だな」
「た、たすけてくれ!わああ!!」
男女二人は、夫の方が妻の手を引きながら必死に逃げていた。これでいい、俺はまた人の命を暴力で救ったのだ。これこそ異世界での楽しみ方だな
「ティラ、見てたー?俺また人を救ったぞ」
「ええ、素晴らしいですね」
ティラは微笑んで小さく拍手してくれた。べちゃ、と踏んでいた頭から足を離して俺はティラに駆け寄り、ポケットに手を入れながら上機嫌に話す
「いやー、やっぱ俺って最強だよな!」
「ええ、トウヤは強いです」
「でもちょっとやりすぎたか?」
「トウヤ、私は魔物です。良い人間には寄り添いたいと思いますが、悪い人間が私の父と母を殺したので、悪い人間が殺されるのを見ると心が安らぎます」
「あぁそれでいい、愛してるぞ」
俺はティラの背中を抱き寄せ、唇にキスをする。足についた血の匂いは中々落ちないが、ティラはそういうことはあまり気にしない。その場を離れて再び当てもなく草原を歩き始める
「この世界はまだ広い、俺はあちこち空飛んで見たけどティラはまだ見てない所がいっぱいあるだろう?一緒に見たいな」
「ええ、行きましょう」
俺はティラの体を片腕で軽く持ち上げて抱っこすると、空に浮遊してその場を離れた




