三章 強さの証-3
衛兵からしばらく逃げたところで、2階建てのレストランを見かけたのでひとまずそこの店内の2階でランチも兼ねて休息を取ることにした。まだ街の中なんでいつまた衛兵に見つかってもおかしくはないが、見つかったらまた逃げればいいや。俺はどこにだって逃げれるしティラも俺の逃げる先ならどこまででも付いていくだろう。机の上に出されたパスタを頬張りながら窓の外の街の景色を眺めて
「うん、中々美味いパスタだ」
「美味しいですね。トウヤの作ったパスタには負けますが」
「えぇ?あれだってフライパンにキノコぶち込んで適当なソースかけて炒めただけだぞ」
「それでも、あの時食べたパスタは特別でした」
ああ、ティラは何しても俺のこと褒めてくれる。もし前世でこんな風に俺のことをもっと褒めて認めてくれる人がいたら、少しでも自尊心を向上させることが出来たんだろうな。
だが過去のことはいい、今は彼女を見ていたい。俺の食べる動きを真似てパスタを巻く彼女の所作は、すぐに丁寧さを学び落ち着いた食事をしている。窓から入る日差しに輝く彼女の白い肌が眩しい、あと付き合っているのでいくらでもおっぱいを見れる。首まで覆われた服なので胸の谷間が露になるとかそういうことはないが、俺は服越しに包まれた豊満な胸の膨らみが好き。服に包まれても隠しきれないくらい大きなおっぱいなんだと思って更に興奮する、胸を見ながら俺はパスタを口に運んで、グラスに入れられたジュースを飲み食事を楽しむ。食事をしながら目の前に大きなおっぱいがあるというのは最高だぞ
「……胸を見てますかトウヤ」
「うん、見てる。見ちゃダメか……?」
「いいえ、構いません」
しばらく眺めてると、ティラは俺に見られてることを意識したのか。少し食べるのを中断してフォークを皿に置くと椅子に体をもたれて自分の腕で豊満な胸を挟み込んだり、腕を組んで胸の膨らみを強調したりして、さりげなく見せつけるようになってきた
「トウヤ……私の胸を見てください」
「……めっちゃ見てる」
俺はその膨らみに息を呑むのを誤魔化すように、胸を眺めながらグラスにいれたジュースを口に含んで喉の奥へと流し込む。彼女は机の上に頬杖を付いて、机の端のところに服越しの胸の膨らみを乗せ。上目遣いで俺のことを眺めてくる、机に乗るほどのおっぱいだ、すげぇ。彼女は挑発的に机の下でトントンと俺の靴のつま先を、軽く靴で蹴ってくる。
別になんか変なことしてるわけじゃない、レストランでくつろいでる彼女を見てるだけだよ。ただやけに人目が気になって俺はつい周囲を見渡してレストランの他の客の視線が無いか確認する。俺は神に選ばれチート能力を手に入れた最強の存在だぞ、何を視線に怯えているんだ。
見られてないのを確認しつつ、フォークを手に取ると、柄の部分を彼女の方へと向けて机の上に乗っている豊満な彼女の乳房を。むにむにとフォークの柄で突っついて悪戯する
「つんつ〜ん……」
「……楽しいですか?」
「うん、楽しい……」
「楽しんでもらえて何よりです……」
ぷに、むに、とフォークの柄で胸を突っつき続けてると。彼女も流石に恥ずかしくなってきたのか頬を赤らめて俺から目を反らすようにしている。しばらくそうしていると、濃い緑色のコートを着た女性が、こちらを睨みつけながらコーヒーを啜っていたので、フォークを更に戻し、じゃれつくのをやめることにした
「早く食わないと冷めちまう」
「そうですね……」
再び食事を始めようとすると、ドタドタと騒がしい足音が店の中で響いてきて
「おい!アオイトウヤ!ここにいるかぁ!?」
いきなり男の声で名前を呼ばれたので、俺は何のことか分からんがとりあえず手を上げて
「はい、俺です。アオイトウヤ」
「ハッ!すぐに見つかってよかったぜぇ、店中荒らさないで済んだからな!」
「ハッハハハ!」
あ、やべぇ、見つかっちゃいけない類の連中だったかも。
5人ほどのその紫色のフードの男の集団が2階に上がってきて俺に歩み寄ってきた、そのフードの模様には目のような禍々しい模様が添えられていた。どの男も肩から腕を露にしており、屈強に鍛えられたその腕には傷跡らしき痕が残っており、戦いの経験があるように見えるが、目つきが悪く荒々しそうな男ばかりだ。俺は態度を変えて、椅子にもたれながら男たちに向き合い
「なんだてめぇら」
「アオイトウヤ……なるほど、神獣に狙われた男と聞いたのでどんな奴かと思ったが。ただの若造じゃねぇか」
前世からの年齢も考えるとそんなに若造って感じでもないんだけどね、確かに転生する時見た目は若くてイケメンに設定した。
紫のフードを着た男共5人は俺の席に集まってくる、周囲の人は俺らのことをチラチラ見てくるが。なぜか見てはいけないかのように怯えた表情を浮かべて俯いていた、どうもこいつら。街の人に怖がられるくらいおっかない連中みたいだな
「我々は神獣に仕える教徒「ディーヴェル」の魔術師。なぜ俺たちがここに来たか分かるだろう?トウヤ……神獣を怒らせたのだから」
「なに?ディーウェル?ディー……ベル?頼むからウに点々を付けるような名前やめてくれよ、元日本人には発音しづらくてさぁ。あとパスタ食ってるから用あるならこれ食い終わってからでいい?」
俺が再びパスタに手を付けようとすると、そのディーヴェルとやらの男の一人が。俺のパスタの皿を力任せにひっくり返し、床に落ちた皿が割れ、食べ物も床にぐしゃ、とこぼれてしまう、もったいない。俺は呆れた表情で奴らを見上げ睨み返す
「舐めた態度取ってんじゃねぇぞ小僧、ぶち殺すぞ!!」
こえー、やってることヤクザじゃねぇか怖ぇよ。周りの客もまるで避難するみたいに続々と静かに席を離れていってしまった。
「ひっ……」
ふとティラを見ると、大きな声にはビクッと肩を揺らして、ティラも怯えていた。ティラはあまり感情を顔には出さないので無表情には見えるが、密かに唇を噛み締めて体を縮こまらせ、脚を震わせ、赤い瞳を潤ませる。ラビットナイトという戦う役目を持って生まれた彼女だけど、やはり基本的には怖がりなんだな。でも悲鳴や声を上げずにその場を何とかやり過ごそうと耐えている気丈な様子は、やはり精神の強さを感じさせる。
「大丈夫だティラ、すぐに追い払うよ」
「は、はい……」
「大きな音とか、怒鳴り声とか苦手?俺も小さい頃そうだったからよく分かるんだよね」
「苦手です……音には、敏感で」
「おいテメェらなに余裕こいて二人で話してやがんだぁ?こっち向けってんだよボケがぁ!」
野蛮な男の一人が、机の脚を蹴ってくるとティラの肩はまたビクッと跳ねる。正直怖がってる姿も可愛いけど、彼女を不快にさせてる時点で俺はこいつらを許すつもりはなかった
「お前らもガタガタうるせぇんだよ神獣の使いか何か知らねぇがよぉ、俺は何すりゃいいの?」
「黙ってツラを貸せってんだよ、この国の神獣「ジルバ」にお前を捧げる。あとは神獣がやる」
「要するに神獣の生贄になって死ねってことだろ、お断りだ。あんたら勝手に人殺せるほど偉いのか?」
「当たり前だろ!俺らディーヴェルは神に仕える教徒として人を尋問しても殺しても許される権利持ってんだよぉ。テメェそんな常識もわかんねぇのか、頭悪いんじゃねぇの?」
「なるほどね……権力を使って人も殺せる邪悪な宗教団体か。通りでみんなビビるわけだ」
こいつらの態度や話を聞けば聞くほど、こんな奴ら殺してもいい気がしてきた。たとえば俺はチートを持ってるけどさ、力を持ってるからこそ暴力を振るうべき相手は慎重に選ぶべきだろう。もしこれが前世の俺だったら怖くてその場で泣いてバカにされてるだろうけどさ、俺は自分の手一つで全員倒せる確信がある。腕を組んで椅子に座り、俺はただそいつらを睨む
「……おいぃ、なんか獣くせぇぞ。こいつだ!この女だ!」
「なに!こいつ魔物か?」
「なぁに大した魔物じゃねぇ。強い魔物ならもっと血の渇いた匂いが染み付いてる……こいつはいわゆる、ザコ敵だよ!」
「ハッ!ザコか……!ギャハハハハ!」
男どもはティラのことを指差し、ティラが魔物だということに気付いて嘲笑った。ティラはただ唇を噛み締め、帽子で顔が隠れるほどに顔を俯かせて、ただ耐えている
「その子は……関係ないだろ」
「テメェ、なんでこんなザコ連れて歩いてんだ?人を襲う力もねぇ人間の成り損ないが!こんな奴連れて行ってもクソの役にも立たねぇだろヒャッハッハ!」
「人間以下のどこ行っても役に立たねぇクソ魔物が、テメェみたいなの神様の失敗作っていうんだよ。国から出て死にな!」
男共はティラに向かってひどい言葉を使う。
我慢の限界だった
「おい、お前らよく聞け。全員頭を床に付けて、ティラに土下座して謝れ。さもなきゃ全員殺す」
「ハッ、クソが!殺してみろよぉ、俺らをよぉ!」
「魔物の癖に帽子なんか被ってんじゃねぇぞ!?」
男の一人がティラの帽子を弾くように突き飛ばし、帽子が床に落ちた。
俺は高速で椅子から立ちあがり、ティラの帽子を突き飛ばした男の顎を思いっきり拳でぶん殴った
「ぶごッッ!!?」
拳に男の顎の骨が内側で砕ける感触を感じた。時間を止めてもっと殴ってやることも出来たが、それ以上やると死ぬのでやめておいた。殴られた男は口から血を流し床に倒れる。顎の骨が折れたのでまともに喋れなさそうだし痙攣してる。周りの調子に乗っていた男どもの表情は一気に青ざめ、怯えた目で倒れた男と俺を交互に見ている
「ぶ…が、顎……が、カッ……かはっ……」
「あーいっけねぇ〜、顎割っちまった。でもよ、もし俺が本気出してたら。お前顎が真っ二つに裂けて死んでたぜ」
この程度やったくらいじゃ俺の怒りは収まらない、俺が歩み寄ると奴らは恐怖に後ずさりした。俺は床に落ちた彼女の帽子を手に取って、軽く埃を払い彼女に返した。ティラは微笑み帽子を受け取ると頭に被る。震えるティラの手を取ると、ティラは立ちあがり腕に寄り添ってきて
「怖かったか……?」
「トウヤが近くにいたから、何も怖くなかったです……」
「そう、よかったよ」
俺は微笑み、ぽんぽんと彼女の頭を撫でてから怯えている奴らを睨む。
「全員おもて出ろよ。俺を連れて行きたいなら、力づくでやってみろ」