三章 強さの証-6
俺とティラは、雲まで届く直前くらい空高くまで飛び上がった。ここまで来ると広大な街と、周りに見える街の外れまでよく見える。俺はわりと最初に来た時から時間を止めてこの異世界を飛び回って探索してたから珍しい景色ではないが、ティラにはやはり珍しく見えていたそうで目を輝かせながらその光景を眺めていた。
「……俺のテレキネシスっていう魔法を使えば、俺の腕を離れて空を飛べるけど。やってみないか?ちょっと怖いかもしれないけど」
「えぇ、やってみてください。トウヤがするのであれば怖くはありません」
「よし、わかった」
俺は魔法のテレキネシスで彼女の体を浮遊させた。俺が力の加減を緩めて魔法を操れば、彼女の意思で空を飛ぶことは簡単だ。俺は彼女にテレキネシスの魔法をかけると、ティラはすぐに魔法で空を飛べることを確信したのか、俺の腕を離れて少し体を空中で浮遊させて動きを確認してから。俺の隣へと近づいて寄り添ってきた
「トウヤ……私も空が飛べるようになりました」
「あぁ、よかったな」
ティラは嬉しそうに俺の顔に頬ずりして、俺もその動きに答えてティラの頬の柔らかさを感じ取る
「トウヤ、あなたにお話したいことが」
「もちろん、俺には何でも話してくれ」
彼女は浮遊しながら俺の正面に向かって空中で女の子座りをすると。俺に話し始めた
「私たちペティートの種族は、夫婦になるという契約を結んだ場合。妻は夫よりも強くならなければならないという風習があるのです。私の父と母もそうでした」
「そうなの?でもティラはもう森を抜けて特別な存在になったんだ。そんな風習に縛られる必要もない」
「それでも……私にとって父と母は忘れ難い存在です」
「……そうか」
俺は空中でくつろぐように、両手を頭の後ろに回して浮遊した。俺はティラを愛しているが彼女の事を全て知っているわけではない。ティラの話を聞くべきだと思った
「私にとって父は偉大な教えを与えてくださる方でした、ですが母も同時に父を勝るほど偉大な存在だったのです。時に父が怒りに身を任せ、暴れた時に抑え付けるのは母でした。父は常に私たちの生活に安定をもたらしましたが、母は本当に大事な瞬間に寄り添うのです。父と母は、互いに違う強さを持っていた」
「……俺は怒りに任せ、暴れたりなどしない。何が大事かはちゃんと分かっている。俺は君が心配しているような存在にはならないよ」
「それでも、私もまた亡くなった母の偉大さを尊敬しているのです」
ティラは空中で俺に近づきながら俺の肩に手を添えると。不安げな表情を浮かべる
「ディーヴェルの男達が近づいてきた時、私は無力でした……私はあなたの何の役にも立てなかった」
「役に立とうなんて思わなくていい、ティラは戦う必要なんてないんだから。もしあんな目に遭うのが嫌なら、時間を止めてそういう奴らをあらかじめ仕留めておくか、あんな場所に近づかないようにするよ」
「そういうわけではありません……私は、戦う上で。あなたの役に立ちたいのです」
「ティラは可愛くておっぱい大きいだけでも俺の役に立ってるから何も心配しなくていいぜ!」
「私は……戦士です」
「君はもう戦士にならなくてもいいんだ」
「私は、あなたよりも強くならなければならない」
肩に添えてきた手は俺の頬まで来て、ティラは俺の首に腕を回して抱きついてきた。俺の力はいわゆる神から送られた贈り物のようなものだ。確かに前世はひどいもんだったが、今回はわりと良い条件でこの世界に送られてる。俺の最強の力は努力とかでどうにかなるようなもんじゃない
「ペティートの女は、男より強くならないといけません」
「ティラ……俺より強くなることは不可能だ」
「努力で何とかします」
「あ〜、そうだなぁ。ちょっとメモ帳に俺が出来ることを書く、ちょっと待ってて?」
抱きしめられると背中を撫でるが、一回抱き合うのをやめて俺はカバンからメモ帳を取り出し一旦自分が出来ることを書いてまとめる。書いたのを空中で座るように浮遊して待機しているティラに差し出して
「ほら、これが俺に出来ることのリストだ」
・空を飛べる
・時間を停止出来る(厳密には時間が止まったように速く移動出来る)
・敵の攻撃を自動で回避出来る
・敵の攻撃を受けても1秒で回復する
・遠くの物を浮かせることが出来る
・超人的な身体能力を持っている
・この世に存在する魔法が全部使える
・格闘、戦闘スキルが全部使える
俺はこれらのリストが書いてあるメモを、隣に寄り添っているティラに見せる
「……頑張ります」
「いやいや、頑張ってどうにかなることじゃないだろう!俺は最強なんだ」
「確かに、これを全部習得するのは不可能かもしれません。ですがトウヤが持っている能力とは別の力を持つ事で、トウヤより強くなるかもしれません。いまは……どうすればいいか分かりませんが」
「ティラが努力家で、諦めも悪いことは分かってる。ティラが俺を超えたいと思うのであれば、そうだな、応援しよう」
このメモは鞄に入れておくことにした。あとから何か書き加えるかも、神様から強い力を与えられてここに来たのはいいけどさ。何が出来るか俺だってまだ分からん。そのあとは少し浮遊して街を二人で見下ろして、ティラは俺の腕に寄り添って豊満な乳房を腕に押し当てながら肩に顔を寄せてくる。二人でただボーっと見下ろしていたが、ティラは顔に唇を寄せてきて頬にキスを重ね
「んっ」
「……人参をしましょう、トウヤ」
「お、ちょっと待ってね。いま地上に降りるから」
「いえ、今ここでです」
空中で浮遊したまま、ティラはもぞもぞと俺の服を脱がそうと手を動かして服を捲り始める
「ちょっと待て!ここで!?空だぞ!完全に外!」
「ですが、誰も見ていません……」
ここで服が脱げたら服が落ちてしまう。慌てて「テレキネシス!」と呪文を唱えて、着ている服や物を浮遊するようにした。ティラにコートを脱がされると、コートはまるで無重力空間を浮遊するように空中を漂って
「森やテントにいた時は、たしかにいろんな場所で人参したけどさ。こんなところで人参するのは初めてだな……!」
「人参の体勢は、どうしましょう……」
「えーと、そうだな。やっぱ正面から抱き合うのがいいかもしれない。床とかも無いから動き方も難しそうだが、やってみよう」
「トウヤの動きに任せます。私を、好きにしてください……」
「ん、分かった。おいで……」
抱きつくティラの体を俺も抱き寄せて、相手の着ている服を脱がそうとする。初めて触るようなタイプの服だったので脱がし方に少し戸惑ってしまったが、それもまたテレキネシスを使う事で相手の服を徐々に脱がしていった。俺とティラは空の上の雲に隠れるようにして、空中に服や下着を浮遊して散布させながら空中での人参を行なった。
心配しなくてもティラは俺にとって十分強くて脅威に思えるほどの存在だ。彼女の潤んだ瞳と魅惑的なバストとボディに迫られると、人参を断ることなんて出来ない