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三章 強さの証-2

俺とティラは近くにあった服屋に訪れ、その店の中に入る


「いらっしゃいませぇ、ぇええええええ!!?」


店員は女性の人だった、いまは俺ら以外の客がいないのは幸いだった。店に迷惑かかっちゃうから


「お客様、全裸は困りますので〜、服を着てください」

「あぁ、だからその服を買いにきた。大丈夫お金はあるから」

「トウヤ、お金が入ってるであろう鞄は草原で服を脱いだ時に脱ぎ捨ててしまいました」

「ああしまった……ちょい待ってね、1秒で戻ってくる」


俺は時間を停止させて空を飛ぶと、服を脱ぎ捨てた草原のところまで戻り。草原でポツンと脱ぎ捨てられていた鞄を手にとってすぐに店に戻る。時間を止めてるほどの速度で高速移動したので1秒で戻れた


「ただいまー」

「おかえりなさい」


確かにいきなり服脱ぎたくなっても鞄はちゃんと持ってた方がいいな。ちょっと鞄の中も確認したら、ちゃんと中身も入ったままだし金も盗まれてない大丈夫だ。よし、服を買おう


「あの、お客様……お連れのその方は、魔物ですか?」

「ッッ」

「……あぁ、魔物だけど」


魔物かと聞かれると、ティラは申し訳なさそうな表情を浮かべてなんだかこちらまで胸が痛くなる。ティラはずっとあの森で魔物に襲いかかる人間の蛮行を見てきたのだ、それに多くの人間は魔物を恐れている。もし魔物はお断りなんて言われたら、この店で買うのはやめよう。俺はティラがどんな人間よりも繊細な心を持っているのを知っている


「……可愛いぃ〜!!お客様、可愛い魔物ですね!」

「え、あの……」


女性の店員はティラに駆け寄りなり両手で彼女の手を握って目を輝かせていた。あぁよかった、にしてもこの店員。魔物を嫌ってないのはいいんだが、やけにティラに顔を近づけている


「はあはあ……お肌も、スベスベですねお客様ぁ…!」

「トウヤ、助けてください。この人気持ち悪いです」

「男だったらぶん殴ってるけど、レズだったら許容範囲なのでヨシ」


ティラは可愛いしたとえ女性でも発情してしまうのはしょうがない、俺は親指を立てるがティラは怪訝な表情を浮かべている。


「ハッ!失礼しました。服ですね、お客様、差し支えなければこの方の服を私が選んでもよろしいでしょうか!?」

「あぁ、いいよ。女性の服選ぶの上手じゃないから、コスプレだったら着せたいのいっぱいあるけど」

「かしこまりました!あ、申し遅れました、私は店長のジョゼーヌ。人の服の仕立ても行っていますが、上流階級が飼ってるペットの魔物の服を作るのも専門で兼有しています」

「あーなるほど。でもペットじゃないから大事に扱ってくれよ、俺のお嫁さんなんだ」

「お嫁さんですって?魔物の?あなた随分羨ましい人生歩んでますね!?」


新衣装となると楽しみだな、俺はティラの両肩に手を這わせて微笑む


「ティラ、新しい格好だってよ!楽しみだな」

「人はなぜ服を変えることにこだわるのか分かりません、服について考えるなんて面倒ではありませんか。そうだトウヤ、ずっと一緒に全裸でいましょう」

「えっ……いいかも」


ずっと全裸でいるのも魅力的だったがジョゼーヌが会話に割って入ってくる


「だーめです!短い人生の中で服について考える時間は必要です。美意識は生きる上で重要ですよ、ささ、こちらに」


ジョゼーヌに引っ張られるまま、ティラは店の奥へと連れて行かれ俺もそれについていく。俺も次の服選ばなきゃいけないんだよねどうしようかな、そういえば俺も服は前世でも全然気にしてなかったな。前世じゃ特に誰かに好かれるような見た目してなかったから、服とか頑張って選んでもどうしようもないっていう諦めがかなり強いってのもあったんだけどね。あぁ今回はイケメンにしてくれた神様に感謝だぜ


ジョゼーヌは巻尺でティラの体のサイズを測っている、彼女のくびれた腹部に巻尺が巻きつく様子は中々に俺の興味をそそられた。女性的な膨らみが大きいティラのボディラインに視線を這わせ、凹凸のある体付きを眺めているとあらためてその美しさを感じさせる。胸の膨らみも凄いが尻の丸みも大きくて、その尻の付け根に生えてるまん丸なウサギの尻尾が愛らしい。大人びたボディラインに対しまるでおとぎ話のキャラのコスプレをしているかのような可愛らしいウサギの耳と尻尾、そしてまだ幼さを感じさせる童顔が強い背徳感を漂わせ興奮を覚える


「……お客様、店内で勃起するのやめていただけます!?」

「え。わああ!ごめんごめん!ちょっとタオルないか!?」

「大丈夫ですか、トウヤ……人参をしましょうか?」

「今は人参はダメだ!あぁでも、あとで人参しよう……」

「うわすっごい!お客様、このお尻のサイズすごいですね」

「え、どれどれ」


俺はティラのお尻に巻かれた巻尺の数字を見た、うわすっごいなこの数字。こんなに数字の高いのを、俺は好きなだけ人参をすることが出来る立場にあるのか


「ちょっとお客様!人参が何かは知りませんが、その股にある人参を大きくするのやめていただけますか!?」

「あぁやべぇ!ちょっとトイレ借りてもいいですか!?」

「トウヤ、近くにいてください。なんだかこういうの慣れなくて」

「そ、そうか。なら近くにいるとも、うん」


結局俺は、自分に付いてしまっている勝手に主張してしまう男の部分を気にしないようにしながら立ち尽くす。

ようやく測り終わると記入していたメモを参考にジョゼーヌは店の奥の棚へと足を向けて


「このサイズですと、立体縫製されてる服が用意してありますので。少々お待ちください!」

「ちょっと待て、立体縫製されてる服だと。この胸のサイズ用の服をすでに用意してたの?」

「ええ、あらゆる女性のボディラインにフィットする服を作ってあります。それが私の仕事であり生き甲斐です……!」

「なるほど、素晴らしいこだわりだ」


ジョゼーヌは店の奥へと歩いていった。そういえば俺も服を買わなければ、ティラのそばにいつつ、俺は並べられた服を見てどれを着ようか考える。動きやすいけど、なんかかっこいいやつがいいな。どうしよう指に穴空いてるグローブとか着けると中二病っぽくていいかも。


「お客様!こちらへ、試着室へどうぞ」

「あ、ではトウヤ。着替えてきます」

「ん、わかった。なんか変なことされたら叫ぶんだぞ」

「大丈夫ですよ……」


さっきからずっと全裸でいるのに、俺はティラの格好を楽しみにしてしまっているのかそわそわして落ち着かない。もちろん覗くなんてそんな事しない、暇でボーッとしてたが店の外の窓で子供が覗き込んで俺の尻を見て「尻だ〜」と言ったりしてたので、手を振って窓越しに挨拶したりした。


そうしてる内に店の奥のカーテンが開いて、そこから新しい服を着たティラが現れた


「お待たせしました」

「おぉ……」


言葉を失った。

首まで覆われたワンピースタイプの格好、両肩が露になっているがロンググローブを着用する事で白く丸い肩が強調されている。大きな胸は服で覆われてはいるが、その大きな膨らみの輪郭を際立たせるかのようにボディラインをくっきり見せている。スカートはフリフリのミニスカートタイプで、足はニーソックスで覆われ豊満で柔らかい肉に覆われた太ももは、ソックスとスカートの境目で柔らかな腿肉がむに、と強調されている。

すごいな肩をなでなでしたいな、あと露になってる腋の間に手を入れてくすぐったりしたい。っていうか太腿のムチムチ感やばいって俺の嫁むっちむちじゃねぇか本当可愛いなこのメス兎


「トウヤ……なにか言ってください」

「可愛すぎて食べちゃいたい」

「食べたらもう見れませんよ」


俺が見惚れている間、横から現れたジョゼーヌがティラの体の輪郭を指差して


「ポイントは体のラインの美しさを損なわないようにした点です!お客様の豊満な膨らみから、くびれた細い腰のラインを。あまり露出せずともしっかり堪能出来るように作り上げたんですよ……!そしてこの、腋を強調せんばかりの肩の開口部。まさに裸よりもエロ可愛いという状態を突き詰めました!」

「素晴らしい、見事だ……!」

「なぜ皆、胸の大きさにこだわるのか分かりません……戦う時動きづらいだけなのに」

「お客様、あとこれも被ってください」


ジョゼーヌはティラの頭の上に、リボン付きの帽子を乗せた


「これは……?」

「ウサギの耳を隠すための帽子です。この街では魔物に対し、よくない偏見を持っている人が多いので隠していた方が身のためです。魔物は全員人間に襲いかかる暴力的な種族だと思ってる人は結構いるんですよ、私は仕事柄、魔物とも関わるのでそんな事ないのは理解しているんですが」

「そうですか……ありがとうございます、何から何まで」


ティラはジョゼーヌに微笑む


「いえいえ!お客様のナイスバディに見合う服を用意出来ただけでも料金いらないくらいの体験です……!」

「は、はい……」


微笑んでいたがすぐに訝しげな表情へと変わった。


「さて、俺も服を選ばなければ」


俺は待ってる間、店内にある服を眺めて自分に合いそうなのをあらかじめ見ていた。とりあえずいくつか服を手にとって、手頃なズボンとシャツ、コートを選んでその場で着用する。動きやすいがスタイリッシュさ重視だぜ


「どうだ!ティラ」

「トウヤ、もっと良いのがある気がします」

「え〜……」

「お客様、なんかダークファンタジー小説にハマったばっかりの思春期の子供みたいな格好ですね……」

「いいじゃん、かっこいいもん」


あと俺は手袋として黒い指なし手袋を着用していた。なんか指のところ空いてる黒い手袋ってかっこいいだろ


「これはどうだ!俺のお気に入り」

「お客様……それ娯楽用のコスプレ手袋です。それ大人の男性が付けちゃいけない手袋ですよ、ダサいです……」

「……でも気に入ってるんだもん、俺はこれを着けるぞ」

「トウヤは何を着ても素敵なので大丈夫です、センスの良し悪しはともかく」


なんだか俺の着ている格好は全部不評だが、構わん、俺はこれでいくぞ。


「さて、お代を払おう。これで足りるかな」

「ありがとうございますー!あ、よければお店の名刺です。服のことで問題がありましたらぜひご利用ください」

「あぁ、ありがと。感謝してるよ、いきなり全裸で入店してきたのに……」

「いえいえ!久々に良い体験をしました。ぜひまた来てください!お嫁さんと一緒に……!」


ジョゼーヌはギラギラした目をティラに向けており、ティラはなぜだか身の危険を感じているのか戸惑いの表情を浮かべてたじろいでいる。


服を購入した俺とティラは店の外に出て


「さてティラ、次は何を……」

「衛兵さん!あの人たちです!街を全裸で徘徊していたのは!!」

「逃がさんぞ!この変態ども!」

「あぁやべ、逃げるぞティラ!」

「わかりました」


ちょうど店を出たところを3人ほどの衛兵に見つかってしまったので、俺とティラは街の雑踏をかき分けつつ走り出す。途中のベンチをパルクールで乗り越えつつ、小さな橋の下を飛び降りてその下の地面へと着地する。ティラもウサギのような素早い跳躍によって、俺についてくるように飛び出してくる。ずっと一緒に追いかけっこしてたから、ティラの動きの速さも俺は十分理解している。こんな風に二人だけで逃げてるのが何だか楽しくて、笑顔で振り返るとティラは穏やかな微笑みを浮かべていた。まるで逃避行だな

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